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絶賛人生なぜなぜ期(勝手につけた)なので、今まさに読みたかった本、どストライク!という感じだった。
物事や人生を、ストーリーとして解釈すること。
私は国語の次に日本史が好きだったけど、今になって思えば、歴史をストーリーとして解釈していたんだな、と思う。就活のガクチカや志望動機に抵抗があったのも、自分の人生を会社や仕事にストーリーとして組み込むことに反発していたのかも。
私たちは物語によって救われたり、苦しめられたりする。
引用された、ニーチェ『道徳の系譜学』の言葉がストンと胸に落ちてきた。
〈人間の問題は…苦悩そのものにあったわけではない。「何のために苦悩するのか?」という叫びに、答えがないことが問題だったのだ〉
苦しいことに意味が意味出せないことが苦しいと気づくことができて一歩踏み出せたかな。目的や意味がかりそめのものだとしても、それにもがくのってすごく、人間だ。
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語られていること自体は、いわゆる月並みな、何度も耳にしてきたフレーズであるが、それらに著者の視点から理由付けをしている点が面白く感じた。中でも人は世界をストーリーとして捉える、という見方は自分にとって斬新でハッとさせられるものだった。
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人とストーリーの関係を解き明かす図書。ストーリーが人を救ったり、逆に苦しめたりするのは、なぜなのか示している。
はじめは人はなぜ読書するのか、とか物語を作るのか、といった内容かなと思っていたけど、物語の効果によって、人間の理解を促進したり、認知をゆがめたりする、人生についての内容だった。
人は起こる物事に理由を求める。しかし理由はないにも関わらず、自分の信念や社会の一般論、道徳などで、人や物事を誤って理解しようとする。
物語の存在に気づき、そこから自由になる可能性を最後に示す、面白い図書だった。
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ひとが物語を求めるのは、「感動や共感がほしいから」といったあまーいことが書かれた本とおもっていたら、実際は正反対のシビアな科学的な内容でした。
脳に関する本と併読していたのですが、ようするに脳が情報を処理しやすくするために、いちいちコトとコトをつなげて、わかりやすいよう物語していたのですね。本来コトとコトには因果関係はなにもないのに。コトとコトをわけてとらえるには、イマコノトキと向き合うことが肝心と強く感じました。逆に会社で説明するときは、物語化してあげるといいんだなとも勉強になりました。
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物語の成り立ちについて勉強したくて読んだのですが、人間が物事を認識する上で因果関係を求め、物語として捉える。また思い込みなど「何故自分だけ」という理想の物語を描き苦しむ習性やストレスへの対処なども簡潔に説明している良い本でした。
わかりやすく説明してくれているため章ことにスラスラ読んでしまうのだけれど、印象に残った部分以外ポロポロ抜け落ちてそうなので気になったところを再読してメモを取っておこうと思う。
内容とは関係ないけど、ちくまプリマー新書の紙質…好き。
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文学論が展開されているのかと思いきや、認知科学や社会学など様々な観点から「物語る」ということについて説明がなされていて、かえってそれが良かった。
物語の役割を文学の中だけで語ろうとすると、どうしても文学に興味のない人にとっては理想論のようなふんわりした話に聞こえがちだけど、様々な観点から語られることでより多くの人に受け入れられやすいものになっているのではないかと思う。
知らず知らずのうちに物語を内在化させてアイデンティティーの在りようとかコミュニティでの振る舞いに悩む中高生は少なくないと思うので、そういった生徒に読んでほしいな。
でも、カミュや川端康成、小川洋子から仏教説話、黒子のバスケ事件の犯人の手記など多岐にわたる引用が論に広がりを持たせる一方、かえって中高生には敬遠されてしまうかもしれないと感じた。
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タイトルから、小説について何らかのことが書いてある本かな、と手にとった
想像していた内容とは違って、最初は戸惑ったが、どんどん面白くなった
例えば。昨今の宗教被害の問題など、なぜ人はそういう世界にはまってしまうのか、
今一つピンとこなかったのだが、「物語」をキーワードに説かれていて、
非常に参考になった
物語のいいところも悪いところも知ることができました
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近頃の僕が漠然と考えていた疑問に答えてくれる内容で、付箋貼りまくりでした。
なかなか簡単にまとめられないのですが、人間には出来事を「物語」として把握する能力があり、独立した前後の出来事を因果関係で結びつけてしまうと。
むしろ「物語」として把握するために個人的な出来事にも理由や意味を求める(「なぜ」このような悲劇的な出来事が「私」の身に起きたのか)。
嘘でもいいから説明が欲しい(因果応報)。
そして何らかの決着をつけて新しい平衡状態に辿り着きたい。
現実世界の理解もフィクションも物語化の構造は同じ。
著者が引用、言及する分野が幅広くて、その圧倒的な読書量に感銘を受けました。
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理解した、と思う時、人はじつは決めつけている
「ベキ論」によって人は、世界や他者を操作できると思い込んでしまう。(コントロール幻想)
感情に突き動かされて行動することは選択肢をまずから手放すことであり、「自由」からもっとも遠い
世界でひとつだけ選択可能なものは、できどことに対する自分の態度である。p.178
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webちくま「人生につける薬 人間は物語る動物である」18回連載を加筆修正して5章に
各個人が考えたり感じたりする判断となるその前提ができる精神作用や言葉の仕組み等を、たくさんの読書を経てまとめている