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カトリック教徒の著者が、人間としての生き方や道徳心についての思いを語った「扶桑社新書」。方々の出版社で過去に掲載した著者の格言めいた文章を寄せ集めて編集されている。〝より良い人生の在り方というのは・・・ 〟を、押売りされている印象を受けるのは何故だろう・・・。 お気に入りの文言▽〝文学は、時たま人間の偉大さも描くが、多くの場合、人間の弱さから来る哀しさや誘惑を書くのを目的としている。私たちは、人間の偉大さを示す話からも学ぶが、当然弱さから来る哀しさからも、強烈に人生を学ぶのである〟(幸せの才能より)。
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気楽にピースサインを出す人は、ほとんど端正な人ではない。端正ということは、すべてのものごとを一度誠実に自分の心理の漉し器にかけて来たことを示す。だから限りなくその人らしい表現・行動を取ることになる。いかにも曽野綾子さんの言葉だなと思います。「端正な生き方」、2017.3発行。①品は流行を追わない。群れようとする心境を自分に許さない ②自分を客観視する ③義務があることが老化予防となる ④ちょっとだけ好きなことができる程度のお金がある状態というのが最高 ⑤この上ない贅沢は日常にあり。
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端正なる言葉は久しく耳にしなかった言葉であった。
端正とは、姿・形や動作などが正しくてきちんとしていること。また、そのさま。とのことである。出会わないことは不思議でもなんでもなかった。
気になった言葉は次の通りです。
・現世を受け止める姿勢に一本筋が通っていれば私は端正と感じることができる。外面はもの柔らかでも、決して芯のところで妥協してはいない。意味のない物真似はしない。
・端正ということは、すべてのものごとを一度誠実に自分の心理の漉し器にかけてきたことを示す。だから限りなく、その人らしい表現・行動を取ることになる。私はそういう人と友達になることを望んだ。自分もその影響を受けたかった。
・わからないことは考えなくていいのである。これが私の救いであった。
・自分の身に降りかかったことを少しも避けず、その中から最上の道を選んでいた、という平常心だった。
・妻一人にさえ幸福を与えられなかった人が成功者であるわけはないのだ。
・私はやはり或る人が品がいいと感じる時には、まちがいなくその人が成熟した人格であることも確認している。
・大切な人生の選択は、あまり損得で決めたことはない。自分がしたいことと、自分がすべきことをするのだ、と親からも教わった。損か得かということは、その場ではわからないことが多い。
・過不足なく心が伝わる、などということを諦めることだ。諦めはどんな場合にも有効な解決法だ。自分の命にせよ。不運にせよ、最初から少し諦めていれば、深く絶望したり恨んだりすることもない。
・人間には二つの時期がある。育てられる時期と、育てる時期と。
・死があるから生が輝くように、捨てて、というより諦めてきたものがあるからこそ、人間は初めて目的のものを手に入れる。
・だれをも頼らず、過去を思わず、自足して静かに生きる。それができた人は、やはりひとかどの人物なのである。
・思った通りになんかなるわけないんです。すべては予想外ですから。
・どんな人間も、過去の不幸な記憶を持つなら、それを自分だけの財産か肥料にして、しっかり自分の中で使えた人は作家にもなれるし、どんな職業にも就ける。
・ちょっとだけ好きなことができる程度のお金がある状態というのが最高なのだ。
・明るくふるまうことは、外界への礼儀である。
・人生で仕事と呼ばれて収入を得るには、すべて辛さに何年も耐え、自分で工夫することが昔から条件だった。しかし誰でもできる平凡な仕事には楽しさがない。人は生来好きなことをして稼ぐことが、幸福になる秘訣である。
・自分の生涯の生き方の結果を正当に評価できるのは、私流に言うと、神か仏しかいない。だから、他者に評価や称賛を求めるのは、全く見当違いなのだ。
・希望は自分で創り出すものだ。他人が作って与えることはできない。他人は、希望を叶えようとする人の手助けをする。
・平凡を嫌うということは一種の思い上がりだろう、と私よく思う。平凡な生活に時々あきあきするのは誰もが体験することだ。しかし、私たちの生涯は、平凡な日々の積み重ねの結果なのである。
・私たちは子どもの時から、自分の言葉に責任を持ちなさい、と教えられる。わかったふりをしてはいけません。知らないことがあったら、知りません、と正直に言わなければなりません、と私の親は命じたのである。
・頭を鍛える最上の方法は、たえず、抵抗のある状況に自分を置くことである。つまり、いやな思いをすることである。ひとからいやな目にあわされて腹が立ったら、心から感謝すべきなのである。これくらい心身の賦活に役立つものはない。
・自分を「客観視」することに慣れる。私たちは、独学で、この絶対必要なことを学ばなければならない。
・皆が右へいったら、必ず左へいく。第一競争者が多かったら、普通の才能では芽がでない。それに比べて人が嫌がるような人気のない道を選べば厳しい競争もなしに楽々と自分を発揮できる。
・私はそれ迄に、この不便なうちでも暮らすこつを覚え込んでいた。それは何でもいい加減にやっておくことだった。完全に合理的にやろうとしている母を、私は気の毒におもった。
・自分流に不器用に生きることである。自分流でなく、他人流に生きようとする人が多すぎるからストレスが起きる。
・生きている限り心身共に人の迷惑にならないためには、自分を鍛え続けなければならない。
・なんでも心をこめちゃダメなんです。炊事も洗濯も同じことです。心を込めないでやるから、ラクに続くんです。
・苦しみの中から感謝することは容易ではない。しかし、感謝こそは、最後に残された高貴な人間の魂の表現である。
・謝ることを強制されれば、反射的に反抗心を抱くか、謝れと命じた人に侮蔑を感じるのが普通だ。そんな簡単な人間の心理もわからない人と、私は限りある人生の時間でつき合う気にはなれなかったのである。
目次は以下です
まえがき
1 自制して生きると豊かになる
2 諦めはすべてにおいて有効な解決法
3 「成功の条件」は必要以上に求めないこと
4 他者への礼儀と内なる折り目正しさ
5 固定観念を捨てる
6 謙虚さがもたらす人生の恩恵
7 心身の賦活に役立つ最上の方法
8 人生を恐れすぎない
9 だからこそ、人生は濃厚に満たされる
10 定型なき幸福の形
11 精神の幼稚化を自問する
12 人間関係の機微を楽しむ
出典著作一覧