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紙の本
たくさんの生き物の息づかいの中に私たちはいる。「気づかない」だけだ。
2017/07/20 20:35
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
カラスの研究者が、野外での自然観察の面白さを語る。生き物をこんな風に身近に感じたいと思える楽しい本だった。
カラスについては「カラスの教科書」に著者自身が一通り書いていたが、本書ではもっと生き物の範疇を広げている。カラス以外の鳥はもちろん、トカゲやモグラ、ヘビにクモ、と多彩である。
短い終章は著者の起床から通勤電車に乗るまでの日常風景だ。ここの数ページだけでも何種類の生き物が出てくるだろう。「気づかない」だけで、たくさんの生き物の息づかいの中に私たちはいる。観察する目をもつと、楽しみが増えることを教えてくれる。この文庫を持って電車に乗れば、きっと目をあげて見回してみたくなるような文章だ。
学生時代の体験談や動物の意外な行動の面白さなどだけでも充分楽しく読めるのだが、しっかり「生きものの知識」も織り込まれているので勉強にもなる。例えば足元の落ち葉の中の生きものの話では「ミミズが飛び出す、モグラが続いて飛び出す」ようなエピソードだけでなく、有機物循環の「食物連鎖」の話。野外観察に持っていく道具なども詳しく書かれている(その中には著者のオリジナルな工夫もある)し、生き物を見つけ出す「目の付け所」などもあって直接役に立つ、と思うところも多かった。
しかし何より、著者が生き物ととても「近しい」気持ちを持って書いているところが読んでいて心地よかった。特にハエトリグモの話では、私も似たような親近感を感じることがあるのでとても共感した。野生動物との関係で公園の釣り人とサギのちょっとした交流が描かれているところでは(餌を多量に播くのはいかがかと思うが)ちょっとした交流はあっても良いのでは、と「節度」という単語が頭に浮かぶ。著の描いた生き物のスケッチにも愛情が感じられて嬉しい。野生動物との関わり方について考えさせられた。
前著「カラスの教科書」はカラスの性質や観察のエピソードが満載で楽しかったのだが、本書ではよりソフトな語り口になった気がする。著者も年齢を重ねて丸くなった、というと著者に怒られるだろうか。
紙の本
生きとし生けるものすべてが幸せでありますように
2017/08/31 22:25
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投稿者:おきよし - この投稿者のレビュー一覧を見る
「カラスの教科書」がすごくおもしろかったので期待して購入しました。
おもしろかったです。読後はいつもの景色も違って見えます。
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