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お母さんが託児所のお迎えに
時間通りにきてくれなくなってきた
(恋人ができてから自分に関心がなくなって
捨てられてしまうのではないかと
感じはじめている)お迎えを待っている
子どもとミカコさんとのシーンが印象に残った。
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4歳の子どもが声も出さずに泣いていたのだと
いうことがわかり、なんとも言えないビターな
心持ちになる。
「泣くな。泣くんじゃなくて、もっと怒りなさい。
泣くのはあきらめたということだから、
わたしたちはいつも怒ってなきゃダメなんだ」
わたしがそんな頭の悪そうなことしか
いえないものだから、ハグした途端に
ディランは声をあげて泣き始めた。
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わたしは保育士である。政治は議論するものでも、思考するものでもない。それは生きることであり、暮らすことだ。そうわたしが体感するようになったのは、託児所で出会ったさまざまな人々が文字通り政治に生かされたり、苦しめられたり、助けられたり、ひもじい思いをさせられたりしていたからだ。
イギリスの無職者・低所得者、難民や外国人の幼児たちのリアルな状況、暖かくも鋭い表現。政治による劇的な変化の前と後。志を持って支える人たち。子どもをどう育てるかは、国をどう作っていくか、なのだと。
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英国在住のライター、コラムニストで保育士でもある筆者が、保育士としてイギリスはブライトンの、貧困地区の託児所で働いている時の子どもたちとその親の姿を描くことで、現代イギリスの貧困を中心とした社会情勢を生々しく伝えている。
紹介されている子供たちと、その親の悲惨な境遇に同情することしきりだったが、翻って日本では果たしてこのような状況が発生していないのかがとても気になった。
本書の内容ではないが、OECDの2017年の報告書では、日本の「相対的貧困率」は36か国中下から7番目となっており、豊かな日本、という思い込みは間違っていることを教えてくれる。
その前提に立つと、本書が描いている現在の英国の状況がとても他人事とは思えず、増してや、その状況がこれから国をしょって立つ人に育つべき子供たちの間で起こっていることにがくぜんとした。
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面白かった。
元がブログ?だからか、短めに話が区切られてて、とりあえずここまでという感じで、止めやすく、また読み直しやすい。
政権と絡めての地べたの保育園での状況がそのまま描かれているので、自分もその場にいる気分で読めた。
けれども、問題だらけでその解決に対してなにもないのがはがゆい。作者自身が出来る小さな改善だったり、子供や親を慰めたりするくらしかできない。
読んでると毎度毎度エピソードが強烈で考えさせられる。最善とはなにかを考えさせられる。けれど、わからない。なんとなくやりすごすしかないのか。なんとなく、時間が経つしか無いのか。なんとなく、のらりくらりと、となってやっぱり憂鬱だ。
イギリスの底辺事情がわかったのは良かった。「わたしは、ダニエル・ブレイク」を先に見ていたしこの本でも言及されていたが、それ以上の現実が描かれていて良かった。現実だからこそハッピーエンドで終わらない。
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私ってイギリスのこと何も知らないんだな。日本の保育士さんもっと増やさなきゃだな。ミカコさん自身のこともっと知りたいにゃ。
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英国の低所得層の様子を垣間見ることができた。本にも書かれていたように、「私はダニエルブレイク」の画像が浮かんできた。職務上、日本でも同じような状況になりつつある状況を見ており、他国のこととは思えない。もやは地球上の問題。富裕層では、その問題意識すら持てない人間が豪華な生活を競っているように見える。
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#子供たちの階級闘争
#ブレイディみかこ
#ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー を読み知った本。
無料託児所で働く中で出会う親子の様子や生活、託児所での出来事や、イギリス事情を飾らない言葉で、ちょっとスパイシーに綴られています。一つの出来事が短く書かれているので読みやすいです。
ぼくはイエローで...は、息子さんの学校生活から中学生くらいのイギリス事情を知れましたが、今回は未就学児。いろいろと厳しい環境で暮らさざるを得ない子供たちには発達の面でいろんな問題が起きてしまう。幼少期の家庭環境って本当に大事。さらに人種問題やら国の政策やらで、本人たちは悪くないのに起こってしまう苦しさ。。
私には何もできないけれど、知ることはできました。
日本にも似たような苦しみを抱えている子はいるんだろうな。
自分や周りの子どもたちのある程度安定した環境に感謝しつつ、安定してるからこそ成り立つ教育に、真摯に取り組みたいと思います。結局のところ、それしか私にはできない。
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東洋からの移民の女性がイギリスで保育士になる。保育士になったからに違いない、ラディカルでやさしいまなざしが文章で輝いている。
理解すること相手に求めることは、自分を表現することから始まる。自分を正直に表現することで出会った素晴らしい場面が気楽を装ったラジカルな文体で記されている。
こんなスリリングな場面に読者として出会うことができる、こんな書物には、そうそう出会えるものではない。絶賛!
ブログに一番震えた場面について書きました。
https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202005230000/
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友達から送ってもらって本。ぐわーっと引き込まれて一気に読んじゃった。貧困とヘイトのスパイラル、そこから脱出するのには個人の努力だけでは限界があるということをしみじみ感じる。
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著者が働いていた託児所で起こった様々な
出来事が書かれています。
2015-2016年の緊縮託児所時代、
2008-2010年の底辺託児所時代…ですが
この2つの託児所は同じ託児所。
労働党政権のときには生活保護受給者の
イギリス人が利用していた託児所が保守党政権になり、
緊縮政策を取った結果、政治に翻弄されて
この託児所からイギリス人はいなくなり、
移民の子だらけになるという、なかなか日本では
考えられないほどの変化がイギリスではあっさり
起こっています。そしてこの託児所は閉鎖になり、
最後にはフードバンクになります。。
しかし、生活保護を手厚くしたらしたで
若い子がお金目当てに子どもをどんどん産んで
その後に緊縮で困ってしまうという…。
この著者の本を読めば読むほどイギリスへの
憧れがなくなってしまう気もします~(;´д`)
現実は厳しい。
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「ぼくはイエローで…」で一気に虜になって著者本をオトナ買いして複数読み進めてきて、こちらの本にたどり着いた。2017年新潮ドキュメント賞 受賞作ということだそうだ。いくつか読んできたので想像はついたが、とてつもなくどーーんとした重たい課題認識を突き付けられたような気がする。
「の、その先にあるもの」という表現で記載されている内容、インクルージョンという言葉では表現されているが、日本で暮らして安穏としているとどうしてもここのレベルまでの視野・視座にまで広がっていけない。 かつ、ぼくは残念ながら都市部の中でも日雇い労働者が多かった地区で育った関係上、見ないようにしてきてしまった事実があるのかもしれない。
『THIS IS JAPAN』でもあったが、もっともっと深くてずどーんとくる、とてつもなく重たい現実の本があって、それを踏まえての『ぼくはイエローで…』での爽やかさなんだな、とも感じてしまいました。(完全にあくまで私見です)
今回の抜粋もおわりに、から
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P281
保育士のわたしが政治について考えるようになったのは、実は保育士になったからだった。というか、もっと正確にいえば、底辺託児所で働いたからだ。
それはいま思えば毎日が驚きと、怒りと、目の前で起こっていることへの信じられなさと、こみあげる嫌悪感の連続で、そのくせほんの時折だったとはいえ、こんなにきれいなものは見たことがないと思う瞬間に出くわした。
この人たちはどこから来たんだろう。こういう人たちが存在する社会というのはいったいどうなっているんだろう。こういう人たちを作りあげた国の政治とはどんなふうに変遷してきたのだろう。
わたしの政治への関心は、ぜんぶ託児所からはじまった。
底辺のぬかるみに両脚を踏ん張って新聞を読み、ニュース番組を見て、本を読んでみると、それらはそれまでとはまったく違うものに見えた。
政治は議論するものでも、思考するものでもない。 それは生きることであり、暮らすことだ。
そうわたしが体感するようになったのは、託児所で出会ったさまざまな人々が文字通り政治に生かされたり、苦しめられたり、助けられたり、ひもじい思いをさせられたりしていたからだ。
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保育士としての話は自分が子育て中なのもあって興味深かった。そしてめちゃめちゃいいなと思った箇所がどこに書いてあったか忘れてしまって見つけられないのだけど、多文化共生的にもこれめちゃくちゃおすすめな本。とってもリアルな地べたに根付いた生の声からの多文化共生が分かると思う。
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内容が内容だけに、なかなかフィニッシュ出来ず。
一話読んでは落ち込み、また気を取り直して読み始める。そんな繰り返しで、ようやく読了。
溜息が出る程の貧困と荒廃した英国アンダークラスの無料託児所での出来事などを描いたもの。
このどうしようもない「底辺託児所」でさえ緊縮政策のあおりで閉鎖されたしまった。
救いようのない、やりきれない世界が世代を経て、どんどん下降して行く。
堕ちる処まで堕ちた底辺社会のまだ下があるのか?という世界を躊躇なく描き切っている。
その底辺の更に障害を持った子供達を綴った話題は涙無しには読めない。
この子達はどうなっていくんだろう?
それぞれのエピソードは、素で読めば本当に悲惨な話ばかりなんだけど著者の手にかかると最後は救いのような、
ほんのりとした温かさをもって締めくくられる。
その辺が著者の上手さなんだろうけど、いやいやマジで悲惨じゃん、どうなるんだよ!と振り返ってしまう。
まあ日本もほんの100年前、いや50年前までは貧民窟があったから、あの辺りはこんな光景が繰り広げられていたのかね。
今は他人事だけど日本にも外国人が入ってきて、こんな問題の兆しがチラホラと出てきている。
色んなところで「社会の分断」という言葉を聞くけど、まさにこれだよなあ。
少数の途方も無い金持ちがいて、その下にそこそこの生活者がいて、さらに多くのその日暮しがいて、橋の下には浮浪者がいる世界。
昔は中流層70%とか言ってたのが、日本でもこんな世界が、もうすぐそこまで来ているのかもね。
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UKの貧困地区にある託児所に視点を置き、社会の分断を鋭敏に綴った新潮ドキュメント賞受賞作。 定価(本体2,400円+税)
「わたしの政治への関心は、ぜんぶ託児所からはじまった。」
英国の地べたを肌感覚で知り、貧困問題や欧州の政治情勢へのユニークな鑑識眼をもつ書き手として注目を集めた著者が、保育の現場から格差と分断の情景をミクロスコピックに描き出す。
2008年に著者が保育士として飛び込んだのは、英国で「平均収入、失業率、疾病率が全国最悪の水準」と言われる地区にある無料の託児所。
「底辺託児所」とあだ名されたそこは、貧しいけれど混沌としたエネルギーに溢れ、社会のアナキーな底力を体現していた。
この託児所に集まる子どもたちや大人たちの生が輝く瞬間、そして彼らの生活が陰鬱に軋む瞬間を、著者の目は鋭敏に捉える。
ときにそれをカラリとしたユーモアで包み、ときに深く問いかける筆に心を揺さぶられる。
著者が二度目に同じ託児所に勤めた2015-2016年のスケッチは、経済主義一色の政策が子どもの暮らしを侵蝕している光景であり、グローバルに進む「上と下」「自己と他者」の分断の様相の顕微描写である。
移民問題をはじめ、英国とEU圏が抱える重層的な課題が背景に浮かぶ。
地べたのポリティクスとは生きることであり、暮らすことだ──在英20年余の保育士ライターが放つ、渾身の一冊。
[本書は2017年第16回新潮ドキュメント賞を受賞しました]
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ブレグジットとかトランプとかの根元にある「分断」を書いてありました。哀しいけど何かホロっとする所あるよね、という段階ではなく、哀しさ、冷たさ、怖さ、しか残らない段階。「庶民がまともに食えるようになってから観念を述べやがれ。順番を間違うからブレグジットも起きた。」納得。尊敬する出口先生も、「政治とは、国民を安心して食べていけて子供を育てて行ける環境にすること。それさえ出来れば良い政治。」ということをおっしゃってましたが、同じですね。観念論より地べたで起きていることを直視せねば。他人事ではありません。
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イギリスの底辺社会を託児所の保育士の視点で描く。貧富の差が激しく、シングルマザーの子供が疲弊してゆく。この社会構造を作り出したのは、サッチャー元首相であると。肌の色の違いによる差別も跋扈している。