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鍵のかかるひきだしに、そっとしまっておきたいような。
中には手に入りにくい本もあるが、探し出す楽しみもある。
どこかで出会えたら、それもまた僥倖と思えるだろう。
後続の作家たちの作品もあれこれ読まれているようで、恐れ入る。しかも決して高いところからではなく、丁寧に敬意を持って語られるので、更に恐れ入る。
どの章も宝石のようで、ため息と共に読んだ。
極めつけはカースン・マッカラーズ。それからアンナ・カヴァンも再読しなくっちゃ。
最後の一篇がまた素晴らしい。
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購入当初、こだわり抜かれた装丁の美しさに、直接触れることを躊躇しました。
本文もそれを裏切りません。
皆川博子さんは他の追随をゆるさない、精緻な骨と爛熟した肉のような文章をお書きになると、ご著作を拝読して私は勝手に思っております。けれど本著からは皆川さんの、アンナ・カヴァンや野溝七生子、マッカラーズ(寡聞にして初めて知りました)に通ずる「少女性」が窺える気が致しました。
それは世間には容易く傷つかされるけれども、文学にーー否、物語に真っ直ぐ相対し、おことばを借りるならそれをブイにして生き抜こうとする透明なたましいの響きにも感じられます。
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講談社文庫のPR誌『IN☆POCKET』に連載されていたブックガイドが単行本化。
紹介されている本のセレクトもさることながら、装丁も美しい。書き下ろしの短編、巻末の充実した索引、更に自分で気に入った本を追加するためのメモページまでついている、という至れり尽くせりの1冊(実際に書き込みはしないがw)。
紹介されているタイトルのうち、未読のものでは『穴掘り公爵』が気になっているが、品切れなのね……。ちょっと探してみよう。
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読書欲に火がつく本。未だに手に取ることができないでいる本が多いが、美しい装幀と文体に導かれ、開いた本は著者の言うとおり、どれも印象的で本当に面白い。長らく遠ざかっていた読書習慣が蘇り、自分では決して選ぶことはなかったであろう本との出会いを作ってくれた一冊。時折読み返したくなる。
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目次のあとの扉にはこう記されている。
「この辺境図書館には、皆川博子館長が蒐集してきた名作・稀覯本が収められている。貸出は不可。読みたければ世界をくまなく歩き、発見されたし。運良く手に入れられたら、未知の歓びを得られるだろう。 辺境図書館 司書」
この言葉通り、その名を聞いたことさえない本が次々紹介される。各章のタイトルであげられている本は三十作あまりだが、既読のものは僅かに二作であった(「アサイラム・ピース」と「心は孤独な狩人」)。文中ではさらに多くの本に言及されていて、さすがだなあと感嘆してしまう。こういう芳醇な読書が下地となって、あの唯一無二の作品群が生まれるのだと深く納得した。
やはり自分が読んだことのある本(たった二作だけど)の紹介が強く心に残る。著者が真に心ふるわせ読んだことが、ひしひしと伝わってきた。優れた書き手はよく読む人でもあるのだと再認識。
装丁も素敵だ。小ぶりな本で、表紙にはお月様が箔押しされている。目次やタイトルページのデザインが著者らしく優雅で、巻末につけられている、罫線の入ったメモ用紙風のページも嬉しい。いや何か書いたりはしないんだけど、なんとなく。
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皆川さんの偏愛されている物語の数々。「耽美」では無く「唯美」な。
ハードル高そうなものも多々あったが、いくつかは挑戦してみたいと思った。
アンナ・カヴァンとか、佐藤亜紀さんとか。
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そんじょそこらのブックガイドブックではないのだ。
館長が皆川博子なのだから。
言うことなしだし、短編もいい気分にさせてくれる。
ブックデザインも小ぶりで上品で瀟洒で素敵。
ホセ・ドノソ ミック・ジャクソン ブルーノ・シュルツ ルイジ・ピランデルロ フェルナンド・アラバール アントワーヌ・ヴォロディーヌ マルセル・シュオッブ アンナ・カヴァン 野溝七生子 ジョン・マックスウェル・クッツェー ジュリアン・グラック スティーヴ・エリクソン 石上玄一郎 ハンス・ヘニー・ヤーン パウル・シェーアバルト パトリック・ジュースキント 佐藤亜紀 ミシェル・トゥルニエ ロード・ダンセイニ ウィリアム・バトラー・イェイツ 横山茂雄 カースン・マッカラーズ 鳩山郁子 エリック・ファーユ フセヴォーロド・ミハイロヴィチ・ガルシン 岩田誠 間宮緑 川村二郎 アルフレッド・ド・ミュッセ 郡虎彦 杉山正樹 皆川博子
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これから読みたい本がたくさん出来た本です。
皆川さんの個人的意見と感想ですが、だからこそとても興味を唆られるモノばかりでした。
幻想小説は最近ハマりだしたジャンルなので、イロイロ勉強にもなった一冊です。
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皆川博子さん作品が好きで、皆川さんの好きな作品紹介と聞いて読まずにいられなかった。
でも、私の読書歴では理解が難しそうな作品が多かったかも。いくつか気になる作品はあれど、自分の読書量が足りないゆえにピンとこない部分があった。まずは、自分でも読めそうな作品から手を付けて少しずつレベルアップが必要かな。
皆川さんの作品を愛読していて、他にも幻想文学を多数読んでいる人にはたまらない作品だと思う。
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最期の日まで、本に溺れる。小説の女王が耽読した、妖しくも美しい本の数々。書き下ろし短編「水族図書館」も収蔵。(アマゾン紹介文)
序文の「司書」の文章から、架空の本及び著者の話かと思っていました(クラフト・エヴィング商会みたいな)。
この本を読まなければ知りえないような幻想小説の紹介が多く、満足。中には絶版もあるけれど、図書館使って読んでみたい。
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こういうのを読むと、本を探しに図書館書店に飛んで行きたい、ネットなんかやってられないという居ても立っても居られない焦燥感に駆られてしまう。
ストーリーや基本設定やキャラ設定に凝るラノベ系が全盛の昨今、小説における文体の重要性を説く皆川さんに共鳴します。
皆川さんの好みは文学好きとしては王道だと思う。
本作で初めて知った郡虎彦、作品にも人生にも興味をそそられた。探してみよう。
私も皆川さんのご令孫と同じく、作家と作品名は知っていても、読んでいないクチです。お恥ずかしい。
時たま挟まれる皆川さんの人生も興味深かった。自伝を書いてくださらないかなと思っちゃいました。
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皆川博子さんの偏愛する物語たちをご本人の思い出と共に語る便覧?
最初が夜のみだらな鳥だったので思わず手に取ったが、途中まで読んで放置してしまった本。
改めて読むと、ちまちま読むよりも一気に読んだ方が返って想像がしやすい。
読みたい本が一気に増えたけれど、手に取ったのは銀河と地獄。幻想小説と現実世界との重なりへの指摘に、無粋だなと感じる意味がわかった気がした。
最後の月と海の物語も好き。色々な言い回しが海という想像をより掻き立てた。一つではないものね。
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皆川博子先生の偏愛する稀覯本のみをほぼほぼ蒐集した書評集。
いや~~~~~~~~、皆川博子という作家がこれらの作品群で形成されているのかと思うと、身震いしますね…。
あれもこれも、気になるけど、わたくしめ程度では読んでも手に余ってしまうんだろうな…。いや、でも気になるな…。