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お、お、面白かった!!
構成やストーリーは飽きさせず一気に読まずにはいられない展開はさることながら、同性として登場人物の生き方に、「もしも自分だったら」や「それはだめだよ〜」とつっこんだりと、読んでても読んでない時でも深く考えさせられた。
そして最後まで読んで初めてタイトルと、「ー陽子、」と始まる段落が示す意味を理解し、より著書がおもしろいと感じた。全ては妙子を殺す時に走馬灯のように思い出したんだな、と。本当に生まれかわる瞬間、陽子であることが最後になる瞬間の話だったのかな、と。
もしもミス・バイオレットが橘すみれだった場合(少なくとも私はそうだと感じている)、自分の居場所ではないと言っていたのに帰ってきてお店を開いているのは、過去の自分や家族への当てつけなのかな。居場所を与えてもらえなかった代わりに自分が作ってあげる。陽子への弔いなのでは、と。
その他にも警察官の綾乃との対照的な所とか、陽子と少し深く関わった人の顛末とか、そこにも色んな考察ができそうで、当分はこの著書の虜になりそう。
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評価が高かったので期待してたけど、陽子にまったく共感できず、、今ひとつでした。
40年間そんな感じで生きてきて、これから先の人生がまったく思い描けないラストだったので、、読後感も不完全燃焼、、、な感じです。
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マンションで孤独死体となって発見された女・鈴木陽子。彼女の足跡を追う刑事は、彼女の壮絶な半生と驚愕の真実を知る。
現代社会に潜む様々な闇を、これでもかというほど見せつけられる。人はここまで墜ちてしまうのか。そして生き延びる為にはここまでやるのか。彼女が手に入れた奈落の底にある自由の真実が恐ろし過ぎる。久しぶりに寝る間を惜しんで読みふけった衝撃のサスペンス。
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おもしろかった!最後の3行で「えーっ!」と声が出てしまった。
しかし、主人公は本当ならごく普通の女性、普通の一家だったはず…自分は幸いにもこういった人生ではないが、同じ立場だったらやはり転落して行っただろう。
へその緒に、書かれた言葉が悲しかった。読んでる時はすっかり騙されたが、本物だったらよかったのにと思わずにおれなかった。
さて、もう1人の語り手の女性刑事も、うまく娘を愛せない過去があったが、その娘も陽子のように母から愛されなかったトラウマを抱えたまま生きていくことになるのだろうか。父とその両親がまともそうなので、こんなに転落することはないと思うけど、刑事というしっかりとした職業であり、将来はちゃんと年金がもらえるので妙子のように生活保護なんてことにはならないだろうが、将来老いた刑事が娘に復讐されないといいなと思った。
最終章、「家に帰るの?」と嬉しそうだった妙子。自分の居場所を求め続けていたんだろうか。
福祉に関わる仕事をしているので、妙子みたいな人あるあるだった。そうか、私が知るあの人達も安らげる居場所を求めつづけているのかと。
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死体で発見された鈴木陽子と捜査を担当する刑事・奥貫綾乃のW主人公を通じ物語は進む。歯車のズレで誰もが陽子になり得る現代社会の閉塞感を痛感する。それでも人生をサヴァイブする陽子の生き様は壮絶だ。どこか対比的に描かれる綾乃は完璧主義に苦しみ、やがて陽子に尊敬に似た念を抱く。陽子が母の呪いと戦い続けた様に、彼女もその呪いに苦しんだのではないか。「自分の人生を生きる」のは恐らくそんなに簡単でないと思い知る。
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宮部さん、火車のダーク版?うまい、面白い。けどここまで考えれる主人公ならもっと違う生き方が現実ならあるかなと。
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一人の女性の壮絶な人生…って感じでした。
飽きずに一気読み出来るくらいすごく読みやすかったです。
ただ淡々としていて、ドキドキしたり先が気になる!とはならなかったかな。
ところどころの弟の幽霊とのやり取りが、なんか私も人間とか人生とか、生涯について考えさせられちゃいました(笑)
父親は仕事人、母親は弟に全ての愛情を注ぐ。そんな家庭で育ち、弟が自殺し、父は借金を作り家出。母からは愛を貰えないまま決別。保険会社に入社し、上司に洗脳されて体を使って契約を取る始末。買い物依存症、借金は膨れ上がり、風俗嬢に。元ホストのDV男をヒモに飼うなかでデリヘル狩りにあい殺人未遂、レイプ。そして犯罪者のグループに加入し、保険金殺人。最後は親玉を殺して、デリヘル仲間を自殺にみたてて殺し、自分はそのデリヘル仲間と入れ替わる。
東野圭吾の幻夜を思わせるオチでした。最後は生きよう、幸せになろうっていう強い意思を感じたので良かったかな…とは思いますが…壮絶。
家族の愛を受けないで育つと、やっぱり大人になってからも他人からの愛を強く求めちゃうんだな~
ってことと、お金って大切だなあってことをしみじみ思いました。
面白かった!
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登場人物である陽子の壮絶な人生に加え、予想できなかった結末、そしてしっかりとオチがあり、読み終わった後になんとも言えない高揚感がありました。
また、読み手によってどこをオチとするかが変わる作品で、そこもまた面白いと感じました。
誰でもわかるようなわかりやすいオチよりも、読み手によって変化があるオチ、の方が個人的には読みがいがあり、私史上過去最高の小説だと感じた傑作でした!!!
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葉真中さん作品初読み。冷たい感じの文体、淡々とした序盤だが、すぐに引き込まれた。目を背けたくなるような、でも続きが気になる展開。終盤リアルさが薄れるも、まったくのフィクションと片付けることもできないようなさじ加減。世の中にはほんとにこんな人が何人かはいるのかも。読後は不思議な安堵感、開放感があった。
「人間は自然現象」この表現は、秀逸だと思います。
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初読み作家さん。
本当は男の子が欲しかった…
奇しくも私自身がそう言われて育ってきた。
その後の壮絶な人生は、一言では言い表せず、こんな酷いことをした彼女にそれでも最後は頑張って欲しいと思ってしまった。
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予測不能の真実にあなたは辿りつけるのか?
マンションで発見された孤独死の女性、単なる孤独死に思えた死体は何がおかしい?がその何が分からない。
自分の娘を好きになれず、離婚してしまった女性刑事が彼女の足跡を辿り始めると、壮絶な半生を知ることになる。
無縁社会、ブラック企業、深い闇の世界、彼女の40年は存在したのか?
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小さな頃から母親に愛されず…
ただ普通に生きていただけだったのに陽子の人生はあれよあれよと転落していく。
終盤は、えーそうだったのかとなって、また最後の最後で、えー!あの人かとなった。
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複数の視点からの物語が組み合わさっており、構成によってトリックを上手に隠している。登場人物の感情や人間関係などに惑わされ、物語にのめり込み、真相に読者が近づけないような工夫が施されている。途中で上手く主人公を登場させている。ラストで女性刑事が真相に気づいた記載もあり、結末後の展開を想像するのも楽しい。
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【機能不全家族】
家族のメンバーの安全が守られず、
適切な保護が与えられず、
一人一人の人格が尊重されない家族
平凡だったはずの彼女は
歪んだ環境の幼少期思春期を経て、一家離散してからは転がるように堕ちていく。
無知な者は損をして、弱者は虐げられる。
そんな世の中で負の連鎖から逃れられず、更なる深い泥沼にはまっていく。
求めていたものは
認めてほしい、居場所がほしい、ただそれだけであったはずなのに。
壮絶な人生を送る彼女に降りかかる度重なる不運もただ降ってくるだけの自然現象なのか。
伏線の回収も素晴らしく、とても面白かった。
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一人の女性の壮絶な転落人生。読んでてネガティブになる物語。
平凡な一人の女性が、これでもかという不幸な出来事に巻き込まれ、裏社会のダークの世界に転落していく様が、あまりにも暗すぎます。
ストーリとしては、マンションで孤独死体となって発見された鈴木陽子。
刑事の綾乃は彼女の身元を確認するため、捜査していく事になります。
そうした、綾乃からの視点で描かれる物語。
そして、陽子を二人称(あなた)という語り口で、その人生を語る物語。
さらに、江戸川区で殺害された事件の関係者の証言で語られる物語。
この3つの物語が交互に語られることで、陽子の壮絶な人生が明らかになるのと同時に、事件の真相が一つに結びついていきます。
社会派サスペンスとして、現代社会の闇が語られていきます。
母親に愛されなかった陽子
父親の失踪から家族崩壊
一方的な離婚
保険外交員の闇
その外交員の女性達を懐柔する上司
金
風俗
DV
生活保護と囲い屋
保険金殺人
などなど
しかし、そもそもの始まりは、やはり母親に愛されず、承認欲求が満たされずに生きてきたところから転落が始まっているのでは?と思います。
母親の愛って大事!
ミステリーとしては、さまざまな伏線がうまく回収されています。もちろん二人称の語りもその一つです。
しかし、だいたいわかっちゃうんだけど...
ということで、暗い気持ちになってしまいますが、社会派サスペンス、ミステリーとして楽しめる物語でした。