紙の本
青山七恵氏の人と人と関係を描いた短編集です!
2020/06/12 10:41
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『ひとり日和』(芥川賞)や『かけら』(川端康成文学賞)などの秀作を次々に発表してこられた青山七恵氏の短篇集です。同書には、旅行を終えて帰ってくると私の家が消えていたという「予感」、小さい時からどんなに言われても決して踊らなかった優子が結婚して産んだ娘は踊り好きで幼稚園の運動会の演目に<親子ダンス>とあったという「ダンス」、大手の肌着メーカーに同期入社した実加と未紀という二人の友情の始まりと別れを描いた「二人の場合」、そして、金持ちの父親に守られ社会に出ることもなく老いてしまった姉妹を描いた「風」など、人と人との関係性を描いた短編が収録されています。
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短編が3つと見返しのショートストーリーだが、女性の視点で身近な出来事を冷静に見つめていると感じた.踊れない優子の生活を綴った「ダンス」は平凡な結末だと感じたが、「二人の場合」の阿川美加と小山田未紀の話は楽しめた.同期入社で売上成績の悪い二人が、普通の女性たちの行動を女嫌いの視点で非難しながら歩んでいくが、未紀がオーストリアに移住し、美加が結婚し女児を出産したことで、二人の思いがすれ違う.女同士の友情の終焉を見た感じだ.表題作は我儘は姉妹がお互いに勝手に生きながら、お互いに干渉し合う、男には理解できない世界だ.
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【ダンス】
所感
本能100%の表現てこうだよな。
本能的な〇〇っていうけど、結局そこには理性や他人の目を気にする気持ちが混じっている。
優子のダンスは純度100%
そりゃ踊り出すのも怖くなるわ
なんで私ばっかりこんな災難に見舞われなきゃいけないの?それはおまえがおまえの人生を生きている証拠
【二人の場合】
二人の場合とはいうけど、どんな人にだって当てはまる。
お互いがずっと気が合うことなんて奇跡に等しいと改めて実感する。
年齢を重ねるに連れてどんどん経験値に違いが出る。
その違いを意識すればするほど、解消しようとすればするほどこじれる。
友人関係に限っては過去に固執した方がいいかもしれない。
【風】
澄子も貴子も、比較対象がお互いだけの寂しい世界にいる。
澄子はその二人だけの世界で、いつも貴子に負け続けているから、さらに寂しい。
なにかに懸命になったこともないから、その世界から抜け出すこともできない。
最後にはさらにその世界を深める選択をした。
諦め。
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高2の息子が教科書で読んで(『予感』)面白かった!というので読んでみました。心情表現と、情景描写はとにかく凄い。心の隙間をつかれる表現で、絶妙な例えと筆致で情景が浮かんでくる。けれど。ストーリーがよく分からない。なるほど純文学。息子はどこに面白さを感じたのか言葉にできないみたいだけど、「自分」で見つけたものは宝物だよね。