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なんだこのクズ男と思いながら読んでいても、読後ずっしりと心にしこりが残りました。私も彼と似たようなとこが多少あるかもしれない。だからなのかな?彼は自業自得なんだけど、そうするしかなかったのかな。苦しいです。
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主人公の卑屈さ、彼女に対するクズさに嫌気がさしましたが、最後は感動してました。
時より出てくるユーモア、劇の構成は面白く、クズだけどすごい才能を持っているのではないかと思わされました。計算してのことだと思いますが、アイデアすごいです。
自分の評価は低めですが、純文学があまり好みではないので、好みの問題だけです。
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芸人又吉の第二作目。
どうしても「火花」と比較してしまうことになってしまいます。
文体は、純文学にこだわらずにストレートな感じがしました。
自意識過剰の主人公は「火花」同様にどうしようもなく痛くてクズな人間で、恋人は理想的なほどできた人で、その恋愛は哀しいほどすれ違うものでした。
純文学で恋愛といえば、エロスなシーンがあってもよいかと思いますが、極力排除された構成になっているのは、意図がありそうだと思いながらも読み取れませんでした。
ともかくラストの会話は、このシーンを書きたいために執筆したのではないのではないかと思えるほどすばらしい出来でした。
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デビュー作が評価された作家やミュージシャンは、往々にして「2作目のジレンマ」をどのように超えるかが大きな困難であり、そのジレンマを解決できずに歴史に埋もれた創作者は枚挙に暇がない。さて、本書を読了して真っ先に感じたのは、著者は一人の純文学作家としてのその陥穽を超克し、そのポジションを確立しただろう、という感覚であった。
今作では演劇の脚本家である若者を主人公として、芸術という自己表現に従事する人間が、必ずどこかでぶち当たるであろう”自らの才能を信じることの不安”や”自分より評価されている他者への羨望や嫉妬”などの感情が、余すことなく描かれる。天才でない大多数の創作活動に従事する者でこうした感情を抱かないものはいない(抱かなかったのだとすれば、それは天才か馬鹿かのどちらかである)はずであり、その感覚の生々しさがこうした言語化され、ストーリーに中に自然と配置される技術は、著者の強い才覚に基づくものであろう。
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又吉さんが書いているという時点で、既にその世界に入れている、入らされている?
独りよがりの主人公の胸が締め付けられる切ない物語。
サッカーゲームの選手名を作家さんにして、イタリア、ブラジル代表と戦わせるシーンは又吉さんのセンスが光る。やはりツートップは芥川と太宰か。
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正直、読み始めてから1/3位まで
ちょっと後悔するくらい、永田の話がつまらなかった
なかなか読みたいという気にもなれずだった
でも、中盤前に、どんどんと引き込まれ
気になり、気持ちを寄り添い、心配になり
最後は切なくて切なくて、
永ちゃんも、さきちゃんも、悲しくて切なくてアホで
若さゆえ、勢いなのか、正直なのかな気持ち
思い出したり感じたり、貴重な読書時間を過ごした
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こんな恋愛はしたことない。
だけど、この小説を読んでいると、昔の自分の恋愛を思い出すんだよ。
なんてことないのに悩んでいたりしたことを。
又吉さんの書く小説は、私の奥底に眠っていた何かを思い出させることが多い。
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恋愛小説ということで、普通によくある若い恋人同士の話でした。しかし、劇場というタイトルの通り、演劇をめぐる若い男女にはよくありがちな話でもあったりします。実際ない話じゃ無い。できる気になっている脚本家が、どうしても恋人を幸せにしたいが、その方法が手段が分からない。それはなぜなのか。そして、二人はどうなるのか。恋人同士を描きながらも、体の触れ合うシーンは少なく、文章は心情と行動、それと演劇とそれにまつわる文筆がほとんど。でも、この二人が一緒に居たいと想い合っていることは、はっきりと分かります。幸せにしたいと思い続けながら、その手段が分からない男にイラっとするかもしれませんが、それでもあがき、恋することを、胸が詰まる言葉で表現しているこの作品に触れた時、切なさを感じるのならば、それは大切な人をしっかりと愛せている証拠なのかもしれません。こういうエピソードを持つ友人がいるなら、他人とは思えず、きっと大切にしてしまうでしょうね。
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2作目どうなのかな?期待せず読んでみたら
『火花』より好きな感じ
純文学読んで、なにこれって小説が多い私には
又吉さんの書かれる小説はわかりやすくていいです。
芸人さんが書いた本ということで読んだこともありますが
素直に読み終わって、読んで良かったが感想。
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火花とはまた違う感じでよかった。個人的にはこっちのほうがすき。
暗いという評価が多かったけど、暗くて読みづらいとかそういうのはなくて、そんなに気にならなかった。
それよりも沙希の行動が自分と重なる部分が多くて、そこに関しては、読んでくうちにどんどん苦しくなった。
良かれと思ってやってたことが、悪循環を生んでて、気付いた時には時遅し…どうやっても元には戻れない状態、、なんてつらい。
いつか落ち着いたらもう一度読みたい。
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一気に読んだ。
永田の生き方、沙希との関係の続きが気になり、どんどん頁をめくる。
どんなに想い合ってる二人でも、うまくいくとは限らない。
作中の人物を見ながら、自分自身の生き方も顧みる。
永田は、人間らしい感情に溢れていて、沙希との接し方に悩む様子は微笑ましい。
が、さすがにもうちょっと何とかなるだろ、とも思う。笑
劇作家の人たちはこんなんばっかりなのか、とちょっと嫌いにもなる。
一度目はスピードを上げてぐいぐい読み進めてしまったので
二度目は一つ一つの文を噛みしめながらじっくり読もう。
あー楽しみだ。
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読み始めて、すぐに思い出したのは
「東京百景」の「池尻大橋の小さな部屋」。
大好きなエッセイが、ていねいに小説化されると
こんなふうに、切なくて、苦しくて、
誰かを想うことの哀しさをおしえてくれるのだ、
と、感動。
創作でも、恋愛でも、言いたいことが言えたら、
言うべきことをわかったら、もっと違う世界が
見られるのだろう。
でも、それができないから、追求して
苦しくて、投げ出したくなって、
でも、逃れられない。
読む程にその苦しさに共感できて、
ラストは、切なさに泣いた。
いつまでも、心の奥に大切にとっておきたい
そう思える作品のひとつになった。
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劇団の脚本を書いている永田と、服飾の大学に通うという名目で女優を目指して上京した沙希の恋愛小説です。読んでいて、苦しくなりました。
沙希の純粋無垢な優しさに触れることで、自分の醜さが強調されて苦しくなったり、同じ年齢で『まだ死んでないよ』という劇団の作・演出を手掛ける小峰の才能に純粋な嫉妬を感じたりする永田の気持ちに、共感しました。
永田はいつでも味方でいてくれる沙希の優しさや弱さに甘えて、いわゆる“ヒモ”で迷惑ばかりかけているように思えて、最低だとも感じました。しかし、“ほんまにみんな幸せになったらええな。(p178)”と言ったとき、永田のことが愛しくなりました。沙希のおかげで、こういう言葉が出たのだと思います。
永田も沙希も東京で死にかけでなにもできないと思っていたときに出会って、寄り添っていて、二人の“純粋”な部分が羨ましくなりました。
また、小説のなかで、商店街で空手の型を母親に披露しながら歩く少年に気がつくと、歩く人達が道をあけて進路をゆずる、優しい風景が大好きです。私も“こんな瞬間に立ち会うために生きているのかもしれない。(p149)”と思いたいです。
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火花の前から書き始めてた作品だけあって、何度も書き直したりしたであろう本作は、完成度の高い仕上がりだと思う。
細かな描写や繊細なセリフの表現が刺さりました。
次作が本当に楽しみです。
この二作と全く違う主人公を書ききって欲しいです。
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主人公は『コンビニ人間』の白羽を彷彿とさせるクズ男でした。沙季ちゃんが健気でね、なぜこんなクズと一緒にいるのだと、僕が親ならこの男を叩き潰しますね。
と、思わせるあたりは又吉直樹、才能あるんだなと。『火花』でもそうでしたが、何かに夢中になってまわりが見えなくなっている男を書くのがうまい。口喧嘩の場面なんかは、よくあれだけの言葉が出てくるなと関心。
ちょっと細かいけど、前半部分では人が多くいる様子を「人込み」と表現していたのに、後半では「人混み」となっていたのが気になりました。意味が違うのか?
総合的には満足、三作目も出してほしいですね。次はまったく違う人物を描いてほしいです。