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序盤は読み進めるのに時間がかかってしまいましたが、中盤から一気に面白くなってそこからはスラスラ読めました。最後は思いもよらない展開だったので、それまでの謎が宙ぶらりんになってしまったのがモヤモヤします。
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認知症の老人が集まったグループホームで、民俗学の口頭伝承の研究をする千夏。老婆が口にした謎の言葉を追い求めるうちに、とんでもない真実に行きついてしまうミステリ。
認知症の老人たちのコミカルな会話が笑いを誘います。だけどそれはボケてるから、ってものじゃなく。認知症であってもそれなりの理屈はきちんとあっての面白さ。そして研究を進めるうちに、老人たちもまた生き生きとしてくるのがなんとも楽しくって。カウンセラーの松山との対立には抱腹絶倒です。
一方で謎の言葉「おろんくち」にまつわるあれやこれやが浮かび上がってくる展開は実にサスペンスフル。いい意味でじわじわと嫌な雰囲気が高まります。ただ、このおおもとの物語があまりはっきりしなかったのは少し残念かな。
そしてなんとも意外な真相。まさかそこに行きつくとは! ぐいぐい物語に引っ張られ、そうかあれが伏線だったのかあ、ってのも完全に忘れていました。読後感はとてもすっきり。
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民俗学を背景に、おどろおどろしい雰囲気が漂いつつも、個性的な老人達と追い詰められた高校生が活気を取り戻していく様は読んでいて自分の中の嫌な気持ちが少し払拭された。人って面白いし、凄いと思ったけど、今自分の周りの「人」にうんざりさせられすぎてて面白いっていう境地にはまだ達せられない。そんな日が来ることを…というかそう思えるようにしなきゃなんですよね。
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民俗学を専攻する大学院生羽野千夏は、「口頭伝承」を研究するため認知症グループホームに通うことに。そこには様々な老人がいたが、千夏が特に関心を寄せたのは最高齢のルリ子。彼女がつぶやいた「おろんくち」という言葉を頼りに、高校生の立原大地とともに、過去の記憶、そして現代の問題解決へと突き進むが・・・
前半はいま一つであったが、後半スピードに乗るとともに、老人達のキャラクターも面白くなり、楽しく読めた。ただ、千夏がどうしても“法医昆虫学捜査官シリーズ”の赤堀とダブってしまう。
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7月-2。3.5点。
認知症専門の介護施設。民間伝承の研究者が、
研究のためにボランティア。
認知症の言葉の中に、貴重な情報。
全くコミュニケーションとれない老女から、意外な情報が。
着眼点が面白い。認知症の言葉の中に真実が。
次作も期待。
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著者の法医昆虫学捜査官シリーズのファンなのでこちらも読んでみました。認知症という重いテーマをさらりとした読後感で書いてます。現実はどうかは別として。民俗学の要素はちょっと薄いように思いました。ヒロイン性を否定した(?)ような主人公ですがシリーズ化されるのかな?特殊能力もあるので期待してます。
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初出2015年「小説現代」
面白かったぁ。
認知症の人が最後まで持ち続ける「消えない記憶」とは何なのか。民俗学を研究する大学院生千夏は、それを研究するためグループホームにやってくるのだが、そこは私も知りたい。
脱走して徘徊したがる老女が言う「おろんくち」の謎を解こうとするのは推理小説張りの展開だし、「おろんくち」を目撃する場面はホラー張りに鳥肌が立った。
結末は意外!!やられました。ちゃんと伏線張ってあったのね。
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とっても興味深い作品だった。口頭伝承の研究が思いがけず行方不明事件の解決へと繋がっていく。個人的には事件そのものよりも、主人公と老人ホームの曲者入居者達とのやり取りが何より面白かった。現実社会でも専門家たちや評論家たちは素人の意見なんぞハナから聞く耳持たない場合が多いが、たいした知識も持たない人の方がある意味先入観も持たずに考える事が出来るのでしっかり聞いて吟味してからの方が恥をかかなそうな気がする。映画にするとクスッと笑えて暖かみのあるミステリーになりそうなので観てみたいな。
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老人ホームにいるんだから痴ほう症がある人たちと民俗学を専攻している研修生が、謎の言葉を解き明かす。あんまり読んだことない内容だった。痴ほう症だからと諦められていたご老人たちの一致団結力と記憶力に驚く。高校中退で未来に希望もなくしている男の子も出てくるんだけど、自分がふとしたことで興味を持ったことには、根気とやる気と行動力がすごい。それがたまたま民俗学とご老人のよく口にしていた昔話なんだけど、自分の進む道が見つけれてよかった。
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羽野千夏は民俗学を専攻する大学院生。
昔話や口頭伝承研究のフィールドワークとして、グループホーム「風の里」に通い始めた。そこは、認知症を患い、問題を起こす老人ばかりが集まる施設だった。
千夏はそこで、コミュニケーションのとれない一人の女性がきれぎれにつぶやく言葉の「おろんくち」に、心をざわつかせる。
間に挟み込まれる高校生の大地の物語。母親の重すぎる期待が鎖のように身を縛り、学校にも通っていない。
大地の心の叫びが実に重く、息苦しいが、いつか千夏と出会うのだろうと、ようやく読み進められる。
千夏はネット上で、「おろんくち」の意味を尋ねまわるが、それに答えたのが大地だった。
認知症に苦しむ老人たちにも、それぞれ、輝いていた人生がある。一人一人から、その「消えない記憶」を必死で聞き取ろうとする千夏に、老人たちはいつしか心を開き、「おろんくち」の意味をさぐる千夏の手伝いを
するようになる。
老人たちは単なる弱者ではなく、それぞれが強烈な個性を輝かせている人間だ。
重苦しい問題をはらんでても、認知症を患っていても、
老人たちが生き生きと描かれ、千夏や大地との交流の温かさが心にしみる。
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介護施設の暗い部分が前面に押し出されているので、
全体的にとても暗い話で、読んでいると疲れる。
まぁ、それが介護の現実なんだろうけど。
でも、ミステリー仕立てになっていて、話が進んでいくと
ちょっとずつ明るい話もあったりする。
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認知症老人ホーム と 民俗学研究者の大学院生
そこに 壊れかけた親子関係を持つ高校生の登場
思いもよらない それぞれの関係が
もつれあって結びついていく物語
老人ホームの訳あり曲者老人たちの
それぞれの人物描写が秀逸
その強烈なキャラクターが、徐々に伏線となって
物語を進めていくのも
また 楽しい
準主役の高校生、立原大地の母親
そして、カウンセラーの松山
これでもかというぐらいに、
問題ありの人物として描かれているのも
物語に深みを添えてくれる
読み終えた後の
爽快感が心地よい
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キャラの設定がうまいよね〜。
人好きする主人公ならではの展開だと思う。
口頭伝承の聞き取りのため老人ホームで研究かぁ、上手に聞くことができれば面白い話を聞き出すことができそうではある。
他人の話から物事の筋道を導き出すことができるなんて、相当話を聞くのがうまいのね〜。他人の話をゆっくり聞いてあげられるくらいゆったりとしておかないとね、せっかちなあたしには無理か。いやいや、努力しだいよね。
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認知症グループホーム「風の里」を舞台に、大学院で民浴学の研究をする主人公千夏さんが「風の里」に住む認知症の高齢者とのコミュニケーションを通してストーリーが展開されていくので、職業上認知症の方々とも接する機会がある私にとっては認知症の方々を理解することのできる作品になっていると感じた。(フィクションではあるのだが。)
なので小説としてストーリーを楽しみながらも認知症の症状についてある程度理解できる作品となっていると思う。
またもう1人登場する高校生の大地くんという主人公がいるのだが、母親の過度な束縛と父親の放任主義によって大地くん自身がとても苦しい思いをしているのだけど、たぶん私がおっさんになってしまったからなのか、大地くんの母親父親の方に肩を持ってしまい、何度も大地くんに対して心の中でつっこんでしまっていた笑
高校の時はもしかしたら共感していたのかもしれないと思った。
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1月21日読了凄く面白かった。「おろんくち」という言葉が意味するものを探し出す過程がスリル満点でよかったことに加えて、母親からのプレッシャーで味覚障害だった大地が千夏の好物のパンを美味しいと感じられるようになったところにとても感動した。ルリ子の見ていたものがみえて、それはとっても意外な光景で驚き、怒涛のクライマックスを迎えるという形で最後は一気読み!大地のその後がもう少し知りたかった。また、千夏と大地を主人公にした作品を読みたいなあって思った。