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「南部芸能事務所」シリーズの3作目。
前作でようやくコンビ名が決まった“溝口新城”だけど、だからと言って彼らが芸人として認められるわけでもなくTVに出られるようになるわけでもない。
お笑いブームが去った後の厳しい世界でやっていけるかどうか、相変わらずの境遇の中で自分の将来だけでなく、自分の周りの人の将来も含めて、決して楽天的になれない思索がグルグルと回る。
このシリーズ、世代も境遇も私が生きる世界とは全く違う世界の話なのだけど、何となく身につまされることが多いなぁ。
一緒に暮らす男女間の感情の機微、家族が子供に寄せる思い、姉が弟を見守る気持ち、夫婦になろうと思う時の決意、これまで生き抜いてきたことへの自負と過ごしてきた時間への悔恨。
主人公の新城と溝口だけでなく、周りで息づく人々のそれぞれの生活を通して語られる、それぞれの人生に対する思いが、なかなかしっかり沁みてくる。
ゆっくりと、本当にゆっくりと進む話は、ようやく最終盤に吹いた“春の嵐”によって動き出すか。一筋縄で進む筈もない1年がかりのオーディション番組、次巻をまた楽しみに待つ。
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弱小お笑い事務所のひたむきな人々を描くシリーズ第3弾! 同じ大学の新城と溝口はコンビを組み、「メリーランド」としてデビューしたが、中々ブレイクできない。先輩トリオ・ナカノシマは中嶋の彼女が妊娠、解散の危機に。そんなとき、オーディション番組の話が舞い込む。
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シリーズ第3弾。
新番組が始まるとの話がささやかれ始めて各事務所の若手新人芸人たちの焦りが見られる。
またそれに伴って関わる先輩、スタッフの様子もあり。
厳しい世界でどう這い上がっていくか。
いよいよ次作にて芸人としての実力などが表現される様子なので期待。
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弱小芸能プロダクション・南部芸能事務所を舞台に、お笑いに魅せられたひたむきな人々を描くシリーズ第3弾。
熱くお笑いを語り合うわけでもなく、芸に精進している姿をみせるわけでもない。何故彼らはお笑い芸人の道を歩んでいるのか。三作目となる本作品でもその答えはない。登場する若手芸人たちの描かれる気質は、そのまま現代の若者の姿に見えるし、年配者にとっては「ピン芸人」のテネシー師匠のエピソードは感涙ものである。
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再読。
新城の『プロ』、新城のお姉さんの『姉と弟』、ナカノシマ中嶋の『家族』、インターバルの榎戸君の『一人暮らし』、津田ちゃんと付き合う橋本の『東京』、テネシー師匠の『ピン芸人』、そして『春の嵐』。…
どの話もキュンとくる切なさです。
覚悟を決めた新城が頼もしく、でもお姉さんの前では可愛く愛おしい。
中嶋も頑張って欲しいな。おめでとう!
榎戸君の話からは、逆に子離れについて考えさせられました。
いきなり吹いた春の風。
以前読んでいるにも関わらず、先に進みたくてうずうずしています。続きが楽しみ!