電子書籍
本当にすごかった!
2017/12/05 00:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:もうもうさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者もすごいが、翻訳者もすごい!
これほどまでに、読みやすくて理解しやすい物理科学書はそんなに多くありません。
このような翻訳者に出会えて良かった!
投稿元:
レビューを見る
ループ量子重力理論の解説本
ニュートン:時間、空間、粒子
ファラデー・マクスウェル:時間、空間、場、粒子
特殊相対性:時空間、場、粒子
一般相対性:場、粒子
量子力学:時空間、量子場
量子力学は事物ではなく過程で考えるよう促す。
特殊相対性:最大の速度が存在する 光速
量子力学:最小の情報が存在する プランク定数
量子重力理論:最小の長さが存在する プランク長
投稿元:
レビューを見る
科学史、技術史、数学史の良本はあるが、物理史をデモクリトスから量子力学の先まで、Wikipedia的解説ではなく自分の言葉で説明し切る本は珍しいように思う。邦題は何ともダサい。
概念・数学は無限・連続だが、現実世界・物理学は有限・離散的である。
著者専門の量子重力理論。超ひも理論やマルチバースの派手さはないが、物理世界において無限を拒否することで統一理論が得られるならそれが正解なのかもしれない。訳者あとがきの通り、日本には超ひも理論の本ばかりだったので新鮮だった。
この世は4Kディスプレイのすんごい緻密なやつである、ってことか。素数ってのは、量子場が干渉して事象が生じる座標なのかね。
投稿元:
レビューを見る
カルロ・ロヴェッリ!『時間は存在しない』も『世界は「関係」でできている』も読みたい本としてチェックしてはいました。でも書名の凄さ…とイタリア人物理学者…という著者への馴染みのなさになかなかページを開くまでには至っていませんでした。(よく考えたらフェルミっていうスーパースターがいるので偏見でしかないのですが…)全然、関係ないのですが先日パウロコ二ェッティ『帰れない山』という小説を読んでイタリアの文学に触れ、この本こんなに面白いのは訳者の力もあるかな?と関口英子の訳書調べたらカルロ・ロヴェッリの『すごい物理学入門』が出てきて、これは読むしかない!と手にしたのが本書でした…はい、「入門」と「講義」は違う本なので間違いです。でも間違いでも読んでよかった!こんな読みやすく(っていうことは栗原俊英訳の力もすごいってことですね…)こんなにわかりやすく、こんなにワクワクする物理学の物語は初めて(?)です。本書はデモクリトスの無限の有限の話から熱く始まります。ここが先ずユニーク。デモクリトスの物語であると同時に著者の物理観も伝わってきます。それがアイザック(・ニュートン)、マイケル(・ファラデー)の古典物理学からのアルベルト(・アインシュタイン)の一般相対性理論、ニールス(・ボーア)、ヴェルナー(・ハイゼンベルグ)、ポール(・ディラック)の量子力学の二大ジャンプへ。この物語がイキイキしているのはスーパースターたちがファーストネームで記されていることも一因か。それがマトヴェイ(・プロスタイン)、ジョン(・ホイラー)、(ここらへんはマニアック?)を経て相対論と量子論の融合する量子重力理論に近づいてきます。最近、「超弦理論」についての本は読んだことはありますが、それに対抗するのが著者の提案する「ループ量子重力」。「弦」か「ループ」か、この探索も現在進行形の物語です。やっぱり宇宙ってすごいな、物理学ってすごいな、な本ですが、一番すごいのはそこを理解しようとする人間なのかもしれません、だから本書は物理の物語であると同時に人間の物語でもあるのです。本文はともかく『すごい物理学講義』って書名、安直な訳だと思ったのですが、いや『すごい』でいいのかもしれません。この本の中で章のタイトルになっていたりもするのですが『時間は存在しない』、すぐ読まなくちゃ!
投稿元:
レビューを見る
サイエンスのいろいろな分野の第一人者が広く一般向けに、
古代から現代への ”知” のリレー、積み重ね、歴史、現状、
将来への課題を知らしめてくれるタイプの本が好きで時々読むのだが今回は ”物理学” 。
「La realtà non è come ci appare(現実は目に映る姿とは異なる)」というタイトルの本が日本で出版されるとなぜか「すごい物理学講義」に。
すごいけど。
投稿元:
レビューを見る
20世紀において物理学ほどクリエイティブであった学問はないだろう。相対性理論と量子力学は既成概念を一変させてしまった。しかし両理論で語られる世界は我々の常識とあまりにかけ離れており理解するのは難しい。著者ロヴェッリ氏は、その源流であるギリシャ哲学者デモクリトスからニュートン、ファラデーとマクスウェル、そしてアインシュタインと辿り、その概念の基礎を初学者向けに極力丁寧に概説する。(但し後半はそれでも難解)
プランク、ボーア、ディラックと脈流した量子力学は、いまや相対性理論との統一理論の議論となっている。量子の3つの特性である粒性,不確定性,相関性はややもすると相対性理論と相容れないと考えられてきたが、「時」という概念を再定義したとき(そもそも「時間」というものが存在しない(!)と考えてたとき)、両理論は近接し始めた。統一理論というとNHKで特集されたこともあり日本では超ひも理論が有名だが、双璧を成すループ量子重力理論というものがあることを初めて知った。「神はサイコロをふらない」かもしれないが、神のサイコロは非連続性のなかで点在し我々はその点を捉えているだけなのかもしれない。
本書は専門家でない物理学好きにとって知的好奇心を擽られる大変面白い本であったが、唯一の不満は私の好きなシュレーディンガーがほぼ登場しなかったことである。
投稿元:
レビューを見る
【所在・貸出状況を見る】 https://sistlb.sist.ac.jp/opac/volume/207169
投稿元:
レビューを見る
前半で、ギリシア時代から現代までのわかりやすい物理学史
をまとめ、後半ではループ量子論の立場から現代物理学を
紹介している。宇宙論・素粒子論として日本ではもっぱら
超ひも理論が紹介されることが多い。もちろん私にはどちら
が優れているかなんてわからないのだが、ループ量子論の
「空間も量子からできている(粒状である)」というのは
何となく腑に落ちる内容だった。さてあとどのくらいで
決着が着くのだろうか、楽しみではある。
もう一つ感じるところがあったのは熱と時間の関係について
であった。エントロピーのことを考えるとごく自然な帰着
なのだろうが、今まで熱と時間の関係性など考えたことが
なく、とても新鮮な驚きであった。
と言っても、もちろん私に詳しく説明する能力はないので
尋ねてこないように(笑)。
投稿元:
レビューを見る
「すごい物理学講義」Carlo Rovelli
科学とは、思考の在り方を絶えず探求していく営み。
観察と理性を適切な方法で用いること。批判的な思考を正しく用いれば、我々は世界に対する自らの視点を絶えず修正できる。
物質は原子から構成されているという原子仮説は1905年になってようやく決定的な証拠がもたらされた。
今日の私たちが知っている全ての事柄も、まだ私たちが知らない事柄と比較すればおおまかであるに違いない。
色とは光を形作る電磁気の波の振動数(振動速度)、もし波がより早く振動すれば青くなり、遅く振動すれば赤くなる。
速度とは相対的な概念。物体それ自体の速度は存在しない。
時空間には、ある事象を起点とした過去と未来の総体に加え、過去でも未来でもない時間の総体が含まれており、その時間は一瞬という点ではなく、ある程度の長さを持っている。
現在という時間の薄片が空間全体に広がっているのではなく、時間と空間はひとつの構造体として互いに影響を与えあっている。
標高が高い場所では時間が速く過ぎ、低い場所では遅く過ぎる。
光にはエネルギーを伝達する機能がある。物に光を当てると熱くなるのはその一例。
光を当てれば電気が流れる光電効果が発生するのは光の振動数が高い時だけ。この現象が生じるか否かは光の強度(エネルギー)よりも光の色(振動数)に左右される。
誰かが理解した後に理解するのは簡単。難しいのは物事を最初に理解すること。
量子力学が発見した三側面
・粒性
ある物理学的な系の中に存在する情報の量は有限であり、それはプランク定数hによって限定される。
・不確実性
未来は過去から一意的に導き出されるのではない。極めて厳密な規則に従っているように見える事柄も、現実には統計的な結果にすぎない。
・相関性
自然界のあらゆる事象は相互作用。ある系における全事象は別の系との関係のもとに発生する。
量子場を形成する個々の粒子は別のなにかと相互作用を起こす時だけある一点に居場所を定め、その姿をあらわにする。ひとたび相互作用を終えるなり、粒子は「確率の雲」の中に溶け込んでいく。世界とは、素粒子が起こす事象の湧出。波のように振動する、大きく躍動的な空間の海に素粒子は浸かっている。
世界は屈折した時空間であるという一般相対性理論は、量子化された場(量子場)を想定していない。一方量子力学は、世界は平らな時空間であり、離散的なエネルギーを持つ量子がその中を飛び交っているとする。これらを矛盾なく統合した理論の一つがループ理論。
我々はつぶれたりよじれたりする巨大な軟体動物の中に浸かっている。
物理的な空間も場である以上は量子からできている。量子重力場。
ループ理論を使えば、空間は粒状の原子構造を持っている事を方程式に翻訳し、数学的に正確な方法で表現できる。空間の量子的な構造を記述し、正確な寸法を計算できる。
空間は空間の量子から形成され、離散的な構造を備えている。
世界の基礎を形作る実体は、空間や時間の中に存在しているのではなく、それら自身が互いに関係を築きながら空間と時間を織りなしている。
私たちの宇宙の先に存在しているかもしれないものを理論的に探究する事。
物理学は新しいデータが利用できるようになった時だけ進歩するのではない。
正しい理論に向かって正しい道を進むためには兆候が必要。
ループ量子重力理論が示唆している空間の量子化や時間の消失という極端な概念上の帰結は、20世紀の二大理論を真剣に検討し、そこから結論を導き出そうとした帰結。
未来へのタイムトラベルは理論的には容易。宇宙船に乗ってブラックホールの近くまで行き、そこでしばらくの時間を過ごしてからブラックホールを後にするだけ。ブラックホールの地平線では時間が止まるので、そこの数分は他の場所の数百万年でもおかしくない。
重力場の微視的な振動がブラックホールの地平線の正確な位置を決定する。地平線は高温の物体のように振動している。
量子重力理論によれば、ブラックホールの中心では事物を反発させる巨大な圧力が発生する。それは崩壊する宇宙が反発して膨張する宇宙へ移行するのと同じ状況。
この世界にあらゆる無限は存在しない。最小の情報(量子力学)、最短の長さ(量子重力理論)、最大の速度(特殊相対性理論)という自然単位がある。
世界は原子の総体の間に認められる相関性の網であり、物理的な系によってやりとりされる情報の網でもある。
紅茶が冷めるのは、紅茶の持っていたエネルギーの一部が周りの空気に移動したから。
情報とは「起こりうる選択肢の数」の事。
エントロピーとは欠けている情報、つまりマイナスの符号がついた情報。エントロピーの総量は増大する事しかないが、それは情報の総量は減少する事しかしないから。
公理1 あらゆる物理的な系において、有意な情報の量は有限である。(粒性)
公理2 ある物理的な系からは、つねに新しい情報を得る事が可能である。(不確定性)
有意な情報とは、過去に我々がある系と相互作用を起こした結果として、私たちがその系について所有する事になった情報。その情報は、未来に我々が同じ系と相互作用を起こした時、我々がいかなる影響を被るか予見する事を可能にする。量子力学の世界において、ある系と相互作用を与え合うとき、我々は何かを得るばかりでなく、同時にその系に関する情報の一部を消去している。
ある環境の中で存続していく為の最も効果的な方法は、外部の世界と適切な相関関係を築く事。情報を収集し、蓄積し、伝達し、改良する能力に長けた生命体ほど存続していける可能性が高い。
自分たちの見解に疑いをもてる人間だけがその見解から自由になりより多くを学ぶ事ができる。
投稿元:
レビューを見る
文学的読み物として、量子力学までの章も面白かったけれど、第12章がいちばん面白かった。
・事物はつねに「統計的な状況下にある」
・時間の起源は、温度の起源と同質
15歳ごろ、読んだ本にあった現実世界をたとえ表す言葉「シーツの下にある手。それはみえないがシーツの上に手のようなかたちが浮かびあがるのを観測できる。」
これに加えて、上記2つを知っていれば、物理を履修しながら感じたいろんなもやもやした疑問がすっきりとして、それはそれ、として学校での古典物理を学べたかもしれない。
なお、シーツのたとえは、この本のさいごのほうで語られた「網についてずっと述べてきた」という表現とリンクする。
それと、『太陽の塔』の本でも感じた「熱」について、世界を記述し感受するうえで、軸となる概念であることを再認識した。
・熱を発散し、その必然的な帰結として、時間を生み出す (P252)
熱の発散、生命の進化(時間の経過)、生命における進化とは情報量の移動であり、生命が現実世界と「こすれるとき」の摩擦が熱と躍動を生む。いつかみんな遠ざかり離れていく、さようなら。(エントロピーが増大するのを観測するとき。)地球を守る母なる月ですら潮汐の摩擦熱を因として少しずつ離れていくという。
*
量子力学で単純な経験的に知ってる・見えてる現実とは感覚的に異なる記述が現れるのは、まず初めに1を1とした記述する言語問題ではないか、平面上での計算や解釈から発展していった描述がベースであるゆえではというところが、やっぱりもやもやはする。
投稿元:
レビューを見る
数式が少なく、とても読みやすい本でした。
二千年前からの物理の歴史が分かりやすく書かれていて勉強になった。特に以下の項目についてとても参考になった。
・物理学の発展には数式の改良よりもまず先に閃きや直感が必要だということ
・アインシュタインの三次元球面とダンテの神曲の世界観がそっくりである(分野は違えど同じ場所に到達している)
・時間は熱から生まれる
・
投稿元:
レビューを見る
自分たちのいるこの世界はどのようにしてあるのか。ヒトもモノも、すべては素粒子でできており、その素粒子に働く力もまた素粒子である。かつて、ニュートンは「万有引力」を発見したが、離れた物体同士が、どうやって引力=重力を伝えているのかは分からなかった。やがて、ファラデーが「力線」を発見して、離れた物体同士の間に「場」という実体があることが分かった。今日ではその「場」も素粒子でできていることが一部分かっている。例えば、電磁「場」なら、それは光子の「場」となる。通信が通じるのも、磁石が引き合うのも、離れた物体同士の間で、光子がやり取りされるからである(なお、光子の「場」の振動が電磁波であり、その一部波長が可視光となる)。つまり、物質も、力も、すべては素粒子なのである。また、再びさかのぼって、ニュートンは「運動方程式」を発見したが、その際、「空間」と「時間」が、本当に絶対的であるのかは分からなかった。やがて、アインシュタインが「特殊相対性理論」を発見して、「空間」と「時間」が、実際には相対的であることが分かった(地球の今この瞬間が、火星では15分相当である)。そして、今日では「一般相対性理論」によって、「時間」と「空間」が、重力の「場」であることが示されている(=ループ量子重力理論)。残念ながら、重力「場」をつくるとされる素粒子「重力子」はまだ発見されていない。が、このことは、もしかすると「空間」と「時間」もまた、素粒子のような実体であり、粒の集まりなのかも知れないということである。いわれてみれば、これまで自分たちが「何も無い空間が有る」という不自然を、当たり前に信じてきたことに気付かされる。「連続的」ではなく「離散的」な「空間」の衝撃。原題は『現実は目に映る姿とは異なる』。筆者は元ヒッピーという異色の物理学者。より易しく書かれた本『世の中ががらりと変わって見える物理の本』が世界的ベストセラーとなった。
投稿元:
レビューを見る
前半で物理史を概観し,特に20世紀に生み出された相対性理論と量子力学を解説した後,後半で両者の統合を目指す仮説の中でも,著者の支持するループ量子重力理論について,丁寧かつ平易に解説した一冊.科学的思考の魁であるミレトス人の哲学を始めに置いて,Democritusの原子論を通底したテーマに掲げ,独自の直観を兼ね備え,既存の考え方を異なる視点から見つめた人々が,新たな理論と分野への道を拓いてきた系譜を辿る.相対性理論における時空の歪みの説明はこれまでいろいろと読んだ中でもよく納得できたし,多次元球とダンテの神曲の関係は興味深かった.量子力学についても,肝心なところはまだどうもという感じがあるが,大雑把な枠組みについての理解は多少進んだ.後半の内容として,有名な超弦理論は,重力場を形成している時空間を無限小に分割することが可能だとする一方で,著者の支持するループ量子重力理論は,時空間がそれ以上分割されえない有限小の要素で構成されるとしていて,上述した原子論のテーマと調和しており,全体としては淀みなく理解できた.ただこの本自体はループ量子重力理論に入れ込んでいる内容なので,超弦理論については改めて勉強したいところ.最後の情報の話はほぼ置いてけぼりだったが,時間の不可逆性と熱の不可逆性の関連については目から鱗だった.物理に明るくない人や,大学などで必要に迫られて何となく勉強したことはあるが,イメージの構築が上手く行っていない人(私)にとっては楽しめる内容だと思った.実際個人的にはいくつかの物理的概念について,見方を構築する/かなり変えることができた.参考文献にも良さそうな本があったので読んでいきたい.
投稿元:
レビューを見る
うーむ、これよりもうちょっと簡単な方が当方にとってはありがたい。当方レベルからすると、ちょっと飛躍度合いが、、、
だからか、科学者の人柄が垣間見えるエピソードばかりに目が行ってしまった、情けなし。でもちょっと良い話が満載ってな感じで、これはこれでありかな、と思ったりして。
投稿元:
レビューを見る
直感的にスゴイということだけは分かるのだが、内容を理解しているのかと問われれば、俯くしかない。
それでも凄い本なんだろうなだと感じる。