紙の本
人間とは崇高なもんではない
2018/03/05 02:27
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投稿者:J・P・フリーマン - この投稿者のレビュー一覧を見る
人間がすばらしいというのは幻想だと、真っ向から主張している本。すべての人間は自身の満足感を得るために行動している。他人への慈愛や、自己犠牲の場合でも、それは例外ではない。要するに「自分が苦しい思いをしてまでも、人を助けてる自分ってかっこいい」という具合に自分に酔いたいから、人助けをするんだってことですね。人間は他の動物と本質は同じだという、キリスト教の教えを否定する場面もあるので、刊行された当時はかなり物議があったのではないでしょうか?
紙の本
ジジイと仔羊
2017/08/17 13:59
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投稿者:とめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
生来の気質と習得した信条によって人間は成り立っており、オリジナルなものや考え方など産み出し得ない、ということを創造主としての神を信じる老人(著者)が説き伏せようとしている。元も子もないと切って捨てられない余韻が残る。
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若者 それなら明らかに、人間というものはすべて、善人にしろ悪人にしろ、どちらも、その身を捧げるのは自分の良心を満足させるためなのですね?
老人 そうだ。それが一番ふさわしい名前だろうな、それを呼ぶのには。「良心」――あの自主独立した「主権者」、あの傲慢なる絶対の「君主」。人間の内部にあって、人間の「主人」なるものだ。良心にも、ありとあらゆる種類のものがあるからだ。暗殺者の良心だって場合によっては満足させられるし、博愛主義者の良心だって、守銭奴の良心だって、押し込み強盗の良心だって、やはり満足させることができる。一つの指針ないしは動機として、それが厳然と規定されたどんな道徳や品行(ただし鍛錬は別だが)にたいしても役立つかと考えた場合、人間の良心などというものはまったく価値のないものなのだ。
老人 だが、彼らを鍛錬するんだ。そして戦闘を一つや二つやらせてみるのだ。そうすれば、彼らだって兵隊になるはずだ。そう、兵隊だ。兵隊としての誇り、兵隊としての自尊心、兵隊としての理想をもったものにな。そうなれば、彼らは兵隊としての精神を満足させなければならなくなるはずだ。事務員としての精神でもなく、整備工としての精神でもないのだ。その精神を満足させるのに、兵隊としての義務を避けていたのではとてもできることではない。そうだろう?
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明治維新以降濃厚な関係を持つようになった米国
この米国と古くからの関係国中国との関係で憎らしいほど複雑化した、第二次世界大戦。僕の時代認識は最近の事象含みで嫌悪米国へと及ぶ、そのような時節に本書と出会い心が解き解された◎米国は政府と人民をある程度分離して考える必要がある。と。そのような書き出しで始めた本書感想は、濃厚な禅問答と良質な瞑想レクチャーを受けたかのような内容により一層のトゥエイン作品への興味関心を引き立てた。と言うものである。訳者大久保博氏、解説金原瑞人氏に感謝◎
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人間はただの機械であって、外部からの影響によってよみ変化するというおはなし。ぼくらはただ動いているだけ。自己啓発の劇薬と呼ばれるだけあって刺激的でしたが、捉え方や解釈の問題でしかないと思えて、それを真実かのように説明されるのには納得がいきませんでした。また、(訳者の特徴らしいのですが)原作の文法に忠実な訳で日本語として違和感がありました。
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本編も面白いが、訳者あとがきにドキッとさせられた。『反応しない練習』(草薙龍瞬)を思い出しながら読んだ。