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紙の本
高慢ヒロインありきが良いのではない
2017/06/27 21:54
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
さしずめ3打数1安打といったところか。デビュー作たる1打席目の『高慢令嬢姉妹、堕ちる』が見事なホームランだったのに比べ、2打席目の『高慢女教師三姉妹-完全屈服』と3打席目の本作は残念ながら打ち損じているようである。
タイトルからも分かるように高慢なヒロインを中心に据えて3作を連ねた訳だが、思うにデビュー作が出色だったのは高慢なヒロインだったからではなく、辱めを受けた妹への義憤による復讐劇の面白さだったからであり、つまりは勧善懲悪痛快娯楽官能小説だったからと推測する。普段は善人な主人公が妹のことになると人が変わって悪役たる令嬢ヒロインを貶めていく。そのヒロインが高慢だったということである。2作目以降は勧善懲悪でもなければ痛快でもなく、故に娯楽性にも乏しいことが根本的な違いであろう。ヒロイン云々もさることながら、主人公のキャラもまた作風を決定づける要因であることを示しているようである。
本作の主人公は挑発めいた言葉責めばかりで鼻につくものの、凌辱作品のキャラとしてそれほど悪いとは思わない。新進気鋭のバレリーナとして高慢な態度のヒロインに恨みを持っているようだが、真の矛先はその背景にあるバレエの名家であり、複雑な事情を絡ませつつヒロインもまた保身を第一とする名家の被害者であることを示すストーリーもそれ自体は悪くない。
気になったのはボディガードである。
名家の令嬢だけにボディガードがついており、これに人妻属性を付加してサブヒロインとしているのだが、前の2作で姉妹ヒロインにしたせいか今回は縁もゆかりもない赤の他人。故にボディガードの使命感のみで凌がざるを得ず、これがチト苦しい。自身の悲しい過去に照らし合わせてヒロインが二の舞とならないよう努めるものの、元よりそこまで尽くす謂れがあるだろうかとの疑問が沸く。
さらには捕らわれたボディガードの主な責め手が主人公ではないところも違和感となろう。真実を知って心変わりしたヒロインが豹変した結果なのだが、ここからの展開には不自然さがつきまとう。そもそも夫ある身で夫婦仲も良好なのにそこまで堕ち果てる理由が見当たらないのである。
3人ヒロインだった前作や前々作に対して2人に絞った本作ではあるが、その関係性やバランスにおいては一考の余地があるような、もしくは本来なら1人で進めた方がスムーズだったのに2人目を付け焼刃的に追加して纏まりが欠けたような、そんなズレを感じる。
拘束されてからは緊縛から粗相にお尻まで責められ続けたヒロインではあるが、プライドの高さから喘ぎを我慢することが多く、それが官能的にはマイナスに作用した面も否めないであろう。
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