0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:もぐもぐ - この投稿者のレビュー一覧を見る
短編集だけど気に入ったのは表題作と最後の特急富士。表題作はその日じゃなきゃ駄目だった必然性に眼をみはるし、[特急富士]は意外な反復に笑ってしまった。
投稿元:
レビューを見る
過去に発表した2作+書き下ろし3作の短編集。表題作(2003年発表)は確かに他のアンソロか何かで読んだ記憶がありますわ。犯人当て、ホラー、倒叙風などなどそれぞれテイストが異なる作品で、どれもよく練られて面白い。
ただ、これだけテイストの違う作品が揃った時に、読みながら「この作家さんの持ち味って何だろう」と考えちゃって。どの話も良くできている。よくできているんだが、逆にセリフも地の文も全ての要素がトリックを成立させるためのみに存在している印象が露骨で、読んでて「ああ、ここ解決編への布石ですね……」と気づいちゃう所もあり。
5作共通して感じたのは、犯人がその犯罪を犯す理由となる『悪意』みたいなものをジワジワ炙り出す感じで描くのがお好きですね、という感じか。(イヤミスってわけじゃないんですが)
もう少し、いわゆるその作家さんらしいアソビ心と言いますか、落語でいうくすぐりみたいなもの、読者の眼を楽しませつつ幻惑させる余裕、みたいなのが作品へ織り込まれると、さらに魅力的になる気がしてます。
アレです。読んだ印象が、徹底的に絞り込んで鍛え上げたアスリートの肉体を鑑賞してるみたいな感じなんです。美しいのだが無駄がなさすぎる。もうちょっと余分なお肉が付いてもいいので、そういうその人らしいものを鑑賞したいわー、というのが私の感想でした。(人によっては前者が大好物って人もいるだろうから、あくまで私の好みでは、ということですよ)
イロイロ書きましたが、5作の中で特に面白かったのはホラーと融合させた「九人病」かな。某民俗学探偵の作品風の展開が良かったです。
投稿元:
レビューを見る
短編の切れ味にしっかりと本格ミステリが融合している。
持ち味は何かといわれるとまだ不確かだが
5編持ち味がすべて違うのに、ほぼ二転三転する。
それは人が持ちうる欲望(悪意)をどう味わうかで見方が違ってくるからだと思う。
投稿元:
レビューを見る
よくできた短編集。やっぱり表題作が一番印象的。イヤミスなんだろうけど、全ての問題に解答される爽快感はなかなかのものでした。ただ途中で気が付くよなあ、と言うか異変に気づいて誰か騒ぎ出すんじゃないの?と、突っ込みたい気もするけど、それを帳消しにするくらいストーリーがうまく流れてた。次作に期待。
投稿元:
レビューを見る
著者の再デビュー作。かつて光文社文庫の公募アンソロジー『新・本格推理』に掲載され高い評価を受けた【Y駅発深夜バス】の他、書き下ろしの三編、計五編を収録した本格推理短編集。何れも魅力的な謎、ロジカルな推理、意外な真相を用意しつつ、それぞれ違った趣向を凝らしているので面白いです。
ベストは表題作の【Y駅発深夜バス】。摩訶不思議な謎がロジカルに解決されていく展開は爽快です。
怪談めいた謎と捻りの利いたロジックが印象的な【九人病】、不確定要素が次々と襲ってくる倒叙形式の作品【特急富士】もお気に入りです。
投稿元:
レビューを見る
著者の再デビューとなった短編集。5作収録。
表題作を文庫の雑誌『新・本格推理03』で読んだ時の衝撃は忘れられない。深夜バスに乗った主人公がパーキングエリアで遭遇した摩訶不思議な光景の不気味さと、その真相の圧倒的な説得力。この人は将来プロ作家でやっていけるだろうと当時思ったものだ。
それから紆余曲折あっての今回の再デビューだが、表題作以外の4作も、いづれ劣らぬ傑作だった。犯人当て、ホラーとの融合、倒叙物、奇想、と、5作全てカラーが違うのも凄い。とにかく謎の創り方が巧い。
短編集としては今の所、今年度のベストワン。
投稿元:
レビューを見る
本編と関係ないけど、Y駅が想像してたのと違ってたのが残念。「猫矢来」の碓井を日常の謎解き役にしたシリーズがあったら面白そう。もちろん猫のコンブも。
投稿元:
レビューを見る
運行しているはずのない深夜バスの謎、中学生の苛めと奇妙な隣人、婚約指輪を盗んだのは誰か、奇怪な病とその運命、時刻表トリックを駆使した殺人の結末。
様々なテイストの五編。
強引な設定もあったが、全体的に二転三転で楽しめた。
特に最後の『特急富士』は被害者女性の扱いがぞんざいで笑えたし結末が面白かった。
投稿元:
レビューを見る
ノンシリーズ短編集。
いかにも新本格っぽい表題作、女子中学生の心情を描いた「猫矢来」、ストレートな犯人当ての「ミッシング・リング」、ホラーな「九人病」、列車アリバイトリックのドタバタ「特急富士」、と5つの短編がそれぞれ色合いが違っている。「九人病」は怖かった。
トリックのための小説みたいに透けて見える部分もあるが、どれもなかなか面白くて、本書で再デビューということなので楽しみである。
投稿元:
レビューを見る
どれもいい塩梅で読める長さと内容ですが、私はホラーが好きなので全5編のうち、4番目の九人病が好きでした。
重厚な長編小説に仕立てられそうな凝った設定をあの短さで纏めてしまうのは凄いといいますが、もったいないといいますか。青木先生のホラーミステリーもっと読んでみたいと思いました。
投稿元:
レビューを見る
五つの短編からなる一冊。そうですね、どれもタイプの違う作品で、顔見せというか、自己紹介みたいな意味の一冊ですかね。こういう作品書けますよ、と。どの短編も楽しく読みましたが、特に『九人病』辺りは印象的でした。『猫矢来』の設定で連作短編とか読んでみたいですね。
投稿元:
レビューを見る
ミステリ短編集。いろんな読み口の作品が収録されているけれど、どれも面白い! 後味のいいのも悪いのも、シリアスなのも少し笑えるようなものも。絶対お気に入りの一編が見つかりそうです。あ、でも「全部好き」ってのもありだわ。
お気に入りは「猫矢来」。青春ミステリとしての物語がいいし、ミステリとしての面白さも抜群。そしてなんといっても猫が良い(笑)。なるほどなあ、と思わされ、物語としての読み心地の良さも素敵でした。
「九人病」も好き。ホラー好きとしてはこういう題材はたまらなく好み。邪悪な感じもいいなあ。
投稿元:
レビューを見る
ホラー、青春もの、読者への挑戦、倒叙、といった違うテイストの短編を楽しめます。どれもきっちり本格ミステリで、伏線から動機から収束までまるでお手本のように見事です。好みはラストの「特急富士」。アリバイトリックを弄した倒叙ものですが、予定通りにいかずにバタバタする犯人に笑い、読後あらためて気づく伏線も見事でした。他にしっかりホラーなのに本格ミステリな「九人病」も好み。欲を言えば、どこかで人物が繋がっているような連作だったらもっと入り込めたかもしれません。全てのテイストが違うために逆に後に残りにくい気がします。
投稿元:
レビューを見る
(Ⅰ)現象だけ見ていると非現実的で不思議で不穏、一筋縄ではいかず、なかなか解きにくい謎。しかしわりと無理のない真相。ミステリとしてよくできてるんじゃなかろうかと。
(Ⅱ)いわゆる描写はほとんどなく、おおむね状況だけ淡々と描かれる感じ。文章を楽しむというタイプではないです。おそらくそれが不穏な空気を醸し出しているのかと。
(Ⅲ)いろいろ趣向こらしてサービスしてくれてはんなあと感心しました。
■簡単なメモ
【Y駅発深夜バス】接待で遅くなり終電を逃しタクシー代わりにY駅発の深夜バスを利用してみることにした坂本は奇妙なパーキングエリアに降り立つ。ちょうどその頃、隣家の夫妻の妻が自殺していた。
【猫矢来】正義感の強い中学一年生の中川里奈は同級生が小学生をカツアゲしているのを止めいじめのターゲットに。猫のこんぶ、クラスメートで里奈を好きだという碓井、怪しげな行動の隣人。
【ミッシング・リング】友人だった浩一、貴之、亜希子、春菜、美咲は大学卒業後はじめて全員集まることになり美咲の家の別荘に行くがそこには彼女の弟、稜がいた。浩一は恋人となっていた美咲に婚約指輪を渡すつもりだった。雪が振り始め別荘全体が密室となった。「読者への挑戦」がある。
【九人病】和久井充男は秘湯を取材に来て同室の男から彼の体験した九人病の話を聞く。これはホラーテイスト。
【特急富士】ラストは倒叙型、と思いきや…。いろいろやってくれはりますなあ。ミステリ作家の間島弘樹はかつて愛人だった日向沙耶を殺す計画を立て、工作するが…。