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久しぶりにサッカー戦術の読み応えのある面白い本だった。著者は英国人の戦術に明るいジャーナリストであり、日本人著者がコラムを寄稿するという形である。
サッカー戦術の基礎的な知識はあるけれど、その関連性や歴史的な視点から読みたい人には良い本だと思うが、戦術を知らない人にとっては、本書の前にそれぞれの戦術の基本的な知識を理解してからの方が良いと思った。
日本人で言えば、この手の本は西部謙司氏の書籍が多いが何冊も読んでいると著者の見方に偏るので、その意味では違った人の分析を読むと新しい視点が与えられてありがたい。
1つのテーマで深堀りするが、戦術は歴史の中では寄せては返す波のようであり、新しい形で戦術が復活するなどは、他の分野でも当てはまると思う。
下記に目次を記しておく。
Episode.1 戦術トレンド概論 プレッシングか、ポゼッションか、それが問題だ。
Episode.2 60年ぶりに戻ってきた3バック
Episode.3 アンチカウンター理論としてのゲーゲンプレス
Episode.4 ゼロトップはどこへ消えたのか
Episode.5 ベンゲルと4―2―3―1の行方
Episode.6 10番/トップ下論 エジルが象徴するクリエイティビティのジレンマ
column.1 共産主義思想としてのプレッシング
Episode.7 ゾーン・ディフェンスがカバーする領域
Episode.8 アンチ・フットボールの誘惑と憂鬱
Episode.9 レスターと4―4―2に未来はあるか
Episode.10 ポチェッティーノが受け継ぐ、ビエルサイズムとは
Episode.11 アンチェロッティ式、「ハイブリッドマネージメント」のススメ
column.2 コレクティブカウンターの衝撃
Episode.12 モウリーニョが抱えるスペシャルな懊悩
Episode.13 ウイング論 左翼と右翼のウインガー Episode.14 理想主義者、ペップ・グアルディオラの挟持
Episode.15 GK、100年の孤独 戦術
Episode.16 ディープ・ライイング・プレーメイカーの誕生