投稿元:
レビューを見る
この手の暗い作品も、中村さんの作品も、嫌いではないのだけれど、なんだろう、性描写がわたしには合わなかったのか、最後まで読めませんでした。。それで★☆☆☆☆とは申し訳ないと思ったのですが…すみません。
投稿元:
レビューを見る
私とはあまり相性が良くなかった印象ですが、宗教と性と戦争と…内容盛りだくさんでした。何かを信じたいと思う感情の強さと怖さを感じました。ラストはいまいちスッキリしたのかしないのか…という感じでしたが話題になった作品ですし、文庫化して手に取りやすくなったので未読の方は読んでみてもいいかもですね。
投稿元:
レビューを見る
文庫になったら読もうと思っていたので即購入。
松尾のもとに集まるサークルと沢渡のいるセックス教団が描かれるが、どっちも宗教か?という印象。でも松尾の言うことは興味深く読ませていただいた。
テロの話が出て来たり、2人のリーダーの回顧録があったりで何の話なんだろ、この本って思ってたけど、最後はちゃんと心が揺さぶられた。不思議な本だった。
投稿元:
レビューを見る
悪と善、闇と光、弛緩と緊張、他者への愛と自己への愛、様々なものが重なり混ざり合って、物語の渦の中に飲み込まれていくよう。最後の「演説」の温かさが、胸の中にしっかり残った。
投稿元:
レビューを見る
好きなテーマです。説明的過ぎる気はしますが、引き込まれました。回顧と解説以外のボリュームがもう少しあると、更に良かったと思います。渾身の一作ですね。
投稿元:
レビューを見る
文庫を心待ちして読みましたが、う〜ん…今までの他の作品のほうが好きです。文則さん作品ランキングを付けるとしたらいちばん下かも。
投稿元:
レビューを見る
残念ながら、私には合わなかった。
群像劇的な描き方をされているが、それがあまり活きてきていないように感じた。
また、いくつかの意味ありげに書かれた(伏線のように見える)ことにも特に意味がなかったり、薄っぺらく気味の悪い雰囲気の性描写がくどかったりと、読むのに疲れてしまった。
頑張って読み切っても話としてすっきりとまとまった印象に乏しい。
投稿元:
レビューを見る
2017年7月8日読了。
595ページ
正直、どこが高評価なのか理解できない。
前半の教祖の話がなんの伏線にもなっていなく、読むのが苦痛で飛ばしたが、全体のストーリーを理解する上でなんの不都合もなかった。
今の日本を憂いたつもりのようだが、憂いているポイントは色々な本で出尽くされている内容で、それをテロでそれっぽく表現した単なるエロ小説。
再読なしで、文庫本も今なら売れるので早速売ってしまうことにする。
投稿元:
レビューを見る
『王国』に続き、文則作品三作目。この作品に限らず、読んだ作品全て“運命”とは何か?について書かれているようだ。なんて言えばいいかわからない——。とにかく圧倒される。凄い作品だ!村上龍作品にどこか似てる…。
投稿元:
レビューを見る
文庫本になったので購入。
今まで中村文則氏の作品は何作か読み、その仄暗さに惹かれている。
今作はその明と暗がハッキリ分かれていると感じた。
と同時に賛否もハッキリと別れるのではないか?とも。
個人的には、非常に面白く読めた。
最初に浴びせられる、衒学的と言っても過言ではない「宗教」「物理学」「宇宙論」etc…の知識を受け入れられるかどうか、が面白く読めるかどうかの分かれ道かも。
「教団X」と公安に呼ばれている謎の宗教団体にいる、様々な挫折や暴力を経験した人々のドス黒い闇は、現代社会を覗き見ているようだった。
と同時に、その闇によって、大きな光も浮き上がっていたと思う。登場人物の最後の演説に、特にその光は満ちていた。
様々な読み方ができる小説なので、どんな作品か一言で言い表すことはできないが、
著者の最後の一言「共に生きましょう」にメッセージは集約されていたと思う。
投稿元:
レビューを見る
私にとって、この10年でNo1の小説。
圧倒的な内容で、心を揺さぶられた。
“生きるとは” 何かを考えさせられた。
何が善で何が悪か?
物事の背景には、何かが絡んでいる。
登場人物である楢崎、峰野、松尾、よっちゃん、立花、高原、沢渡。
それぞれが抱えている闇や希望。
(本人にとっての希望が、他人から見たら悪だったりする。)
松尾の演説は、人を惹きつける。
宇宙というマクロの世界と量子論というミクロの世界の融合。さらに、宗教の起源の話をミックスして話す姿に魅了される人は多いのではないかと思う。
松尾は善だと思うが、悪の教祖がいて、同様な話をしたら、多くの信者が生まれ、危険な思想に侵されると思う。そんな宗教が存在しているのではないかと思う。
言葉に関しては、立花の高原に対する説得。よっちゃんが、最後にメンバーに伝えたこと。
今でも心の中に残っている。
今後の自分の生き方に影響を与える言葉だと思う。
本当に読んで良かった。
また、明日から頑張ろうと思いました。
投稿元:
レビューを見る
おそらく、筆者は、新興宗教組織の内実というより、悪そのものを描きたかったのだろう。この毀誉褒貶の激しい小説は、悪とは何かを追及できたかどうかで評価が決まるような気がする。
物語のナビゲーターである楢原は失踪した恋人を追って思索家松尾の存在を知り、その先にカルトの教祖沢渡を知る。そして過去の暗い体験から深いダークネスを培った高原は、沢渡の教団でナンバー2に登りつめている。「四人の男女」というより、この三人を使って悪を解き明かそうとするところに筆者の主眼があるのでないか。高原の恋人であるリナも不倫相手で想像妊娠する峰野も、高原の暗い部分を語るための触媒に過ぎない。
松尾の思索世界を語るのに原始仏教や素粒子論に踏み込む必要があるのかはわからない。悪を客観視するための小道具のようなものかもしれないのだが、筆者の筆は止まらず、ストーリーの一部になっている。長い語りの末に、カルトの信者もテロ行為も結局のところ素粒子の集まりに過ぎないし、人間の思念に主体がないとすれば悪を相対化することも可能、と悪を語る道具建てが準備される。
やがて彼らの姿が過去も含めて見えてきたところで、本当の悪は・・・という話に展開していく。カルトの教祖は素粒子の塊に過ぎないが、国家の悪はより本源的で、断罪可能と言えるのか。筆者の筆は北朝鮮情勢や自衛隊にも波及するが、ここに至り論の進め方が雑になる。平和主義やリベラルシンパシーは一つの論陣であり、国家の絶対悪を証明する論拠にはならない、と読者が感じてしまえば、ここまで積み上げてきたものが無駄になる危険を孕む。この本の毀誉褒貶が分かれるポイントの一つでもある。
ともあれ、荒削りは多々あれど、読み応えのある長編であることは間違いない。今回も英訳されて世界で読まれることを期待したい。
投稿元:
レビューを見る
教祖の奇妙な話(ラスト)には感じ入るものがあった。大きなものに取り込まれる気持ち良さ、それに抗うこと。暴力によらない平和 を希求するのはとても強い意志が必要だということか。読んだことないけれど、遠藤周作の沈黙をふと思い出した…どれだけ虐げられても神に祈り続けるっていうのと、すこし結びつく気がする。
気になるところは、立花さんと峰野さんはどうしてそんなに高原に執着したのか。かつて恋人同士だったとしても、どうしてそこまで執着するのか…もうすこし深く掘り下げてほしかったなぁ。楢崎も、どうして危険を顧みずに立花さんを探したのか。見落としなのかな?なんかその辺の描写があまりなくて、うーんと思った。
投稿元:
レビューを見る
この作者の本は読んだことがなかったのだが、ただ文庫版の発売日に地下鉄のなかに張られた広告を見て、その足で本屋に行ったのだ。それでもまだ読むかどうか迷っていたのだが、ペラペラとめくってベンジャミン・リベットの実験への言及があったのを見て決断した。
いや、そもそも単行本が出た時点で気にはなっていたのだ。小説のタイトルに「教団」とあったら、いい教団のわけがない。悪い教団の話に違いない。しかも教団X、怪しいったらない。
でも又吉直樹がこの小説をテレビ番組で絶賛し、それを見た人が読んで失望してamazonのサイトに酷評をたくさん書いているなんてことは知らなかった。そんな難解な純文学なのか? 否!
楢崎は恋人ともまだいえないような関係の立花涼子の行方を追って、2つの新興宗教団体に遭遇する。最初のは実は新興宗教ともいえないし、団体ともいえないようなもの。松尾という自称アマチュア思想家の変な老人が妻と暮らす家にすぎないのだが、彼の講話を聞きに自然発生的に生じたサークルだ。
他方、名前のない教団、仮に教団Xと呼ばれる教団はしっかりした組織を持つセックス教団だ。そしてその教祖・沢渡は松尾と因縁があるらしい。
楢崎が主人公なのではない。群像劇、といっていいだろう。高原は以前、松尾のもとにいたが、実は教団Xのナンバー2である。しかし教祖を裏切りつつ、大それたテロを計画しているらしい。松尾の下にいながら高原を愛する峰野。立花も高原と強いつながりがある。他の登場人物もそれぞれに苦い人生がある。いずれも人生から、世間から「弾かれた」人たちといえようか。
松尾は第二次世界大戦で肉体的にも精神的にもひどく傷ついたのだが、今は宇宙論的・原子論的・機械論的運命論を基底にした人生肯定主義を説いている。沢渡がどのような人物かは終盤まで明かされない。帯に「絶対的な悪」とあり、それが沢渡のことだと思うが、誤読だろう。沢渡が執着するのは善と悪との絶対的なコントラストなのではないか。そしてそれがカリスマ性の源泉なのだ。また帯には「圧倒的な光」とあるが、それが松尾のことかといえば、まったくそんなことはない。「光」があるとすれば、それはわれわれひとりひとりの中に宿った圧倒的に小さな光のことである。松尾の人望はそうした小さな光を見出す能力か。
松尾が病に倒れ、教祖に感づかれたかも知れない高原のテロ計画が見切り発進し、話は後半大きく動いていく。
そしてこの小説は現政権、あるいは右傾化する社会情勢への批判ともなっている。「特攻隊の人たちの手記は涙なしにはとても読めない。だが彼らの魂の純粋さを、あの戦争が正しかったような印象操作に利用するのは死者に対して失礼だろ? あの魂をそのように利用しかつ金儲けの手段にしてる奴までいる始末だ」って誰のことだろうねえ。
投稿元:
レビューを見る
まさに中村文則、という暗い魅力に溢れた100点満点の序章から一転、いったい何なんだこの小説は。
多くのエントリー読者を振るい落としたに違いない京極夏彦的蘊蓄の羅列に始まり、1Q84/愛と幻想のファシズム/半島を出よ/ジェノサイド、行き過ぎない誉田哲也とかジメジメの少ないクローネンバーグとか、とにかく「中村文則じゃない人」が頭をよぎる中村文則作品。最高傑作ではなくて最大の問題作、と呼べばここまで毀誉褒貶はなかったのでは。
とにかく不思議だ。とてもクローズドな世界と、それを取り巻く謎の論理(読者には提示されないがとにかくそれが存在することはわかる)、のバランス具合が満足度の決め手だった作家なのに、この作品に限ってはめっちゃオープン。これはインディバンドの姑息なセルアウトという類のものではなく、何かすこんと抜けて作風どころかジャンルを変えました、に近い印象を受けた。ただし、盛り上がってまいりましたよ!ってところで「面倒になっちゃった」的に読み手の梯子を外してただのエンターテイメント超大作で終わらせないあたり、完全に吹っ切れたわけでもなさそうなのが興味深い。
なお、電車で読むのはまったく薦めません。突如ただのエロ小説になるし、妙なタイミングでえらく盛り上がったりするので。おうちで時間に余裕をもって読みましょう。