紙の本
ブラック
2021/05/26 17:28
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投稿者:和史 - この投稿者のレビュー一覧を見る
我が子の性格が真面目で頑固、かつ部活も指導者の指示通りにする為危機感を覚え、一読。日頃から心身に付加がかかりすぎないように一言だけ掛けるが、思春期の娘には…。さりげなくこの本を食卓に置いてみたり。日本の部活は運営方法などに問題があり、私自身は懐疑的で概ねこの本の意見には頷けた。
紙の本
部活動をされている中高生の子供さんがおられる方は是非一読を
2018/05/01 18:45
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投稿者:YK - この投稿者のレビュー一覧を見る
2012年に桜宮高校バスケット部の生徒が顧問教師からの体罰が原因となって自殺をしました。それ以来、体罰や暴言、セクハラなど部活動における生徒への虐待がクローズアップされています。著者は部活動の素晴らしさを認めたうえで、教師の過酷な勤務実態や、成果を過剰に求める保護者、知名度UPに利用しようとする学校側など様々な視点から現代の部活動の問題点を指摘しています。
私自身、部活動(特に運動系)については、今となってはいい思い出がたくさんあります。そういう経験を自分の子供にもさせてやれればいいなぁ、と思うこともあります。しかし、その延長線上に「部活動は厳しいもの」、「部活動はしんどくてあたりまえ」という認識を持ってしまうと、子供の命を危険にさらす可能性が十分にあるということを再認識しました。
部活動に参加されている子供を持っておられる人、これから部活動に参加する年齢に達する子供を持っておられる人には是非、読んでいただきたいです。
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(タイトル)
体罰、セクハラ、長時間拘束……
生徒も顧問も悩まされる「ブラック部活」の実態
(本文)
6月12日、埼玉県の私立武蔵越生高校において、外部コーチがによる体罰の様子を記録した動画がTwitterに投稿され、7万以上のリツイートを記録。新聞、テレビなどのメディアでも広く報道され、同校では、このコーチを解雇。謝罪を行った。
体罰や長時間練習によって、生徒や顧問を追い詰める部活動に対して「ブラック部活」という名前がつけられ、問題視されている。12年、大阪市立桜宮高校ではバスケットボール部のキャプテンを務めていた2年生の男子生徒は、部活における顧問からの体罰、暴言、理不尽な指導を理由に自殺。神奈川県横浜市の公立中学校では、厳しすぎる指導によって柔道の生徒の脳の静脈が切断され、いまでも後遺症が残っている。
いったいなぜ、「ブラック部活」が横行してしまうのだろうか? そして、どのように改善すればいいのだろうか? この問題に迫ったライターの島沢優子による新著『ブラック部活があぶない』(講談社現代新書)から、その構造を見ていこう。
特に体育会系の部活において、一番の問題となっているのが暴力行為だ。「スポ根」の時代は遠くなったとはいえ、顧問による体罰や暴言は今だに数多く行われている。では、いったいなぜ、体罰や暴言はなくならないのだろうか? 生徒の自殺という最悪の結末を迎えた桜宮高校の事件の後でさえ、元アスリートなどから「私たちのころは(体罰が)もっとすごかった」「僕らの時代はこんなもんじゃなかった」「なくなった子は心が弱かった」など、体罰を正当化する発言が行われている。実際に体罰を行っているという現役顧問は、島沢の取材に対して「たたいてやらせる時代じゃない」と前置きしながらも、このような迷いを口にしている。
「ただ、(暴力のような)刺激を与えずに、選手が伸びるのだろうか。この先、結局は陰で叩いてやらせるコーチが得をするのではないか。教えるほうも、やるからには勝ちたいけど、どう指導していけばいいのかわからない」
また、女子生徒が活躍する部活においては、性暴力の事例も少なくない。16年には横浜市立中学校女子バレーボール部顧問が尻や胸を触る、足や腰をマッサージするなどの行為によって懲戒免職。16年には福岡大付属若葉高校の吹奏楽部男性顧問が「腹式呼吸の練習」と称し、女子生徒の下腹部を触ったり、ブラジャーのホックを外して楽器を吹くように指示をし、諭旨解雇となった。90年代には、九州の高校女子バスケット部顧問が、複数の生徒と性的関係を持っていたことも明るみに出ている。
部活において、暴力に直面した男性は、島沢の取材に対して本音を吐露した。彼は、暴力に対して「みんな我慢しているのに、自分だけチクったら卑怯」「自分が騒動のきっかけにはなりたくない」といった理由で被害を言い出すことができなかったと述懐する。
一方、生徒だけでなく、教師の側もブラック部活に悩まされている。「課外活動」である部活動のために、土日も返上で働く教師は数多い。しかも、土日の練習に参加しても日給はわ���か3000円……。テストの採点や授業で使用するプリントの作成、報告書の作成など、ただでさえ「ブラック」と言われる勤務を行っている教師たちに、部活の負荷は重くのしかかる。本書では、顧問を断ると「この学校は全員顧問制」と認められず、練習時間を少なくしようとすれば、保護者から「練習を減らして、勝てなくなったらどうしてくれるんだ?」とクレームが飛ぶ事例が報告されている。そんな現状を変えるために、公立中学校に勤務する教師たちがオンライン署名活動を開始すると2万8000人以上の署名が集まった。教師にとっても、部活は耐え難いものとなっているのだ。
では、なぜ、ブラック部活が生み出されてしまうのだろうか?
私立校であれば、部活の成績の向上は、学校の知名度の向上や、寄付金の増加、入学者数の増加といった利益をもたらしてくれる。また、「子供がプロになれるのではないか」あるいは「スポーツ推薦を獲得できるのではないか」という希望から、生徒たちの親が体罰などの暴力を容認したり、長時間練習を是認する姿勢が見えてくる。しかし、すでに最新のトレーニング理論では、体罰よりもモチベーションの向上の方が、はるかに技術の向上をもたらすことが証明されている。また、06年に全国高校総体でサッカー部を優勝させた元県立広島観音高校顧問の畑喜美夫は、平日の練習時間をたった2日に制限しながら、チームを優勝に導いているのだ。そんな事例を知らず、「勝つためには仕方ない」「強くなるためには仕方ない」といった強迫観念に支配されてしまうことが、部活の「ブラック化」の一因となっているのだろう。
もちろん、青春の1ページとして思い出に残るだけでなく、スポーツ活動や文化活動がほぼ無償で行われる部活動は、教育にとって大きな役割を果たしている。学習指導要領では、部活動について、「生徒の自主的、自発的な参加により行われる部活動については、スポーツや文化及び科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等に資するものであり、学校教育の一貫」と記されている。そんな部活動によって追い込まれ、取り返しのつかないケガをしたり命を落としてしまうような「ブラック化」は、絶対に阻止しなければならない。
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<目次>
プロローグ 部活動は誰のもの?
第1章 部活がもたらす効果
第2章 部活のいびつな歴史
第3章 ブラック部活が止まらない
第4章 教師にとってもブラックな部活
第5章 ブラック部活の正体
第6章 ブラック部活から子どもを守る
第7章 部活の未来のために
<内容>
大阪のバスケ部の自殺問題から端を発したブラック部活。さらに中学教員が声を上げた、教員をブラック企業にしてしまう部活。その両者を結びつけ、何とか解決策を探る本著。残念ながら、ここでの提案は効果があるものとが感じなかった。文科省も重い腰が上がった気がするが、違う問題が勃発しているし、世論は「モラルパニック」を起こし、のど元過ぎるとなんとやら、である。東京オリンピックを誘致すること自体、昭和の栄光を懐かしむ世代の妄想だから、同じようにスポーツ全般は昭和の香り漂う「いびつな」ものが闊歩するだろうし、親もしかり、マスコミもしかり、政治家もしかり…。
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ヤフーか何かのネットニュースに載ってて、高校教師としてはかなり気になり、アマゾンで即購入。
すぐ読めた!
要するに、ブラック部活について。
1 体罰や暴言が未だに存在する部活
2 朝から晩まで、土日も生徒を長時間拘束する部活
3 教師にとっても長時間労働の原因のひとつである部活
大まかに分類するとこんな感じのブラック部活が存在する。
1に関しては、大阪市の桜宮高校バスケ部の例が引合いに出されていた。よくそこまで人を傷つけられるなと思い、読むのもつらかった。
2と3は矛盾するが、教師によって部活をどう捉えているかはかなり異なるのでこういう事態になる。部活をやりたくて教師になったような熱血な人ほど、授業は後回しで部活にばかりのめり込む傾向がある。
部活も大事やけど、部活だけが教師の仕事ではないわけで、同僚としてはきちんとすべての仕事をしてもらいたい…と思うような部活大好き教師がいる。
逆に、「ブラック企業」が話題になってから就職してるような若い子は、休日出勤や時間外労働が前提になるような部活の指導を嫌がる子もいる。下手すると「(教師が顧問しないといけない)法的根拠はあるんですか?」とか言ってくる始末。若い子だけじゃなく、学校にぶら下がってるような使えんオッサンも信用ならなさすぎて主顧問としてはムリ。
…となると、部活大好き熱心な人か、若い子でも従順で真面目な子にしわ寄せがいく。
熱心にやりすぎてもいけないし、部活やりたくないとか言う教師も問題。
保護者の意識も変えないといけないという話も載っていたが、それはもちろんのこと、やはり根底にあるのは教師の意識しかないだろうなと思う。
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中高の部活の実態をレポートする。
ブラック部活は生徒にも教師にもあり得る問題。日本の中等教育のなかで、部活は生活指導と結びついて発展してきたのだけど、その功罪を問う一冊になっている。
過酷な練習に耐えることで、人間的な成長とともに技術的にも進歩すると信じる向きは多い。同時に鈴木大地スポーツ庁長官が言うように「理不尽に耐える力なんて必要ない」のも確か。
実は中高生年代の全国大会がある国は多くない。この点で日本は結果として勝利至上主義なのだ。ここを考え直さない限り、部活問題は解決しないよね。
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数年前、顧問の暴力が原因で高校生が自殺した。それまで、いまだにそんな体罰が存在しているなど考えてもいなかった。それから、しばらくたって、試合に負けると顧問の先生に全員しばかれるという中学生がいた。それは今も変わってないのかと聞くと、変わらないしそれが当たり前だと思っているという返事だった。ため息が出た。本書を読むと、現状は変わりつつあるのだろうけれど、完全に暴力、暴言がなくなっているわけではなさそうだ。そんな話を中3生にすると、部活は厳しい方が良いのだという。たしかに、厳しさに対する耐性はどこで養われるのかというと、やはり部活となるのかもしれない。けれども、スポーツにしろ音楽にしろ楽しくやりたいものだ。楽しくないものは続かない。これは、勉強も全く同じ。先生がこわいから勉強するのではなく、楽しいからやってると言えるようになっていってほしい。試合に勝ちたい気持ちも分かる。コンクールで金賞をとりたい気持ちも分かる。テストで上位に入りたい気持ちも分かる。でも、ちょっとまわりとの比較ばかりするのはやめて、自分は毎日楽しく練習(勉強)していて、それでなおかつ成長を実感できる、そんなふうになることはできないものだろうか。
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日本の学校での部活動には
日本の社会のマイナスの縮図的要素がたっぷり詰まっている
理不尽、同調圧力、虐待、独りよがりの善意
きちんと取材に応じてくれた人たち
こんなことはぜひ根絶したいと願っている人たち
いずれも
これからの明日を生きていく若い人たちに向けての
願いが感じられる
あなたのすぐ近くの
あれ? と思う「部活」の周辺におられる方に
ぜひ 薦めたい一冊です
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2012年に桜宮高校バスケット部の生徒が顧問教師からの体罰が原因となって自殺をしました。それ以来、体罰や暴言、セクハラなど部活動における生徒への虐待がクローズアップされています。著者は部活動の素晴らしさを認めたうえで、教師の過酷な勤務実態や、成果を過剰に求める保護者、知名度UPに利用しようとする学校側など様々な視点から現代の部活動の問題点を指摘しています。
私自身、部活動(特に運動系)については、今となってはいい思い出がたくさんあります。そういう経験を自分の子供にもさせてやれればいいなぁ、と思うこともあります。しかし、その延長線上に「部活動は厳しいもの」、「部活動はしんどくてあたりまえ」という認識を持ってしまうと、子供の命を危険にさらす可能性が十分にあるということを再認識しました。
部活動に参加されている子供を持っておられる人、これから部活動に参加する年齢に達する子供を持っておられる人には是非、読んでいただきたいです。
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私は絶対体罰反対だ。どんな理由であっても体罰はいけないと思っている。それなのに、部活動においては、いまだに体罰は行われている。なぜなのだろうか?
この本は、部活動での顧問の指導(?)をきっかけに自殺した少年のことから始まり、部活動の理不尽さ、解決法などについて書かれている。
本来なら、スポーツや文化に触れて楽しむべきもののはずの部活動がなぜこのような状態になってしまったのか。そして、どうしていったらよいのか、この本を読んで考えていきたいと思う。
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部活があぶない。島沢優子先生の著書。社会問題化しつつあるブラック部活問題をわかりやすく解説した良書。部活の存在は否定されるべきものではないけれど、子供たちと保護者たち、教師たちが全て幸せになる形での部活運営方法を考える必要がある。
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日本社会に蔓延する『ブラック気質』、すなわち理不尽なことを我慢することが美徳という風潮は、少年スポーツから始まる体罰、言葉の暴力ありきのブラック部活によって再生産される。部活は生徒指導の場ではなく、スポーツ/音楽に楽しみ、生徒が主体的に取り組む場でなければならない。全時代的な指導法や制度から脱却し、真に子どものためになる部活像を目指す必要がある。
生徒を主体的に取り組ませるには、時間的なゆとりと精神的なゆとりが必要
・①勝敗で一喜一憂しない。負けたときは勝ったとき以上に成長するチャンス。②「わが子」ではなく「チーム」を応援する。③子どもが苦しんでいるとき、すぐに手を差し伸べない。子どもが自分で考えて解決する姿を見守る。
・①萎縮せず、寛容に②コミュニケーションをインタラクティブに③具体的な指示を出しすぎない④実現可能な目標設定にさせて、少しの進歩を褒める
・即効的な一発学習と、長期的な強化学習
・生徒が一番信用する大人は、自分の話を聞いてくれ、自分を分かろうとしてくれる大人
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部活動のあり方を、著者の研究を元に述べている作品。
部活動を否定する訳ではなく、本質を改めて、生徒及び教員の部活を通して得るものを高めることを主張している傑作。
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部活があぶない (講談社現代新書) 新書 – 2017/6/14
結果主義とわが子主義からの脱却が必要
2019年3月23日記述
島沢優子氏による著作。
2017年6月20日第1刷発行。
フリーライター。
筑波大学体育専門学群4年時に女子バスケットボール全日本大学選手権優勝。
卒業後は、広告制作会社勤務や豪州、英国留学を経て、日刊スポーツ新聞社東京本社へ。
スポーツ記者として、サッカー、ラグビー、水泳、バレー、バスケットボール等を取材。
1998年よりフリー。
『AERA』等で子育てや教育関係、
ノンフィクションを中心に執筆し精力的に活動している。
著書は、15歳で脳出血で倒れながら奇跡の復活を果たす
高校バスケット選手の姿を描いたノンフィクション
『左手一本のシュート―夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』など多数。
そのほかに、書籍の企画・構成も手掛ける。
1男1女、ラブラド―ルレトリバー(5歳)の母でもある。
2012年12月23日大阪市立桜宮高校バスケ部キャプテンだった高2男子生徒の自殺は部活動での暴力が原因だった。
勝利至上主義に陥り、本来楽しむものからかけ離れた部活が日本を蔓延している。
このブラック企業とつながるような体質の部活動の事を著者はブラック部活と名付けた。
様々な要因があるが、生徒が主人公であるべき所、
そうならずに自己承認欲求を満たそうとする顧問や親が部活動をブラック化させている。
部活によってもたらされるもっと大切なことは
「仲間を感じること」「他人をリスペクトし合うこと」を学べるということではないだろうか。
運動部活は明治時代から存在した。
意外にも「さまざまな文献を読み解くと、そのころは
みんなスポーツで遊んでいたようだ」と話す。
創成期の部活は、何より楽しまなくてはいけないものとして存在した。誕生した当初の部活は、まぎれもなく「子どもたちのもの」だったのだ。
戦後最大の国家プロジェクトとして開催された東京オリンピックによって、運動部活動は勝利至上主義を色濃くしていくわけだ。
1948年には「勝利にとらわれるのは望ましくない」
「やり過ぎてはいけません」と言っていたのに、オリンピックが大きな動機づけになって「もっとやれ」と国の方針はあっさり転換した。
それでも、部活のひとつの価値は、ほぼ無料でスポーツや音楽を教えてもらえ、実践する場が与えられてきたことだ。
親の経済状況に左右されずに「スポーツ格差」や「音楽格差」「芸術格差」が部活によって埋められてきたことは、外部委託されたスポーツクラブが主流の諸外国と比較しても誇るべき利点だと思う。
*柔道はフランス、ドイツで事故死亡者0に対し
日本は多くの事故が起きている。隠蔽などが起こり
原因対策、指導の改善が十分に進んでいない。
恐怖と生存本能に基づく「自己欺瞞的心理操作」
セルフマインドコントロール
生徒たちは暴力をふるう顧問を恐れながら、部活という場所で何とか生き抜こうとする。
よって「顧問は私達のために厳しくしている」と思い込もうとする。
そう解釈しないと耐えられないからだ。
たとえば殴られまいと必死でやったプレーを認められると顧問を「いい先生だ」と評価してしまう。
「一日休んだら3日遅れる」
音楽の世界にはそんな不文律があるが、長野さんは「根拠はない」と断言する。
どうやら、生徒に練習を励んでほしい先生たちが
編み出した「都市伝説」に似たものらしい。
逆に、欧州などでは以前から長時間の練習の弊害が叫ばれているという。
わが子で夢をもう一度という親の熱狂は、社会不安が強い米国でも顕著らしい。
保護者にできること
国や地方自治体などが制定している部活についての取り決めを確認する
顧問に直談判するなどしても解決しない時は、校長に掛け合う「うちの子が」ではなく「部の子どもたちにとって」と全体の問題として捉え、他の保護者らと協力体制をとる
我が子だけではなく、部活に所属する他の子どもにも目配りする。
それは、ひいては我が子を助けることにつながる
結果主義とわが子主義からの脱却が必要
広島県立安芸南高校サッカー部を率いる畑喜美夫さんの指導平日の練習はたった2日
練習メニューや試合のメンバー決め、選手交代もすべて選手たちに率先してやらせる。こんな練習をしていたサッカー部が全国大会で優勝したのである。
その畑さんによると、年度初めに入部してくる生徒の保護者に
以下のような3つのお願いをするという
1勝敗で一喜一憂しない。負けた時は勝った時以上に成長するチャンス
2「我が子」でなく「チーム」を応援する
3子どもが苦しんでいるとき、すぐに手を差し伸べない。
子どもが自分で考えて解決する姿を見守る
畑さんの狙いは、「親が自分の子どもだけでなく全員の名前を覚え応援するようになると、チームが変わってくる。
いじめのような部員トラブルもなくなるし、子どもたちの結束も強くなる」というものだ。
エディー・ジョーンズの発言
「スポーツは、何より楽しまなくてはいけない。
10代まではその気持ちだけ育てばよいのです。
でも、日本はスポーツを部活として学校教育に持ち 込むことで子どもたちに規律を守らせてきた。
スポーツを(生徒指導の)手段に使った部分が、他 の国と違うのです」
「とにかくどこの学校も練習が長い。一度に3時間やるのが常だった。しかも意味のない練習が非常に多かった」
「トップは勝つことにこだわるのは当たり前だろう。
でも若年層は違う。中学生や高校生を育てる指導者が勝利にこだわると厳しさの意味が違うものになる。単に子どもたちを萎縮させる
恐怖感を与える指導になるでしょう。そうなると、子どもたちは自分でラグビーをクリエイトしなくなる」
「スポーツの意味をはき違えたままでは、スポーツを
クリエイトできないだろう。日本人はなんだか小学生くらいからスポーツを仕事のようにとらえて、ボクはやらなければならないと辛そうにやっているように見える。すごく悲しいことだ。オーストラリ���の子どもは、大人に絶対勝てだなんて言われたことがないと思う」
「高校ラグビーにも花園がある。素晴らしい大会ではあるが、そこでよいラグビー選手が育つかは疑問だ。
少年サッカーも同じ悩みを抱えていると聞いている。日本の全国大会はトーナメント式だから一度負けたら終わりでしょう?若年層の強化はリーグ戦がベターだ」
もうひとつ。子どもたちが年中スポーツや部活をやっているのも
よくないという。イングランドの高校生もラグビーをやるが、年間10~20試合。1年のうち三ヶ月しかやらない。それ以外は3ヶ月は陸上競技をし、3ヶ月はクリケット。夏は水泳、冬にサッカーをする子もいる。
欧州は米国などと同様、子どものスポーツがシーズナルなのだ。
「中高生が年中ラグビーをしているのは日本だけなんだよ」
「何より部活は楽しまくてはならない」
「スポーツでも何でも、やらされるのではなく、自分でやることが大事だ」
青山学院大学陸上競技部の原晋監督の指導法
1萎縮させず寛容になること
2コミュニケーションを一方通行にしないこと
3具体的な指示を出しすぎないこと
4実現可能な目標設定にさせて、少しの進歩をほめること
子どもを伸ばす11の努力目標 プロサッカーコーチ池上正
1肯定する=怒って萎縮させず、前向きに取り組める雰囲気をつくる
2上達する=勝利至上主義ではなく「いいサッカー」「フェアプレー」を目指す
3楽しませる=サッカー(スポーツ等)は、習い事ではなく遊びだと心得る
4気づかせる=転ばぬ先の杖を用意しない。自分で考える機会を奪わない。
5考えさせる=子どもに自分で判断させる
6進化する=技術やルールは進化する。頭を柔軟に切り替える勇気を持つ
7夢をもたせる=大人の期待を伝えずに、目標を柔軟に持てるよう導く
8余裕を持たせる=余裕を持たせれば、子どもは自由に考え始める
9自立させる=失敗させないようにと世話を焼かず、経験することを重視する
10和をつくる=同じ能力や年齢でない「異の集団」で子どもを伸ばす
11問いかける=指示せず、問いかける。子どもから答えを引き出す
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部活動が引き起こしてきた問題の原因や考え方が記されている本。
最終章には実際に行われている解決策や取り組むべき考え方が記されており、ブラックボックス化する部活動の「体罰という必要悪」に立ち向かう気持ちにさせてくれる。
諸問題が複雑に絡み合っているからこそ、解決するにはかなりの力が必要だが、この問題点に向き合い、「自分自身で考え、クリエイトできる子どもを育てられる、“考え抜くことができるクリエイトな大人”が増える」ことが、この問題の解決につなげられるのではないか。そんな大人のひとりに私はなりたい。