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読み始めたら止めることなどできず、一気に読んだ。アンドロイドを作り出し、一方的な都合でシステムやら何やらを変えてしまう人間の身勝手さに憤り嘆きながらも、だからこそ、阿部の誠実さが胸にしみるんだろうなぁ……。高嶺が徐々に阿部に心を開いていく様子、そして阿部を守ろうとして人間を傷つけるシーンにウルウルきていたが、ラストはとうとう泣いてしまった。傑作。
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▼あらすじ
人間に尽くす精巧なアンドロイド"ドール"との結婚という阿部 孝嗣の夢は、人を模したドールの製造が禁止された大学時代に潰えた。けれど三十八歳になった今も愛は変わらず、独身で童貞を貫いている。ある日、阿部は家業のレストランの常連客から、存在自体が罪となる美しい裏ドールを託される。彼の名は高嶺。無愛想で反抗的というドールにあるまじき彼の態度を不思議に思いながらも、憧れの存在との同居生活に阿部は胸をときめかせるが――。
***
★4.5
凪良先生の作品を読むのはこれで10冊目です。
『雨降りvega』以来、凪良先生の作品からは遠ざかっていたのですが、今回、久し振りに凪良先生の作品を読もうと決めたこの作品。
『ショートケーキの苺にはさわらないで』という作品のスピンオフらしいですが、ショートケーキの方を読んでいなくても楽しめると聞いたので未読のままこちらを読みました。
凪良先生の作品は今まで面白くなかった試しがなく、一度読んだら忘れられないお話ばかりなので今回はどんな世界を見せてくれるのだろうとワクワクしながら本を開いたのですが、まず攻めのキャラクターが思ってたのと違い過ぎて吃驚してしまいました(笑)
ショートケーキの方を読んでいないので、表紙のイメージから勝手に堅物系のキャラだと思い込んでいたのですが、実際に蓋を開けてみたら元おデブな上に38歳にして童貞、一人称「俺氏」で、一昔前のオタクのように語尾に「〜である」「〜であります」を付けて喋る個性的過ぎるキャラクターで、正直、初めは戸惑いました(笑)
(私も今まで結構な数のBL小説を読んできましたが、こういうタイプの攻めは初めてです笑)
でも、次第に愛着が湧いてくるんですよね。
最初こそ「この喋り方はいつまで続くんだ?^^;」と思っていましたが、読み進める内に慣れ、阿部の優しくて誠実な人柄に惹かれていく自分がいる事に気が付きました。
特別かっこいい訳でもスペックが高い訳でもないのですが、非常に親しみを持てるキャラクターで、純粋に好きだなあと思いました。(美優に対する阿部の行動や言動も感動するくらい好感が持てました)
そして肝心なストーリーの方も期待していた通り、最初から最後までしっかりと厚みが感じられる読み応えバッチリな内容でした。
ただ、前半のボリュームと比べてラストは少し駆け足気味だったように感じましたし、結末だけに関して言えば私の苦手とするタイプのものだったなあ…と。
ショートケーキの方は最終的に攻めが受けと同じアンドロイドになる事で永遠の愛を手に入れたようですが、こちらはその真逆を行く結末で、阿部は人間として高嶺に見守られながら人生を全うする事になります。
そして高嶺も、阿部をしっかりと見送ってから最期を迎え、目を閉じる寸前に見たカレンダーの日付がタイトルの意味に繋がるのですが…正直、読み終わった後は何とも言えない気持ちでした。
他の方のレビューを見ると、泣いたという方が多いみたいですが、私は泣くまでには至らなかったです。
いや、決して感動しなかった訳ではないんです。
分かっていてもラストの一文は鳥肌が��ちましたし、最後の方は何度も何度も繰り返し読み返しました。
上手く言葉に言い表せないのですが、例えるならある日突然大切な人を失くしてしまって、悲しいのに涙が出ない…喪失感の方が大きくて上手く感情の整理がつかない…そんな感じです。
阿部を見送り、一人残された高嶺が阿部が天国に行けるようひたすら祈るシーンなんて切な過ぎて胸が苦しくなるほどでした。
いかにしても、心に深く残ったのは作品である事には間違いありません。
ただ読んで終わりというのではなく、“愛”について考えさせられる深みのあるストーリーでした。
今回の作品を読んで改めて、凪良先生は読者の心を掴むお話を書くのが天才的に上手く、特に感動系のお話を書かせたら右に出る者はいないのではないかと思いました。
主人公と相手が結ばれても「二人はいつまでも幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし」で終わるような純粋なハッピーエンドはない為、悲しさも勿論ありますがそれでも読んで良かったと思える素晴らしい作品でした。
最後に、裏ドールでありながら暴力団に籍を置いていた芝がとても気になったので、いつか芝とリョウのお話も読んでみたいと思いました。
先生ならきっと書いてくれるはず…!待ってます!
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「ショートケーキの苺にはさわらないで」のスピンオフ作。
南里の友人のドールヲタで自分のこと「俺氏」っていう、元マシュマロ男子だった阿部ちんが主人公でした。
久々にBLで大泣きしてしまいました。ストーリー思い出すと、まだ泣けます…何だろう、悲しい涙ってわけじゃなく、嬉しい涙ってわけでもなく…
きっとひとつの素晴らしい愛を見届けたという、感動の涙なのかな。
阿部ちんの人間性が素晴らしいです。ヲタク道とでも呼べば良いのかな?究極のドール愛です。何事にもブレが無い。お父さんお母さんにも優しい。みんなに優しい。そして話し方が最後まで一貫しているのがすごいです。
ドールとかアンドロイドとか、もはや絵空事とは言い難い科学の進歩著しい世の中で、こんな愛のかたちがこれから本当にありそうで、考えさせられました。
阿部ちんと高嶺は、人と人ではないヒトのcpではあるけれど、嘘偽りがない真実の愛だなと強く感じました。
南里とシンも登場して、本編と時系列的に絡むところもあり、彼らの生き方とまた違う阿部ちんたちの生き方に、胸が熱くなるものがありました。
どちらの生き方も切なくて泣けて、でもどちらも幸せなんだと心から思えました。
自分の人生についても、深く考えさせられるものがありました。
ついでに言うと、私的には阿部ちんはマシュマロ男子のままでも良かったですよ…(笑)
芝や美優にも泣かされたけど、最後にこんなに大号泣させるとは…!凪良センセの手腕をわかってたつもりだったのに、またやられました…
誰かを愛するって、本当にすごいことなんだと思える一冊。これは間違いなく神作品です。
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あ、ドール!?
悲しい予感に読むのをためらったのですが・・・。
「添い遂げる」という素敵なお話だった。
と、思う。
現実ではないですが、人間ならやりかねなドールへの仕打ち。
今現在の世界情勢を考えると、起こりうるのではないかと、未来に不安を覚えます。
せめて、そうならないように祈ろうか・・・。
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ドールにもシステムじゃない「なにか」があると ドールたちは言うが、人間の心というものも、どこに在るか科学で解明できない「なにか」であり、、、。
退院後の二人の生活、何気ない日常に泣かされる。そして人間の命が尽きるさま、それを看取る高嶺に胸を突かれる思いだった。
ドールにもシステムじゃない「なにか」がある。
リアでちょうど不倫騒ぎがあった。
不倫とは 道徳、すなわち社会生活の秩序を存続するために、個人が守るべき規範からはずれること。
ドールと暮らしていることは、正に不倫と言われる世界だが、なんとピュアな、、なんとピュアな手繋ぎなんだ!
それはアベの決心。
BLと言うよりDL、もしくは命あるものラブなアベである。
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ショートケーキの苺にはさわらないでのスピンオフ。前作と違い阿部と高嶺はマスターとドールの関係ではないので、よりロボットの心に焦点を当てていてとってもよかった!
阿部ちんは最高にいい人だなあ…。高嶺の心が動かされるのも無理はない。甘えるシーンは最高に可愛かった。
個人的には前作の2人よりドールと人間の純愛なのではないかなと思う。2人なりの幸せを歩んだことが嬉しい。
ラストは思わず泣いてしまった。幸せなのに悲しいこの感情は何…。
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凪良さんの小説ということであらすじを読まずに購入。
アンドロイドものか~、食指が動かないなあと思いながら読んでみると、
そこはさすがの凪良さん。さすがの筆力でグングン引き込まれました。
高嶺くんがとってもかわいい。阿部ちん優しい。
南里くんの話は読んでないので詳しいことはわからないけど、
賛否両論分かれるのは分かります。私は受け入れられなかったけど、
無難に万人に受け入れられる内容にしなかったことは支持したいと思います。
結末はハッピーエンドだけど、萌えというよりは胸が苦しくなる終わり方です。
個人的には芝さんに興味を持った。芝さんのスピンオフも出るのかな?
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読んだ後は悲しみに近い切なさで胸がいっぱいになって
本を閉じた後も『悲じぃ…』と言いながら、もう一度最後を読み返してしまった。
ショートケーキの苺には〜のスピンオフで
あの阿部に春がくんのか?大丈夫か?!って思ったけど
歳もそれなりにくっているし痩せていた。
そんなうめー話が…と思いながら読んでいたけど
全体的にショートケーキより好みだし何より阿部を好きになった…
彼の誰に対してもフラットな考えを通そうとする誠実さがとても愛くるしいぃぃ
そりゃ彼と過ごす高嶺は素直で伸び伸びとなるよね
そして愛していくわな。
あと何より美優のところでもう涙がとめられんかった。
私はアンドロイド肯定派でいつか生身の人間ではなく
アンドロイドのパートナーが欲しいと切に思う。
だから南里や阿部が羨ましい。
は!あとあと!芝さんのスピンオフがみてえ…
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ショートケーキの苺…に続いて再読。
2017年の作品で凪良ゆうデビュー祝10年という
めでたくもあり、凪良さんらしいお話(〃ω〃)
デブでオタク、ドールをこよなく愛する俺氏阿部ちん
もう設定からしてblの王道を外してます笑
相変わらずこんなにエロ場面少なくて大丈夫なの?
と変な所に脱帽m(_ _)m
300ページ超えをノンストップで読ませる筆力は
流石です。
オタクの純愛に泣けました(〃ω〃)
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ショートケーキの苺にはさわらないで、の続編! 世界観については前作で把握していたので、その点についてはすんなり受け入れることができました(前作でわりとフワフワした設定だった戦争が、すでに終わっていたことも大きかったかもしれない)
読み始める前は、「あのおかしな喋り方する阿部ちんがBL小説の主役……? 正気か……?」などと思っていたが(大変失礼である)、途中からまったく気にならなくなったどころか、めちゃくちゃ愛しくなっていた。阿部ちんは最高の男だ。最高だ……!
前作のラストは、どんでん返しが突飛すぎて気持ちが追いつかないところがあったけれど、今作は、まさにそのラストを待っていた、という感じだった。前作が愛し合う二人が永遠を生きる話なのだとしたら、今作は、愛し合う二人が一緒に眠りにつく話だったのかな。個人的には今作のほうが好きでした。
阿部ちんの美優ちゃんへの気持ちの移り変わりもすごくよくて、中盤以降美優ちゃんがでてきてからずっと泣きっぱなし。いやぁ、美優ちゃん、あんたは良い子や……。それになにより、高嶺が可愛くて可愛くて可愛くて。システムとは違う『何か』で阿部ちんと共にいたいと願う高嶺に、涙なしでは見られなかった。BLではあるけど、ドールである高嶺を人間の性別に当てはめるのもおかしな話なのかもしれない。読めてよかったです。おススメしてくれた友人、ありがとう!
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最後の最後でウッと来ました…
凪良先生はSFまでカバーしているのか…
内容としては、そうだねちょびっツだねっていうアレなんですけど
BLだとこうなるのか…
人間である相手と共に生きるためにロボットの容貌も老化させていくのが凪良節だな…あとこれ続編だったんか…
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ショートケーキの苺は〜の番外編。
阿部ちんと裏ドール高嶺のお話。
ショートケーキの阿部ちんとは別人のように思いながら読みました。ぽっちゃりドールオタと、町の洋食屋さんの痩せた阿部ちんは、なんだか結びつかなくて…。喋り方はそのままだけど。
裏ドールの高嶺もシン同様かわいいです。
健気で、まっすぐ。
最初は不信感から心を閉ざしていたけれど、阿部ちんの愛に触れて次第に心が溶けていく様子に泣けました。
阿部ちんの愛の深さに感嘆!
愛のお話でした。
ショートケーキからは少し未来のお話で、戦争は直ではなかったけど、それでも、いつまでも傷は癒えず、深い悲しみが消えない。
ドールは機械で、だけど心を持つような描写は、読んでいる私のキャパオーバーでした…色々ムダに考えてしまって。
高嶺が機械なのか、人なのか、混乱しました。
芝にも驚いたし。芝がどういう経緯でそうなったのか、そして、どうなったのか。
終わり方は、ショートケーキより断然好き!こういう永遠の方が好みです。
しかし、最近は文芸作品の方を多く書かれているし、少し前のBL作品を読むと、凪良先生はBL的ハッピーエンドをめちゃくちゃ意識して書かれているんだなぁと感じます。
またBLの新作、書いていただきたいなぁ。
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「ショートケーキの苺にはさわらないで」のスピンオフ
ショートケーキの2人の選択とはまた違う、今回の阿部とドール高嶺の選択。それぞれの選択に考えさせられるけれど、どちらもそれぞれの愛の形を貫いたのだと思う。
ドールの高嶺が阿部に愛され一緒に生きていくことに幸せを感じ、阿部を見送り自分にもその時が訪れるのを、阿部のことを思いながら迎えるのが感動的だった。