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ゴースト、幽霊に関する短編。
第一話の『新宿の家』が好き。
こんなにうっとりしたのなら、相手がゴーストであってもいいじゃない。都会の中で時間が止まったような場所ってそれだけで味があっていいもんだな。
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様々なゴーストにまつわる短編集。
戦後の混乱期、交通事故で亡くなったケンタの霊が、ネグレクトの少女に会う「きららの紙飛行機」、
年老いた曽祖父が、戦争時代の僚友に会う「亡霊たち」、
戦時中、乳飲み子を亡くし、小さな子供達と離れ離れになってしまった母の霊の「キャンプ」など、戦争をベースにした話に惹かれました。
著者の筆致に、私には読みにくいものもあるため、一部好みではないものもあったが、独特の世界観に魅了されました。
三井のリハウスのCM、樹木希林のお婆ちゃんの家見て、共通する印象を持ちました。
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ミシンの履歴、きららの紙飛行機、キャンプがお気に入りかな。作品によって好き嫌いがありそう。何かしら戦争が絡んでいて、中島さんらしいといえばらしい。けど、思わず涙はしませんでした。
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よくある都市伝説のような幽霊談ではないし、「ゴースト」というテーマを全てにあてはめる必要もないのだけれど。
自分の見ているもの、目には見えないけれど確かにそこにある気配や、それに関わることができる人がいる。ものの持つ履歴には、人の思いが入っている・・・。
日常に潜む非日常を、こんなにも豊かに描ける中島京子という作家さんは、やはりすごいです。
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幽霊を題材にした短編集。といってもお化け話という訳でもない。ちょっと不思議な感覚の話ばかりで、難しかった。
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温かい気持ちになったあとに、思わず涙があふれてしまう。
――風格のある原宿の洋館はGHQの接収住宅でもあった。
そこに小さな女の子はなぜ出没するのか?
戦時中、「踏めよ 殖やせよ」と大活躍し焼夷弾をあびながらも生き延びたミシンの数奇な運命とは?
少しぼけた仙太郎おじいちゃんが繰り返す、「リョーユー」という言葉の真意は孫娘に届くのか?
おさるのジョージの作者たちは難民キャンプで何をしていたのか?
やわらかいユーモアと時代の底をよみとるセンスで、7つの幽霊を現代に蘇生させる連作集。
【目次】
第一話 原宿の家
第二話 ミシンの履歴
第三話 きららの紙飛行機
第四話 亡霊たち
第五話 キャンプ
第六話 廃墟
第七話 ゴーストライター
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とても良かった。
読後少ししんみりした気分。
7つの短編のどれも良かった。
三十年近く前原宿の一軒家で愛し合った女の話。
ゴーストライターの新米がバーで誰にも知られないまま死んでいく人の話を聞く話。
中でも好きなのは、ミシンの履歴。戦前に作られたミシンは戦争により持ち主が代わっていく。戦後徐々に使われる機会は減り押入れで忘れられたかと思ったが…
余談だが昔テレビで見た古い映画を思い出した。戦争で生死が分からない夫の帰りを待っていた妻は戦後何年も力になってくれた夫の友人と結婚する。そこに捕虜になっていた夫が帰って来る。複雑な思いで夫と暮らすが、心に深いキズをおった夫との暮らしは辛いものだった。生活の為妻は夜なべでミシンを踏む。夫にはそれが機銃攻撃の音に聞こえる。モノクロの画面にミシンの映像が印象に残っている。心を病んだ夫につくそうとする妻、二人の幸せを願い身を引いた友人。命がけで帰って来たけれど誰も幸せに出来ない夫。結末忘れてしまったけど。池部良の暗さとミシンの音。
きららの紙飛行機もいい。
戦争で浮浪児となった少年の幽霊とネグレストの女の子の話。二人が同じ様に飢えて同じ様にすえた臭いをさせているのが悲しい。
亡霊たちも心に残る。
中に出てくる大岡昌平の詩は泣きたいくらい。野火は高校生の頃読んでそれ以外知らなかったけど本当に戦争を知っている人の書いたものは今どきのある種戦争を美化した、戦争で死んだ人を美化したようなものとは違う。森友の幼稚園はやはり異常で作家も嫌悪感を感じたのだろうな。
キャンプはあちらの世界の入り口の話だろうか。多分満州からの引き揚げと難民でボートピープルの人。全体の雰囲気がいい。
廃墟は少し何が言いたいか分からなかった。
キーワードは戦争だろうか。しんみりと心に残る。
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目には見えないけれど、無力だけれど、人を恨んだり祟ったりもできないけれど、いろんなところにいっぱいいるゴーストたち。そんなゴーストたちを描いた七編の短編集。
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幽霊をモチーフとした短編7編。原宿の家、ミシンの履歴、きららの紙飛行機、亡霊たち、キャンプ、廃墟、ゴーストライター。
戦争時代のグレーの夢のイメージ。現代から離れた過去があるところ。
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ゴースト(幽霊)と聞くと、この世に思いを残し、成仏できずに彷徨い続ける姿を思い浮かべてしまう。
でも「ゴースト」に出てくる7つの幽霊は、哀愁漂う寂しいものだった。
第五話「キャンプ」戦争により傷つけられた多くの人々。
難民キャンプの母たちが悲しい。
第七話「ゴーストライター」より
<ゴーストはなんにもできない。ただ、横にいて、思い出してもらうのを待ってる> 。
なにかするのではなく、その人を思い出すのがいいのかな。そして、第四話「亡霊たち」の文中でも書かれている、「靴の話ー大岡昇平戦争小説集」大岡昇平著 を読んでみようか。
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タイトルのごとく、幽霊、あの世、といった題材で編まれた短編集。ただし、怪談というよりか、“不思議なお話”といった感じで、なかなかじんわりくるようなものもあります。直木賞作家らしい、と言っていいのかわからないのだけど、ユーモアと、ちょっぴりのセンチメンタルのテイストもあり、いい意味で読ませてくれる話がそろっている。
特に気に入ったのが、第三話「きららの紙飛行機」。母にしかるべき育児を放棄された少女きららと、自分でもいつ現れるのかわからない幽霊少年ケンタ。二人の奇妙な交流を通しながら、人のあったかさ(暑苦しいまでいかない)みたいなものを感じさせてくれる珠玉の一品です。
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タイトルの示すとおり、ゴーストの登場する7編からなる短編集。
幽霊といっても怖がらせるオカルトではなく、背景にある戦争や昭和の設定がうまく生かされていて、現実の出来事とリアルに結びついている。
亡くなった人たちの切ない思いを、今を生きている私たちが受け継いでいくことの大切さを静かに教えてくれる一冊だった。
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これだけ科学も医療も発達しているのに、話からにことは数え切れないほどある。
見えるものだけが真実だとするのはあまりに乱暴で短絡的だ。
本書は「ゴースト」にまつわる七編の物語だ。
『ミシンの履歴』
祖母が使っていたミシンを思い出した。
祖母は工賃をもらって仕立物をしていたそうだ。
幼い頃は手作りの手提げや服や色々なものを作ってもらっていたけれど、既製品の方がカッコよく見えて、使うのが少し恥ずかしかった。
それでも、祖母のミシン部屋は好きで、いつもそこにいたものだ。
私の思い出はともかくとして、戦前から戦後にかけてミシンがたどった歴史は九十九神と化したミシンの思い出だ。
必死で生きてきたあの時代。
そこに想いを馳せる。
『きららの紙飛行機』
少年と少女の物語。
ケンタが話すことはもはや現代人は何を言っているかわからず、外国語のようだ。
「浮浪児」のケンタは、いつか成仏できるだろうか。
できてほしい、と切に願う。
ケンタからもらった紙飛行機を、きららは飛ばし続けられるだろうか。
願わくばそうあってほしい。
『キャンプ』
手塚治虫の『日本発狂』を思い出す話だ。
物語の展開は全く違うのに、キャンプがそれを思い起こさせるのだ。
彼女たちはどこへ行くのだろう。
惑うことなく、光さす方向へ歩いていけたら良いのに。
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幽霊をモチーフにした7編の連作集。
7編いずれも、先の戦争と戦後に何らかの関わりを持つ。
ただ、連作といっても、各作品の舞台や登場人物には何の繋がりもないし、作風も見事なくらいバラバラ。
ネット上の感想をいくつか眺めてみると、戦争孤児を題材にした『きららの紙飛行機』、SFっぽい作風の『キャンプ』あたりが好評価のようだが、反戦臭が直截的過ぎてやや鼻につく。
人を描いて教条的になるよりも、『原宿の家』『ミシンの履歴』『廃墟』など、建物やモノに化体して時の流れを感じさせる作品が好ましい。
そういえば、作者の直木賞受賞作は『小さいおうち』だったね。
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今もどこかにいるゴーストたち短編。
原宿のあった古い家で出会った女の正体、少女、若い女性、老婆。
古道具屋にあった今は動かないミシンが辿ってきた過去。
浮浪児だったケンタと、母に育児放棄されている現代の少女の交流。
認知症になったおじいちゃんが、しきりに言っていたリョウユーのこと。
どこに向かっているのかわからない死後のキャンプで、思いは残された息子たちのこと。
台湾の知り合いと見に行った日本の廃墟。
駆け出しのゴーストライターが飲み屋で出会った、ゴーストについて熱弁する彼ら。
かつて世界中であった、日本でもあった戦争の気配。