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期待とは違った展開だったけれど、人間ドラマに主眼が置かれていて、読ませる力はとても感じられた。最後は少し間延びしてしまったかな。
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学校で夜集まったりすると、すぐ殺人を期待してしまうのは、いままでの読書歴から仕方ないか。作例は山ほど浮かんできた。先に断っておくとそういう話ではない。ただテーマはとても現代的で重い。突然の出来事にページをめくる手が止まらなくなったのは確か。ただ上巻から続くゲームがきちんと解決したもののなんとなく消化不良だったかな。
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小学校での話。
担任教師が何故、いずれいじめに発展しそうなゲームを強行したのか、担当児童がいじめられているのに、表面的な仲良しを求める程度の叱り方しかしないのか、こんな教師が本当に児童に慕われる先生でいられるのか。
特にゲームをさせたがる意図を知りたくて最後まで読んだのに、そういう結末ですか…
クラスの一グループが結束した行動に出た結果、一人の女の子が救われたのだけど、本来は大人がすべきことで、小学生に背負わせることじゃない不快感。
何よりこの先生、いい教師とは思えなかった。
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小5のクラス内いじめを防ぐために導入された「ニンテイ」ゲーム。
いじめは防がれたが、本書のテーマは全く別のところにあった。
逆巻きにみて、「ニンテイ」ゲームが必然だったかは不明だが、緊張感は持続した。
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小学生の正義感というには露悪的。事件自体はきちんと解決され、それぞれに前向きに生きていくのだろうと思わされるのだが、なぜかすっきりしない。
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私にとって、上巻は☆5。
小学校のクラスで行う「ニンテイ」というゲームの巧みさ、残酷さ。
これに取り込まれていく生徒たち。
その描写がリアルで臨場感があるし、とにかくぐいぐい読ませる。上手い。
しかも、こんな残酷なゲームを行った教師の柿埼は、どうやら裏も表もなくただただ独善的なのだという人間描写がリアルすぎて。
ほころびだらけの人間臭さがやり切れなかったり、ほろ苦かったり。
この善悪ではまったく割り切れない人間の描き方が新しいと絶賛したい。
だからこそ、後半部分、特に夜の教室シーンから後は、「いかにも様々な本で取材した内容を書き並べました」という感じになってしまい。残念でならない。
それまで生き生きと動いていた話が、ふたを開けたら勢いを失くしてピタ!と止まってしまった印象を受けた。
「とりあえず話を収束させる」という感じになってしまい、前半までのドキドキする苦しさ、それに伴う話全体に感じる愛おしさがなくなってしまったのは残念。
とはいえ、力作。よくぞこの設定を思いつき、書き切った!と思いました。先生の新作をお待ちしております。
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読ませるんだよねえ。すごく筆力のある作者だと思う。どう考えたって不自然な設定をずんずん引っ張っていく力業には降参するし、人物を単純な善悪に割り振らないところもいい。でも、読後に残るこのモヤモヤは…。
バランスが悪いのかなあ。詰め込まれている要素がいろいろあって、うまく結びついていない感じ。最後のサプライズって必要?
デビュー作も、あれこれクサしながら、結局楽しんで読んだ覚えがある。次作も読むと思う。やっぱり要注目の人だ。
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最後のオチというか爆弾の効果がイマイチ分からなかった。
また、当初張ってあったイジメの設定もあまり効いてなかったようにおもう。
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クラスの独自ルール「ニンテイ」によって作られたグループの暴走。子供の無邪気で無神経な正義感によって大事件につながる。いくらシモベにされたとはいえ、とんでもない秘密を共有させられたものだ…。ニンテイに大人を巻き込むのはどうかも思うし、それほど効果的でもなかったので、結局ニンテイってなんだったのか。柿崎先生はどんなことを望んでいたのか。すっきりしないまま終わった。
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普段は読了後、その勢いに任せて一気に感想を書くのだが、この作品に限っては難産で、まとめるまでに一週間以上の時間を要した。それほどまでに厚みのある物語で、口にすればすぐに霧となって消えてしまうかのような、陳腐なカテゴライズを全力で拒否した物語である。
「ニンテイ」ゲームによる佐々山のいじめが一段落したのも束の間、バンパイアによるクラス内勢力の増大という不穏さから物語は再び幕を開ける。この、一つの事件を収束しても、その余波がまた別の事件を巻き起こすのは作者ならではの話運びで、毎回予想のつかない展開に唸らされるばかりである。小学生の暴走しやすい短絡的な正義とその残酷さ、家出中学生の抱えた秘密の暴露、起こってしまった悲劇には息を呑むばかりで、文字通り「なるようにしかならなかった」物語である。家出少女の秘密=性的虐待のミスリードの描き方が非常に上手く、一度はその秘密に肉薄したものの、血縁関係を隠している=ありえないという登場人物の思い込みに読者も付き合わされてしまった感じがある。後半は常に半信半疑で、姉が性的虐待を受けていることを知った弟の仕掛けたゲームと拙い殺人計画などにはハラハラさせられっぱなしだった。その後に柿崎先生の身に起こった事故と植物人間という悲劇も生々しく、そこに物語のご都合主義めいた救済は存在しない。あったのは、登場人物たちの祈りにも似た寄り添いと新たな道へ進む決意で、物語的なすっきり感は薄かったものの、とても丁寧かつ人間的な終わり方だったと思う。ミステリは人間が描けていないという有名な批判があるが、この作品はその真逆で、これほど人間のあやふやさや寄る辺の無さを描いたミステリもそうはないだろう。
この作者の凄い所はキャラクターや物語に一切の作為性を感じない所である。基本的に登場人物の断定は避けており、それは主人公の女教師の恋心も例外ではない。あくまでキャラクターの主観による印象に留まっており、また物語において「女教師」「クラスメイト」という役割以上のものを与えられておらず、基準に置くべき指標が存在しない、なんとも不安で孤独な物語になっている。読者にできるのはただ登場人物の行く末を見守ることだけで、そしてその登場人物の判断が物語における正解である保証はどこにもないのだ。たとえば「ニンテイ」ゲームにしても、何かしらの必然性があったわけでなく、いじめを止めるためとはいえ、そのやり方はかなり危ない橋を渡ったものである。しかし現実世界において、皆が皆要領よく決断していけるわけではなく、何が正義かも正解かも分からない曖昧な世界の中で僕たちは生きている。役割のない人たちが役割を演じ続けたというのがこの設定の妙だろう。そんな足元のおぼつかない世界の中での不安感と、読了後の肩の荷が下りたような一抹の安心感とささやかな希望。これこそがこの作者の一番の持ち味である。次作も読みたいし、読み続けていきたい。
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読了、85点
上下巻500ページのボリュームながら、主人公の小学生と彼女と接点のある女性教諭それぞれの視点を交互に変えつつ、
互いの視点を補い合い、またのちの伏線をしっかり挟んでいてことで、
ダレることなく最後まで結末へ向かって進んでいったのは非常に素晴らしい。
普通に読みやすいだけではなく、タイトルにしても慎重に意図を持って選んでおられるようで、
独創的ではあるのに違和感のないセンスが光るなと感じる表現もあり、文体は好みに合いました。