投稿元:
レビューを見る
今、あをにまる著の『今昔物語集』を読んでいます。『走れメロス』や『浦島太郎』などを元に現代の奈良を舞台にしたパロディー短編集です。面白いのですが『こころ』のパロディーのところで、最初のセリフの元ネタがわからず、元ネタである『こころ』を読みたくなりました。色々な出版社から出でいますが、利用している図書館にあったのがこの全集の第九巻『心』。こちらを読むことにしました。
「私」が海で知り合った「先生」。先生といっても先生ではない。先生と親しくなろうとしても距離を置かれてしまうような付き合い方をされる。
前半は「私」の目線で現在の先生が書かれていて、捉えどころのない先生のキャラクターは今年読んだ中で1、2を争うほど魅力的です。
しかし、後半の先生が過去の告白で、先生最低やん…と思ってしまいました。
「K」に対する感情と決定的な言葉。あかんやろ、と思うけど、心の内の苦しさの表現に圧倒されて引き込まれます。
高校の国語のテストのせいで文豪の本は難しくて何を書いているか理解できない、と思っていたのですが、この本はふりがながたくさん打たれているので読みやすく、半日で読み終えました。
1914年発表。110年前の作品。まったく古く感じません。文豪の作品ってすごいですね。