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これまでの本と違うところは、論拠が仮説であるという点についてちょっと突っ込んでいるところ。
いや僕もいろんなところで、「ここで挙げられている論拠って”事実”だよなあ」って思ってたんだよね。
だから論拠は事実ではないってのは誤った記述だと思ってたんだけど、著者はやっぱあくまで仮説であるとしている。ただ、納得はできない。
あと4枚カード問題のところにあった記述は間違っているような。。。
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〇 感想
万能鑑定士Qシリーズの10巻などを読んで,ロジカルシンキングや論理的思考に興味が出てきたので読んでみた本
論理的思考について,薄く広く紹介されている。演繹的論証や帰納的論証の基本的な考えすらほとんど知らなかったので,それなりに知的好奇心を満たすことができた。
前半部分,論理的思考についての基本的な説明,「接続表現を正確に使うことが論理的思考の根幹である」という説明,演繹的論証と帰納的論証の紹介部分は,分かりやすい上に,改めて確認することも多く,割と楽しく読めた。
帰納的論証の詳細部分と仮説演繹法は,少し掘り下げ不足と感じた。難しい考えのさわりだけを紹介されており,掘り下げると,かなり難しくなるのだろうが,説明不足が否めない。やや物足りなかった。
推論上の誤りや,論証上の誤りに敏感になるという部分,相関関係と因果関係についても同様。全て,考え方の紹介にとどまっており,掘り下げがない。単なる紹介でも,知らない部分があったので,それなりに楽しめたのだが,もう少し掘り下げてほしいと感じた。
トータルで見ると★3かな。論理的思考について,もっと知っている人が読むと,物足りなく感じてしまうのではないか。
メモ
〇 論理的思考の基礎的定義
あることを前提に,そこから何か新しいこと,結論を導き出すこと
語と語,句と句,文と文なおの関係に注意が払われていること
〇 論証
根拠・経験的事実 → 結論・主張
〇 論理的であること
文と文の接続関係に,細心の注意を払うこと
〇 理論語とは,使用する範囲と条件を明示しないと使えない。理論語をどのような範囲,条件で用いるかを合意しないと,会話が噛み合わない。
〇 接続表現を正確に使うことが,論理的思考の根幹である。
順接(付加)→そして,しかも,むしろ
帰結→だから,なぜなら,したがって,それゆえ
例示→例えば
逆説(否定)→しかし,ただし,
逆説(譲歩)→たしかに
逆説(比較)→一方,他方
〇 演繹的論証
前提を真とすると結論も真になる論証。前提に含まれている内容を,結論として別の表現で言い直す。
根拠が真ではないが,仮に真と認めるなら,論証全体としては間違っていても,妥当な論証となる。
〇 機能的論証
前提となる根拠が仮に真だとしても,結論が必ずしも真とは言えない論証。機能的論証は,前提となる根拠に比べ,結論で情報量が増える。
4つのタイプがある。
枚挙型論証
→個別的根拠から,一般的結論を引き出す。
投射
→個別的根拠から,個別の別の事例について結論を出す。
類比・類推(アナロジー)
→共通する特徴,性質を考える論証
仮説形成
仮説から事象を説明し,正しければ仮説が正しいと推測する論証
〇 飛躍
前提となる事実,根拠に含まれていない結露を導くこと
〇 論理的であることの基礎の一つは,論証を意識すること
〇 自分の意見や���張を明確に打ち出したいのであれば,適切な飛躍を伴う論証をしなければならない。
〇 根拠と結論の間に,適切な論拠が推定できる程度の飛躍なら許容範囲
〇 クリティック
ニュートラルに批評すること。クリティックをベースに新たな問題提起をして議論を展開することが,建設的な前進に必要
〇 仮説演繹法
仮説
→ある事象についてそれを説明するための考え
仮説演繹法
→仮説から予測を演繹し,予測が正しいか検討する。
〇 推論上の誤り
〇 前件否定,後件肯定
〇 選言肯定の誤り
〇 循環論法
〇 多重質問
〇 誤った二分法
〇 滑りやすい坂論法
〇 アドホックな仮説
〇 論点をそらす
〇 4個概念の誤り
〇 多様性の誤り
〇 論証の誤り
〇 確証バイアス
〇 信念バイアス
〇 生存者バイアス
〇 羹懲りバイアス
〇 相関と因果関係
〇 相関関係
〇 因果関係
〇 疑似相関
〇 相関関係があるからといって必ずそこに因果関係あるとはいえないが,因果関係があれば必ずそこに相関関係がある。
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なんだかややこしくてイマイチ理解が及びませんでした。部分的に理解できたところもあるので、仕事に少しでも役立てれば。
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これまでに何冊か読んできた著者の本。
比較的読みやすくまとめられたものだと思うが、存外時間がかかってしまい、自分の衰えがいやになる。
これまでの本で中心的に扱われてきた論証の解説に加え、推論の誤りのパターンや、認知バイアス、相関と因果関係なども扱われていて、幅が広がったように思う。
その一方で、それぞれの解説は幾分浅い。
複数の事例を挙げて説明するなどしてほしかった。
論証図による論証の検証は、野矢繁樹さんの流れをそのまま引き継いだもの。
ただ、そこで例題とした文章は、わかりにくい気がする。
というのは、論理式との混同が起きやすい文章だから。
論理式は「PならばQ」を、「P→Q」と書く。
一方、本書の例題で挙がっている文章では、次のような二文が、合流論証を構成する二つの根拠とされる。
⑥自分自身や他者の行動パターンは、年を重ねるほどよく分かるようになる。
⑦そうなれば、人が思わぬトラブルに巻き込まれないように、また人が相手の立場に立てるように、手助けをすることができる。
で、別個の内容なので、合流論証となるのだ、ということなのだろうが、⑦の冒頭に「そうなれば」とあるのがとても気になる。
⑥が前提で、その場合に起こる事象が⑦のようにりかいでき、論理式のようにこの二つが→で結ばれるべきではないのか、と思えてしまう。
なぜそういう干渉を起こしやすい例文を使うのだろう?
それから、誤植が多いのも気になる。
私のような不注意な読者でさえ、四か所も気づいてしまった。
こういう内容の本だけに、言葉の扱いが雑なのは残念。
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レビューでは内容が薄いという指摘が多く見られるが、入門書としてはちょうど良いのではないかと感じる。
【追記】↓
何度か参照する機会があったのだけど、演繹や帰納の例や練習問題として挙げられている論証が適切なのか疑問に思うようになった。
例えば「今まであったアメリカ人は皆コーヒーが好きだった」ゆえに「明日会うアメリカ人もコーヒーが好きだろう」を帰納法の投射の例として挙げているのだが、
「アメリカ人」という性質Aと「コーヒーが好き」という性質Bが共通するだろうという推論である類推(アナロジー)の例なのではないか?と思った。
投射の例として他にも「大学指定の推薦で入学したA高校の生徒は優秀だ」「大学指定の推薦で入学したB高校の生徒は優秀だ」…ゆえに「大学指定の推薦で入学したE高校の生徒も優秀だ」を挙げているのだが、これも「大学指定の推薦で入学した生徒」という性質と「優秀だ」という性質に共通性を見出す類推の例なのでは?と思った。また、○高校の生徒というのが個人を指すのか集団を指すのかよく分からない。個人だった場合は、「大学指定の推薦で入学したA高校の生徒」なんて書き方をしないで「推薦枠で入学した学生A」とすればいいのに、と思った。
投射って、「ここ1ヶ月ずっと雨だ、だから明日も雨だろう」のような、個別の事実の枚挙から、次の個別の事実を推論することなのでは?
類推の例として、国家公務員の役職である総長、省長、部長という組織構造は、大学職員の役職である学長、部長、学科長という構造に似ているから、大学の学生に当たる立場が国家公務員にもあるはずだ(うろ覚え。確かこんな感じの論証)、というものを上げていたのだけど、国家公務員の組織構造という一つの事例から他の事例を導く方法は帰納なのか?と疑問に思った。事例の数ではく、共通性質の数によってなされる類推もあるらしいので、それなのかな?
それから帰納の4タイプとして、枚挙、投射、類推、仮説形成を挙げているが、他の論理学の資料では、論証の種類として演繹、帰納、仮説形成の3つの枠で説明しているものがある。仮説形成が帰納に含まれる説明が不十分だと感じるし、仮説演繹法との違いもよく分からなかった。
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今自分が勉強脳に切り替わっているせいなのか、めちゃくちゃ面白かった。今までは論理的に思考することに面白さなんてこれっぽっちも感じなかったのに、今は論理的思考の面白さにちょっとハマりつつある。明治とか大正とかの人が論客とか言ってあーだこーだ論理を振り回しては酒を呑んでいた、みたいなシーンにちょっと共感を覚えてしまう。そう考えると、数学ってめちゃくちゃ面白い学問だなあ。ああ、こういう興味深さって何で大人になるまで気付けないんだろうな。勉強盛りのあの時に気付いていたら、私はもっと前のめりに勉強できていたのかなあ。