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原題は"GMO Sapiens The Life-Changine Science of Designer Babies"
著者のポール・ノフラーは自身も幹細胞研究者である一方、ブログやソーシャルメディアを通じた科学技術に関する一般向け発言も多い(STAP細胞騒動の際も、多くのコメントを発信している)。本書はノフラーの一般書としては最初の邦訳。
原題にも使われている「GMO(genetically modified organism)」は、通常、遺伝子組換え作物を指す際の用語として多く用いられる。遺伝子組換えを行うことによって、「望ましい」形質を持つ作物を「容易に」作り出すというものだが、一般的には遺伝子組換え作物に対する拒否反応はいまだに高いだろう。
Sapiensはもちろんヒトのことで、つまり本書は「遺伝子に改変を加えた人間」に関する本である。
SFの中ならいざ知らず、「遺伝子改変人間」とはそもそも簡単にできるものなのか、というと、近年のCRISPER-Cas9(cf:『CRISPR(クリスパー) 究極の遺伝子編集技術の発見』、『ゲノム編集の衝撃―「神の領域」に迫るテクノロジー』)などの技術発展により、実はそう遠い話でもなくなってきている。まだ生まれていない子供に対して、遺伝的に好ましくない形質を排除し、または好ましい形質を付加し、「デザイナー・ベビー」を生れさせることも、(倫理的にはともかく)実際上、荒唐無稽とも言えなくなってきている。
本書は、ヒトの遺伝子改変に関して、どんな適用が考えられるのか、一方でどんな問題があるのか、問題点を整理して提示している。
目的は幅広い層の人々に関心を持ってもらい、考えてもらうことなので、かなりかみ砕き、読みやすい形になっている。とはいえ、本文360ページ強を読み通すのはやはり、そもそもこの問題に関心がある人でないと厳しいかもしれない。
ヒトに対する遺伝子修飾の適用例として、遺伝病への対処がまずは挙げられるだろう。
原因遺伝子が単一であれば、これは根本的で有効な手段になりうる。問題がある遺伝子を修正すればよいわけだ。だが往々にして、遺伝が強く示唆される疾患であっても、関連する遺伝子は1つではない。複数の遺伝子を同時にどのように修飾すればよいか、単純には判明しないかもしれない。
原因遺伝子が1つである場合でも、その遺伝子が別の働きも持っていたら、思わぬ形で「副作用」が出る可能性もある。
「好ましい」形質を付加しようとする「デザイナー・ベビー」の場合には、また別の問題がある。「足が速い」とか「筋肉量が多い」といったような形質を遺伝子操作によって得ることは(それが可能であるとするならば)「遺伝子ドーピング」につながらないのか。「青い目」「白い肌」を求めることは、ナチスばりの優生学につながらないのか。
親世代の価値観を「押し付けられて」生まれてきた子が、そのことに納得できなかったときにどうするのか。ましてや、希望通りの結果が必ず得られるとは限らないのだ。
目的の改変が起こる効率も100%ではなく、多くの胚が傷つけられ、捨てられる可能性も無視できない。
生殖系列に対する改変は行うべきではないと考える人が大半だろうが、だが、それでも行おうとする者��出てくるかもしれない。その際に有用な防止策があるかというと、現段階では、法的整備が整っているわけではない。
性急な臨床応用に歯止めをかけつつ、建設的な議論を進めることができるかが、今後の鍵になってくるだろう。
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GMO:genetic modified organisms
遺伝子組み換え生物
こんな本読んでる自分がきらいになってしまう
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海外の本はなぜ分厚い
遺伝子に手を入れるのは治療だと許されるのか
美男美女ばかりでシワのない病気知らずの世の中も構築できるかも
人の欲望は限りない
その中で生命倫理による良識ある判断が必要
ドリーは短命で、そのために多大な失敗や命や胚を犠牲になりたった
宇宙開発も帰りの切符もない犬のロケット発射
犬の気持ちや苦痛は開発の名目でみないふり
理論武装したらいいのか
難病で苦しまない人が増えるのはいいと思いますが
本当に良識ある人ばかりでは犯罪は起こらない
きれいごとでは終わらないかもしれません