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あとがきのあと「新しい分かり方」 佐藤雅彦氏 認知の仕組み考えさせる
2017/10/28付日本経済新聞 朝刊
「人間なら誰でも楽しめるものを作りたいと思ってきた。この本もそういう本」。本書には60個超の「作品」と解説ふうの随筆が収められている。シンプルな写真や挿絵、図で構成された作品を鑑賞することで、私たちが現実をどのように認知しているかを考えさせる仕掛けになっている。
たとえば「指の下」という作品。枠の中に散らばって印刷された1から5までの数字を順に読んでみる。次に1、2、3、5のみが印刷された枠内の空いた場所に人さし指を置いて数字を読むと、指の下に4があるような気がする。
「4がないのは自分が指で隠しているからだと考えてしまう。私たちは抗(あらが)い難くそう認知するんです。この実験で『たしかにそうだ』と実感してほしい。それは自分を知るということ」。本書を読んだ後は、周りの世界の見え方が少し変わるだろう。
大ヒットした童謡「だんご3兄弟」、幼児向け番組「ピタゴラスイッチ」などの話題作を手がけてきたクリエイティブディレクターは「『分かる』とはどういうことか考えるのは生涯のテーマ」と話す。
「何かが分かると、それまでとは違う自分になる。前の自分を包含しつつ、自分が拡大します。人は『分かった!』と実感するとうれしくなりますが、それは『生きててよかった』といううれしさです。分かることは、よりよく生きること。そして私の生きがいは、そんな誰かの『分かった!』という瞬間を生み出すことなんです」
メディアが多様化し、「新しい『分かる』体験が広がっている」と指摘する。だが今回は本という伝統的な形式。「『指の下』は4が存在しないことを自分で確信できないと意味がない。タブレットだと『見えないところで機械が何かやってるんじゃないか』と思う。電子媒体と比べれば、本は何もできない。でも、その『何もできなさ』ゆえに人間を裏切らないという点が優れているんです」(中央公論新社・1900円)
(さとう・まさひこ)54年静岡県生まれ。東大教育卒。電通のCMプランナーを経て、現在は東京芸大教授。著書に『考えの整頓』『プチ哲学』など。
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写真やイラストを使い、実際に自分の手を動かすこともあり、人の「分かり方」の不思議、理由を説明、なるほど、と思うことも多い。
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東京芸大の映像科教授、「ピタゴラスイッチ」の企画者。
【面白かった点】
ティッシュの箱内部の斜線→箱を3つ重ねて測る
はかりの皿がいつも水平なのは、内部が平行四辺形「平行定規」
他人の視点や他人の考えがわかることは、それだけで嬉しい
「はっきりとした中途半端な分かり方」:どちらを選んだのかわからないが、どちらかを選んだことははっきりしている
偶奇性=数字が奇数なら、裏にあるのは偶数
なるほど!と思うのもあるが、全般、写真が多いアート本。
暇つぶしに読める。
幼児教育向けなのかな。あまりピンとこなかったが、頭の柔らかさがないのだろう。
こういう発想法の現代アートがあったように思うので、さほど珍しいとは感じられなかった。
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ピタゴラスイッチやIQ、最近だと2355も。どっかでお世話になってるクリエイターによる新しい読書体験。
前半の200ページほどは作品が並んでいて、懐かしのゲームブックではないけれど遊ばれているような、遊んでいるようなゆったりとした気持ちになります。紙の本としての価値があるコンテンツです。
後半の100ページ弱は解説の役割を兼ねた随筆で、前半パートをより良く理解するための、でもそれだけではない意外なところを突いて来るような文章が読めます。
早く読み終えようと思えばいくらでも早く読み切れるけど、それだけじゃ勿体ないと思える本。
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行動経済学とかいわゆる脳の本みたいなので流行りの認知バイアス関連の本なんだけれど、それを主体的な実験装置として設計するってところがすごいかっこいい。上品な本。
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本を開くと、何の説明もない写真やイラストが急に始まるので「よくわからない本だ......」と一瞬戸惑う。それがすでに著者の思うツボ。眺めているうちにピンときたり、何かを感じたりして、その度に脳味噌のあちこちを優しくつつかれるようないい気分に。本という形態を逆手にとった実験作品は目からウロコでした。この本にしかない、知的な「楽しさ」が詰まってます。
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大人のピタゴラスイッチって感じね。普段の分かり方を、詳しく説明。違った見方があることを知らせてくれる。面白いね。何か遊んでいるような簡単なテストをしているようなそんな感じ。この人からは目が離せない。
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まさに新しい分かり方、です。
新しい本、とも言えます。
簡単にウェブに飛ばされ、動画で見せられるよりも、普通の本の形をしているのに、中身は斬新。
こういう本を読むことが、新しい本を読む醍醐味です。
佐藤さんって、すごい。ほんとに。
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佐藤雅彦氏の著書や展覧会で氏の文章や作品をご存じの方にはもしかすると、既に知っている事が多数掲載されているかもしれません。ですが、分かっている・知っていると思っている事をもう一度確認するという稀有な機会を与えてくれる本だなあと思いました。
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写真とその解説は「動画の方が分かりやすい」感を否めない。
しかし、末尾の随筆は秀逸。聴覚障がい者の章も、人体解剖の章も、異なった分かり方であるが、でもわかる。
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人は「見た」ものからどんな情報を得て理解しているのかがよくわかる本です。
知的好奇心をくすぐられる本で非常に面白かったです。
人間の認知力と表現力の凄さを感じる一冊でした。
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本というメディアでのワークショップ。
今までの佐藤さんの著作の何かで見たり読んだりしたものが多いような気がする。それでもクスリとかホーとかさせられるから驚く。
解剖の話は初めてだった。
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人は物をみるときに、目に見えるあらゆるものを勝手に処理して理解しているということに、あらためて気付かされました。
こうだと思っていたことが、実は自分の思い込みから解釈していたこともあったかもしれないと思うと、思わず自分を疑いたくなります。
一方で、見方を変えるとシンプルな事実に気付くこともあります。その事実に気付くことができるかどうかが問われる本です。
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大好きなEテレ0655&2355や、大大大好きなピタゴラスイッチでお馴染み、佐藤雅彦氏の近著。
写真や図で構成された前半部分と、それを踏まえた随筆(解説)の2部構成で、とくに前半は、ざっくざっく読み進めずに、舌の上で転がしながら読了。
「分かる」「伝える」について、たゆたっていた長い夢から醒めた気分。
【象嵌】(ある質感の中に別の質感があると関心が生まれる)という手法に刮目。あと築地の話にうふふ。
他のものも読みたくなりますね。
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ほぉぉぉ…。
へぇぇぇ…。
ほんとだぁぁぁ…。
の連続。
とにかく読んでて気持ちいい。
脳が気持ちいい。
『ピタゴラスイッチ』ってスゴイ番組だったんだなぁ。