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フランスでベストセラーと聞いて読んでみました。
作者オリヴィエ・ブルドーは1980年生まれ。デビュー作のこの作品で、あっという間に文壇界の話題の寵児となりました。
いかにもフランスらしい、自由闊達な文章。
登場するのは、人生を謳歌しているかのような両親と息子。
息子の視点から、その夢のような生活が語られます。
愉快で軽妙な日々を送る一家。
父は、母の名を毎日違う名前で呼びます。
決して安定しないイメージ。
一番魅力的なのは、重力にさえ縛られないかのようにふわふわ、くるくると輝く母親です。
昼も夜もどんちゃん騒ぎを繰り返す仲の良い家族ですが、そうした日々はいつまでも続かず、その幸せに影を射す時が近づいてきます。
3人は、なんとか努力を重ねますが、容赦なく彼らに暗い影を投げかけていくシビアな現実。
とはいえ、作者の持ち味なのか、物語が陰鬱に落ち込むことはなく、全てが夢のような語り口調で過ぎていきます。
不思議な魅力を放ち続ける母親と、息をするように嘘を語る父親。
時折、息子の語りの合間にに別のフォントの文章が挿入され、それが父親が書いた文章だとじきにわかってきます。
人を煙に巻いて真実を語らない父親が記した真実の話。
息子からの視点と父親からの視点が、交差するように語られていき、次第に不可思議な物語の真実が見えてきます。
享楽的な暮らしの果てに、めいめいがつらい体験を超える中でも、3人のあふれんばかりの愛は変わることがなく、物語は豊かさと暖かさを保ち続けています。
永遠に続くダンス、めまぐるしく繰り返すターン。
全編を通じて、華やかで刹那的な、しかし決して揺らがぬ深い愛に支えられた一家。
フランスで一大ブームを巻き起こしたことに十分納得のいく、キラキラと輝く魅力いっぱいの物語です。
タイトルは一家の居間でいつも流れている、ニーナ・シモンの「ミスター・ボージャングル」という歌から取られているそうです。
さっそく聴いて見なくては!
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フランスの小さな出版社から出版され大ヒット。数々の賞を受賞。ほんとよくわからない国民だ。ヒットの要因はシンプルでピュアだからなのか。作者はディスクレシア(読字障害)で苦労したらしい。話は家族3人の破天荒な生活で、学校の規則より家族旅行を優先させる。しかし妻の精神異常により三人の楽しい生活が不可能に。家族三人とも世の中の評判なんて気にした所で何かいいことある訳?と共通して、自分達の望む選択肢を生きる。素晴らしい家族ね。でもやっぱり息子が社会に出た時に相当大変な思いをしそうなんだよね。絵描きとかならいいが。
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子供の視点では、あまり深刻さのない、刹那的な娯楽の上で生活する一風変わった一家のお話だけれど、父親の手記を見ると、なんとかしたいけれどなにもできないでいる苦悩がうかがえた。
もともと風変わりな母親、それがだんだん壊れていき、最後には…
父親も、子供には悟られなかったにしろ、同じように壊れて行く…
救いのない話だった。
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デビュー作にして、本国フランスでベストセラーとなり、各賞を受賞したという作品。書き出しの一文に「おっ?」と心を惹かれたが、あとはひたすら踊ってばかりの親子3人に戸惑うばかり。寓話なのかと思ったが、では本書からなにを読み取ればよいのかもわからず。まあ、一風変わった父と母と一人息子の愛の物語……なのかな?