オリヴァーの迷走
2017/12/14 22:02
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投稿者:J・P・フリーマン - この投稿者のレビュー一覧を見る
様々な人物の視点で物語が進むストーリーは、頻繁に新たな展開を迎えるので、息着く暇もないスリリングなものです。風力発電所の開発地をめぐるなかで二件の殺人事件が勃発。主要人物はほとんどエゴイストで、他人を利用して自分が利益を得ることしか考えていない。エゴとエゴが絡みあい事件は複雑なものになっていく。さらに事件自体がオリヴァーの私生活にも絡んできて、さらに彼は事件関係者の一人に一目惚れしてしまう。仕事がおろそかになり、ピアとの信頼関係が揺らいでしまう。
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オリヴァー&ピアシリーズ第五作。
オリヴァー&ピアのシリーズなのに、ここ数冊、どんどんオリヴァーが壊れていってダメ男になっていっていて、刑事としてすら使えない人間になっていっていて実に残念。
正直読んでいて痛々しくてオリヴァーのシーンは見ていられなかった。
その分、ピアの頑張りはますます必要で、彼女の方も折角得た新しいパートナーとの関係が危うくなってきていて、こちらも別の意味で心配。なのに、オリヴァーは勿論のこと、他のチームメンバーたちもプライベート優先で、ピアのプライベートは誰も心配しないの?と彼女本人ではないが、そう言いたくもなる。
事件の方は風力発電建設に絡んだ様々な汚職や陰謀が錯綜する。出てくる人物みんながみんな、自分のことしか考えていなくて、こちらも正直読んでいて厭になってきてしまった。
環境問題など本気で考え取り組んでいる人間は誰一人としていないのか?と思えるほど。しかしこういうことはドイツに限らずどの国でもあるのだろう。
唯一、マイクが大人たちのエゴに巻き込まれて可哀相だったが、逆に言えば彼もまた流されやすいのが弱点。もっと自分を強く持って欲しかった。
最後の最後にオリヴァーから爆弾発言が。オリヴァー&ピアシリーズなのに(敢えてもう一度書く)どうなるの?
しかし本国では第八作まで出ているそうだから、収まるところに収まるのか。
ただこの調子のオリヴァーだとどうもシリーズ自体に興味が薄れていく。元の愚直なまでに仕事熱心なオリヴァーに戻ってほしい。
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バラバラな事件が最後に繋がった・・・のか?
最後までよくわからなかったのは私の理解力のせいだろうか。
登場人物が目覚ましい活躍をするわけでも素晴らしい推理をするわけでもなく、流れで事件が解決する。
オリヴァーがもうなんかダメダメだ。この人どうして刑事になれたのだろう。
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面白かった。しかし、読むのに恐ろしく時間がかかった。
登場人物が多すぎるのである。
冒頭、オリヴァー、ピアそれぞれの私生活が描かれる。
まずはここで大混乱だ。
え、この二人(オリヴァーとピアではない。念のため)、くっついたり離れたりしているの? それとも関係はシンプルに移行しているの?
え、この二人(同上)、こじれた関係? それとも結論づいちゃった関係??
理由は明白、出版順なのだ。
この『穢れた風』は5巻目で、5番目に出ている。けれども、それまでの出版順が、3→4→1→2なのである。
前の話である4巻目が出たのが、2013年・・・・・・覚えているわけがない。
順序のあれこれは仕方がない。出版業界に暖かな風が吹いていない今日、人気シリーズを人気シリーズにするためには、色々あるのである。私はそれは理解する。
しかし、私は、彼らの私生活の流れをすぱっと理解できる頭は、生憎持っていないのだ。
混乱しつつ、読み進めると、今度はこの話の登場人物達である。
少なくない。
そしてどうしよう、把握できない。
リッキー? ニカ? 男女どっち? どこの人??
(読み進むうちに、どちらも、ドイツ人女性とわかった。)
話の序盤3分の1まで、混乱状態の中にいて、なかなか読み進めなかった。
それを過ぎた中盤から面白くなってきて、さらに面白くなるのが、終盤。ここは一気読みである。苦難を乗り越えた甲斐があったというものだ。
このシリーズを読むのが初めてという方は、オリヴァー、ピアそれぞれの私生活について、序盤はさらっと流して読むのをお薦めする。つまづきやすい所だが、ここで止めるのはもったいない。
シリーズを出版順に読んできた私のような者は、おさらいしてからのほうがいいかもしれない。
時系列の迷路にはまって、
「ここ、どこ?」
何度問いかけるか知れない。
巻末の解説にもそれは書かれてあって、ありがたいことに、シリーズの簡単なおさらいがわかりやすく書かれている。
既刊本を読み返すのが面倒ならば、585ページからのそれを読むというのも方法だろう。
さて、それにしても。
今でも児童たちは「嘘はいけません」一辺倒の教育をうけているのだろうか。
「人は嘘をつく」
そこそこ生きてきた身からすると、これを教わったほうが、よほど人生のためになると思うのだが。
善意からであれ、悪意からであれ、
意識してであれ、無意識からであれ、
身を守るために、身を飾るために、
金のため、恋のため、人のため、自分のため、
あなたも、私も、みんな、
誰だって嘘はつく。
その上で、嘘をついた者がどうなるか。
どんな嘘がどんな物事を呼び起こすのか。
やたらと人を信用したらどうなるか。
信用できる人を見極めるにはどうするか。
云々を教えるのが教育というものではなかろうか。
「人は嘘をつく」
私はこれを数多の推理小説から教わった。
推理小説とは��まったく教育的な書物なのである。
そんな教育的書物の中にあって、いたく上質なこのシリーズの順番は以下の通り。( )内は日本での出版年。
『悪女は自殺しない』(2015)
『死体は笑みを招く』(2016)
『深い疵』(2012)
『白雪姫には死んでもらう』(2013)
『穢れた風』(2017)
人生において大切な教え、導き、支えとなるものが、ここにある。
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第一印象。分厚い!
風力発電所の建設計画をめぐり、建設を推進したい施設建設会社と、自然保護を名目として建設反対を訴える市民団体との争いを軸にストーリーは展開する。
風力発電ならばクリーンエネルギーとして環境にも優しいと考えがちだが、巨大な風車を数多く建てなくてはならないから、やっぱり木々を倒し、土地を均して環境を変えなくてはならない。市民団体もその点を突く。さらには自然の立地としても風車を回すほどの風が常時吹くほどの見込みはない。それではなぜそこに建設しようとするのか。その裏に見え隠れするのは補助金やファンドから流れ込む潤沢な資金の影。大金が動くところに人は群がる。そして事件は起こる…
刑事オリバヴァーとピアが活躍するシリーズの第5弾とのこと。
やたらめったら登場人物が多いので最初は戸惑った。でも邦訳がとても簡潔でわかりやすいので、外国文学を読んでいる感じは受けなかった。シリーズを読んでいる人には難なく物語の世界に入り込めるだろう。
他の方のレビューを読んでいるとオリヴァーは当初は優秀でかっこ良くて頼りになるボスタイプとして活躍していたようだが、この巻から読むと、ファム・ファタールに弄ばれる間抜けな男にしか見えない。主に活躍するのも、犯人の見当をつけるのも、部下である女性のビアだ。女性の活躍が少ないとかファンからの苦情でもあったのか? オリヴァーのダメダメぶりは、凡人の自分には共感できる部分も多いが、第1作のからのファンはどう思うのか心配だ。
読み終えて振り返って考えると、犯人があの人だということは筋道としてとても納得いくのだが、読んでいる途中では全然気づかなかった。騙された。でも心地よく騙された。
これは第1作からぜひ読んでみたい。
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オリヴァーがダメダメ過ぎて、ここまで女に弱いと楽しく読めない。きっと次作で、シャキーン!と有能な上司ぶりを見せるための前振りなんだと信じたい。
大勢の登場人物の、複雑な性格をこんがらがること無く描くのは流石。
しかし、嘘つきはほんとうに息をするように嘘を吐くんだと言う話を立て続けに読んでしまい、今更ながら人間不信になります。
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オリヴァーが恋をした ん~そうか、そうか あたしゃ、応援するよ
でも、恋するオリヴァーはだんだん定番のような気もするが…w
今回は八面六臂のご活躍のピア姉さん しかし、いまだにピアはどうも好きになれん なんでかなぁ まぁ私の心が狭いんでしょうねw
それにしても、今回はピアも真っ青なほどの下衆女登場
アメリカ行きを夢見るアラフォー毒婦か まぁガッツはあるわな
今回は出番の少なかったヘニングが… まぁめでたいことでパチパチ 幸せになってくれ
でもなんで、イギリスで…? ドイツの古城で式挙げて、これ見よがしにピアに幸せアピールしたらよかったのに…って思う私はひねくれてます ハイw
マルク ひたすら気の毒な少年(16才)
不幸続きだけど、唯一彼を気にかけてくれる姉がいるのがまだ救いか
それにしても、マルクの頻繁に起こる頭痛がずっと気になってた
リッキーになんか変なの飲まされてるのか、レッドブルの飲み過ぎなのか、さては脳腫瘍なのかと気にやんだが、結局頭痛の原因は触れずに終わったのが消化不良
❝女が殺人を犯すとしたら、それは耐えがたい状況を終わらせるためだ。それに対して、男は怒りや嫉み、あるいは捨てられるという不安から人を殺す。❞
相変わらずの翻訳の素晴らしさもあって本作もイッキ読みできた 次作も楽しみだな
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刑事オリヴァー&ピアのシリーズ5作目。
オリヴァーは主席警部で、ピアは同僚です。
これでやっと順番通りの刊行になる?
とはいえ、4作目を読んだのがだいぶ前なので~刑事たちの人間関係を思い出すのにしばらくかかりましたよ。
風力発電建設会社で、妙な事件が起きます。
ドイツでは、原子力に頼らない再生可能エネルギーの開発が盛んになっているそう。
彼らの住む州には、フランクフルトを含む都市部と風光明媚な郊外の両方があり、風力発電はまだ盛んではないとのこと。
メルヘン街道もあるそうですから、景観破壊になっては困りますよね。
オリヴァーの父親は伯爵で、地元の名士。
事件に関係する老いた農場主は、古い知り合いです。
この農場が美しいところなのですが、風力発電会社が用地買収しようとし、一方では反対派が集結して騒動になっていました。
反対派というのも、一枚看板ではありません。
市民運動家、恋人だから応援する女性、女性に憧れる少年、事情を抱えた人物‥
個性豊かで人間臭い描写は、この作家が得意とするところですね。
しかも、事件には背景があり、スケールを大きくしていく‥!?
4作目で、チームのメンバーにも変動があったのですね。
オリヴァーは妻に去られ、まだ動揺が激しく捜査に集中できないでいます。
しかも、ある出会いから、また振り回されることに?
あらまー‥
ピアのほうはオリヴァーの代わりに自然とリーダー格になり、充実した日々。
ところが仕事に熱中しすぎて、今度はせっかく上手くいっていたパートナーと?
おっと‥
しかも、最後に爆弾発言が?!
読みごたえのあるこのシリーズ、本国では8作目まで刊行されているそうですから~
続きも楽しみに待っております☆
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オリヴァ―とピアシリーズの第5作。
オリヴァ―…。
奥さんに浮気されて離婚になったのはかわいそうだけど、
ショックから立ち直れなさすぎだし、
女性に目がくらんでだまされるし、
警察官なのに犯人の逃亡を助けたし、
職場放棄だし、
大金に動揺し過ぎだし、
脅迫にビビりすぎだし、
良いところ全くなし。
よくピアが許したな、という感じ。
もっとかっこいい刑事だったはずなのに、
腹も出てたし。
風力発電をめぐる汚職も陰謀も、愛を求める少年も、残虐な殺人さえもかすむ感じ。
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風力発電施設建設会社で夜警の死体が発見された。ビルには何者かが侵入した形跡が。奇妙なことに、社長室のデスクにハムスターの死骸が残されていた。これは何を意味しているのか? 風力発電の利権をめぐって次々に容疑者が浮かびあがり、さらに殺人が…。再生可能エネルギーにかかわる国家的犯罪なのか。巨大な陰謀に呑み込まれる刑事たち。ドイツのナンバーワン警察小説!
シリーズ第五作。グダグダなオリヴァーに唖然。
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刑事オリヴァーとピアシリーズ第5作。
あらすじ
風力発電施設建設会社のビルで、夜間警備員の死体が発見される。原因は心臓発作だが、蘇生の痕跡がある。社長室の机にはハムスターの死骸が置かれていた。
農場を所有する老人はこの会社からの買収話を断っているが、娘息子が結託して説得しようとしている。娘が勤める母ペットグッズ店のオーナー、リッキーと、恋人で建設会社元社員のヤニスも会社の裏取引を暴こうとしているが、老人とはそりが合わない。店を手伝いに来ている少年マルクはリッキーに心酔しているが、実は社長の息子だった。リッキーの居候、ニカは身分を偽っていた。風力発電と関係のある、気候研究所所長の助手で、愛人だったのだ。
途中までのんびりした雰囲気で、各登場人物のイライラいた日常を書いていたけど、途中から怒濤のように、過去とか、実は…の人間関係(マルクの家族・過去の傷)とかが出てきて、限られた地域・範囲でのこんがらがった事件が来たー、わくわくした。この作者のこういうところが好きだ。加えて、今回はオリヴァーのダメぶりがはっきりしてきた。前からうっすら思ってたけど、脇が甘い。ぼんぼんだからか、打たれ弱いと思う。主役はピアが独り占めするのかな。次作も楽しみ。
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オリヴァー&ピアシリーズ第5作。前作の「白雪姫」から続けて読んだので、サブストーリーであるオリヴァー&ピアの私生活についての変遷は楽しく読める。環境保護、風力発電、動物愛護などイマドキの潮流に乗ったストーリーは、今回もたくさんの登場人物と複雑な人間模様で読了にどうしても時間がかかってしまう(電車でも部屋でも頻繁に寝落ち…)。サイドストーリー含めて、最後には大団円を迎えるので達成感はあるのだが。3.8
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オリヴァー&ピアシリーズ。
事件の謎解き以前に、探偵役の警察の皆さんがが大変なことになってる。むしろそっちの謎のほうが気になってしょうがない。
オリヴァー……ほんとにお前どうしたんだよ。そして次巻への引きがすごい。どうなるんだオリヴァー。
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ページ数も多いけど、内容が濃かった。テーマは風力発電テーマパークにまつわる話。環境問題から、建設反対みたいな勢力はやっぱ沸いてくる。人物の1人の活動家は、以前いた会社で馘になり、恨みを晴らしたいだけ。パートナーの恋人は嘘で塗り固まれた人生にリセットしたく、表面上の敵のスパイをする。人間の欲望の渦が5周位ぐるぐる渦巻いてるが、あんまり最近こういう小説ってなくて、久々に面白かった。清い人間なんていないんだぜ。
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風力発電に関する推進派(政府・企業)と反対派(市民)の対立。
しかし、想像を絶するやりあい。
自分達の主張を通すためには手段を取らないそのやり口は、どちらにも嫌悪を抱かせる。
風力発電は、環境に優しい再生可能エネルギーだと思っていたので、環境破壊を理由に反対運動が起こるとはびっくり。
「渡り鳥の渡りのルート上には風車を作らないで」と作家の梨木香歩が言っていたけど、それ以外にもいろいろ問題はあるのだな。
そして、地球温暖化という不安に簡単に踊らされてはいけないと改めて思う。
もちろんエコは大事だし、何事につけ踊らされるのはよくないけれど、「地球温暖化」というのは結構な切り札になるので。
でもって、シリーズが進むたびにオリヴァーの情けなさが露になる。
女に弱いにもほどがある。
今回ほとんど捜査の戦力にはならなかったオリヴァー。
確かに父親が殺人事件の死体発見者になったり、その被害者から遺産を贈られたりと、どっぷり事件に巻き込まれてしまったということはあるけれど、職場に連絡もしないで個人行動ばかりなのは組織人としてアウトでしょ。
「結婚が破綻し、両親のところに居候し、ゾフィアのベビーシッターしかまともにできることがない。仕事にも身が入らない。ここにいる意味あるかい?」
という、最後のオリヴァーのセリフに、ベビーシッターもまともにできてませんけど!と突っ込んだのは私だけではあるまい。