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いま学校に入れたいマンガ
その8「見えない子どもたち」
は、トランスジェンダーがテーマです。
いつ自分がそうなのだ、ということに気がつくかは人によって違うのですが、おおむね小学校の5年生あたりになると切羽詰まってきます。
初潮と、修学旅行(臨海学校)、それと中学生になったら学ランを着なければならない、というのが迫ってくるからです。
そうして本人だって混乱して自分を受け入れるのが大変なのに、それぷらす、周りが受け入れてくれない、という問題があります。
まわりが、へー、そーなんだー、でなにごともなければ、問題の半分は存在しないことになり、そうなるためには教育がものをいうのです。
これは、女性の体に生まれたのに自分は男だ、と思い、苦しむ小学生が主人公ですが、トランスもののなかではいちばんわかりやすく、よく描かれています。両親もはじめは受け入れない。
ここで彼を救うのは学校の養護教諭です。
そうして一人が声を上げたことで、ほかの何人もの子どもたちも救われていきます。
なので学校にはぜひ買っておいて欲しい一冊です。
本人にも周りにも、知識が物を言う、のだし、図書館の棚に並んでいる、というだけで、それなりの力を持つのですから。
これを読んだ小学四年生が、こういう感想を述べてくれたそうです。
「昔の人は大変だったんだねぇ。僕たちは学校でならうからいいけど」
と……。
差別と偏見を追い払うのは知識です。
本当に、彼の言う通り、この差別と偏見が過去のものになる日が早く来ますように……。
2023/09/01 更新
※こちらは以前今日の一冊、LGBTQ+の本棚でもご紹介済みですが、再度ご紹介しました。
以前のご紹介ーーーーーーー
LGBTQの本棚から
第58回「見えない子どもたち~LGBTと向き合う親子~」
ようやく、子どもたちに出せるLGBTQ本が出ました!
これまでの本は正しくても難しかったり、大人はなんとか読めても子ども、特に小学生が自分で読める本は、ほとんどありませんでした(小説が読めるタイプの子なら「弟の夫」あたりは読めますが……)。
ものすごく易しい。
でも、問題は的確にとらえてくれていて、それをわかりやすく解説してくれるのです。
やっぱ、日本はマンガ、強いなぁ……。
うまい!
しかも主人公、小学生たちだよっ!
中の一人が、中学行って絶対学ラン着たくなかったから、五年生でカミングアウトしたんだ!
といってますが、修学旅行と制服は、彼らを押し潰すほど巨大な問題です。
あなたが精神的に女性だとしたら、男性用のお風呂に男子たちと一緒にはいれますか?
あなたが精神的に男性だとしたら、女の子たちしかいない部屋で一緒に眠れますか?
ってことなんですから……修学旅行って……。
とまどう教師や親の側もよく描けています(保険の先生、グッジョブ!)。
でも大事なのは、子どもたち本人が幸福であるかどうかじゃないっ?!
に思い至れば、子どもの側に立ちもどってくれる親たちです。
クラスメートがその子達の味方になるか敵になるかはまわりの大人しだいなのです。
LGBTQだけじゃなく、知的障害でほかの子にいじめられている女の子も出てくるところもうまいところ!
構造は同じなんだな、と小学生でもわかるでしょう。
これは今年、どこの学校でも絶対買い!!!
の一冊です。
秋田書店さん、ありがとう!
2018/07/30 更新