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浜尾四郎の名作が文庫化。
著名な『殺人鬼』もそうだが、戦前探偵小説文壇では少数派だったロジック派で、当時の他作品とは傾向が異なるタイプ。寡作な作家だったのが惜しいなぁ……。
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時系列で『殺人鬼』の後の話という設定なので、先にそっちを読んだ方が良いかな。(前作のネタバレはしてないけど、キャラの設定やらを引きずっているので…)
探偵が行く先々で人が殺されていく様はまさに、探偵が犯人じゃないかと警察に疑われてもしょうがないレベルで(作中、そういう描写あるしね)潔い。探偵はデータが全部揃うまでは推理の内容は喋らないんだとワトソン役にブーブー文句言われながら二人連れだって捜査に出向く所とか、久しぶりにシャーロック・ホームズ以降の古き良き探偵モノの風格いっぱいで読んでて楽しかった。
浜尾四郎といえば法律ネタ、そしてヴァン・ダイン大好き、と一通りお約束を用意してくれてるのもたまらない。
ワトソン役の子が大変にへっぽこで、しかも自覚のあるへっぽこ故、時々読んでてイラッとする時もありましたが、次々イベントがテンポ良く起きるプロットなど、分厚さの割に飽きずにサクサク読めました。
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逗子駅から長井と材木座にそれぞれバスで向かう、というのが今と変わらないんだなと。
恋愛にもなってない恋愛要素が楽しい。
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なかなかおもしろかったのですが
ネタバレにならないだろうから言っちゃうと
ずっと怪しいと思っていたなら
もっと早くに犯行を止めてくれ給えよ!
↑それを言っちゃあお終めぇよ(笑)
でも、これ戦前の作品だもんね。
そう考えると風俗はレトロだけど
犯行現場の西郷像が散乱していた理由とか
犯人が殺人におよんだ動機とか
ミステリの道筋としては
今もって楽しめるのがすごいのかも。