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官房長官会見において次々と質問を繰り出すことで一躍有名になった著者の望月さん(それだけに、心ないバッシングや脅迫、圧力をこの間受けてきたと言います)。本書では、生い立ちや記者として足跡をたどりながら、政治やメディアの抱えている課題に触れ自らのできることは何かをまとめたという構成。前川喜平前文科省事務次官やレイプ被害にあった詩織さんへのインタビューも掲載されています。一気に読みました。
望月さんの人柄や仕事に対する考えが、伝わってきました。駆り立てられる思いが背景にあるにしても、質問をし続けることはとても勇気のいることだなと思います。それにしても森友・加計学園問題をはじめ、明らかにされていない事実のなんと多いことか。だからこそ、著者には国民が疑問や知りたいと感じていることを追求し続けてほしいと思います。また多くの知識人や世界各国等から指摘されていますが、記者クラブ制度等日本のマスメディアのありようについても、よく考えることが必要と感じました。
望月さんと同じように、踏ん張っているマスコミ関係者も多くおられますね。そういったマスコミ関係者の発信を受けとめ、多くの人に広げていくことも運動にとっては大切なことだと思います。
おすすめの一冊です。
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あの鉄面皮で、人々を不快にさせてきた菅官房長官をいらいらさせ、人々の溜飲をさげた望月記者の半生記である。望月さんはもともとお母さんの影響もあって女優を目指していた。ーあの記者会見の質問の姿は女優だ。しかし、最終的に記者の道を選ばせたのはお母さんが勧めてくれた、アパルトヘイトを暴いた本だった。望月さんは、するどい質問で菅さんたちをたじたじさせるが、時々ミスもして,バッシングも受ける。このそそっかしいところは昔からあったようで、オーストラリアに留学しているときに、5メートルの岩場からダイビングするところが、足を滑らせ頭から落ちてあやうく半身不随になるところだった。同業者の夫はきっといつもはらはらしていることだろう。(二人は二児の親だが、夫はどのくらい子育てにかかわっているのかちょっと気になる)でも、人間失敗をおそれていては何もできない。望月さんは記者会見に足を運ぶ中で体の不調をうったえるようになる。あんなに格好良くやっていても、極度の緊張に襲われるのだ。生身の人間である。望月さんが最初に入社したのは東京新聞だった。いまでこそ、名前が売れてきたが、関東では弱小新聞?かもしれない。ただ、ぼくはその系列の中日新聞を取っているから、新聞自体は高く評価している。単なる地方紙ではない。東京新聞に入った望月さんは社会部をわたりあるき、大きな事件をいくつもスクープする。この精神が記者会見での姿勢につながっているのだろう。時には失敗し、社内での仕事に回されたりするが、くさらずそれを自分の糧にしてきた。出る杭はこれからも打たれ続けるかもしれない。でも、どうか頑張ってほしい。ぼくはこの本を読んでとても大きな勇気をもらった気がする。
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東京新聞の記者。最近よく聞く名前です。少し前に自民党の菅官房長官とのやりとりで、「同じ趣旨の質問を繰り返すな」と言われたことに対して「きちんとした回答をいただけていると思わないので繰り返し聞いている」と言い返した人で、ニュースでも話題になっていました。
新聞記者になった経緯や駆け出しのころのエピソード、そしてスクープの裏話などが盛り込まれていますが、個人的に知りたかったのは新聞記者の鋭い嗅覚というもので、今の政治家を見たときどのように感じているのか、ということでした。
森友・加計問題をはじめ、過去にもあった誰がみてももみ消された感のある事件などは、彼女からみてもやっぱり違和感があり、それに対して新聞記者が質問をしつこくして当事者から話を聞きださねば、他に誰がやるのか、と言わんばかりの使命感が伝わってきて、面白い内容でした。政治的圧力などまるでドラマのような展開も書かれています。
記者会見では近頃、前もって質問内容を提出させたり、途中で質問を切ったり、あからさまに質問させなかったり、ということが行われるようになっているようです。
民主主義のかたちを変えられていく危機感を感じているという文章を見たときに、新聞記者の嗅覚でもそのように感じているかと納得。
アメリカ政府による一般市民に対する盗聴を暴露したスノーデンの『スノーデン 日本国民への警告』の中で、”情報を集め公平に判断できるジャーナリストはもっと政治を監督しなければならない。国の圧力に屈してはならない”と述べていますが、残念ながら政府よりの記者もいるとのこと。一方で、彼女の権力を恐れず、聞きたいことを率直に聞く姿勢が他の記者も刺激し、かつてない広がりを見せているようです。
今後の活躍にますます目が離せない記者です。今の政治がどうのこうのはなしにして、一度読んでみてはどうか。
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著者は菅官房長官への鋭い質問で有名になった東京新聞記者。
本人の悩みや失敗なども交え、新聞記者として何を考えて取り組んでいるか、素直に表現されている。
権力者が隠したいことを明らかにする、その一念で日々、取り組んでいる。
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政治家、歌手、映画俳優など、世の中には人から一目置かれる華やかな職業がある。新聞記者もその一つだろう。こうした職に就いている人には、2通りあると思う。ひとつは、自分の信ずること、すべきことを実践するためにその職が必要だった人、つまり、仕事の内容そのものがその職を選ぶ主な動機であった人である。彼ら、彼女らは自分のすべきことに忠実であるため、魂を売らない限り、政治家であれば普通の人を大切にし、歌手であれば、ロック魂を失わず、自分の信ずる歌を愚直に歌い続けるだろう。
一方で、その地位が醸し出す見かけの華やかさのみを求め、その職を選んだ人がいる。こうした人の喜びとは周囲かららちやほやされ、叩頭され、悦に入ることなので、職人としての矜持など望むべくもなく、政治家であれば自分の利益に繋がらない普通の人は全て自分の引き立て役、道具とみなすだろうし、歌手であれば、自分を崇める歓声さえ聞こえれば、平和の歌だろうが、戦争を賛美する歌だろうが、言われるまま、無節操に何でも歌うだろう。
前置きが長くなったが、母親からすすめられて読んだ吉田ルイ子のルポに触発されて、記者に憧れるようになった本書の著者望月衣塑子氏は、明らかにひとつめのタイプの記者である。本書で語られているのは、新聞記者の本分ではなく、一新聞記者の個人的な歴史、回想である。しかし、前述のように、著者は記者の仕事の内容そのものに意義を見出して現職に辿り着いているので、本書を読むと、苦労も失敗談も、両親、夫、子供についてのエピソードも、単なる思い出話にとどまらず、新聞記者のあるべき姿の大切な構成要素として著者の中に生きていることが本当によくわかる。やはり本書のダイトルは「新聞記者」こそがふさわしい。だから、本書に対する「自画自賛」「自己陶酔」等の、どこをどう読めばそうなるかわからない評価は、私の軽蔑するある人の言い方をあえて借りれば、「そのような指摘は当たりません、そういう風に考えます」
彼女を一躍有名にしたその定例記者会見についても書かれている。人類の知性を愚弄するようなあの記者会見を見て、官房長官が誠実に答えていると思う人は、答えている本人も含めて一人もいないだろう。権力は必ず腐敗する。「答える」というより「隠す」ための虚しい会見と、権力に同調する、つまらない「大人」になってしまった記者たち。それでも真実を引き出そうと奮闘する著者には、味方する記者も出てきているようだ。今後とも新聞記者の本分を尽くしてほしい。
著者は、清水潔をジャーナリストとして尊敬しているとのことだが、同業者である夫も尊敬していると書き、更に「最愛の夫」とも表現している。形だけ妻と手をつないで飛行機のタラップを降りるようないかがわしさとは正反対のさわやかさを感じた。著者を中傷、脅迫する輩までいるようだが、やはり著者は幸せなのだろうと思う。これからも活躍に期待したい。是非多くの人に読んでほしい本である。
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ネットで購入。
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ジャンル分けに困った(*^_^*)。
ドキュメントといへばさうだし、エッセイと言へば言へなくもないし…。まあいいや。
この人の熱さが好きだ。
可愛さも好きだ(*^_^*)。
これからも頑張ってもらひたい。
応援します。
東京新聞を講読できないのが残念。
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20171129 ニュースで話題になってから興味を持った。タイトル通り、自分の選んだ職業に付いてどうあるべきかがずっと問いかけられている。皮肉な事に安倍政権の一億総活躍を実現するには作者のような信念を持った人が仕事を続けていけるような社会にならないといけないと思う。
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国会で答弁を繰り返す官僚もそうだし、記者クラブでだまっている記者たちも、なんだか今の学校教育の賜物のようなきがしてならない・・・指示がなければ動かない。言われたことだけをやっていればいい。自分で考えない。
なんか気持ち悪い。
なんて感想をもってしまった。
著者には兎にも角にも頑張ってもらいたい。
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最近、反アベ派の層を中心にちょっと話題のこの人が、どういう思いで記者をしているのかに興味があって読んでみた。
すごい人だと思いました。支局時代にも大きな仕事をしている。たいそうなタイトルですが、それにふさわしい記者かもしれない。東京新聞を購読したくなりました。
今後も応援していこうと思います。
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よく言えば猪突猛進。悪く言えば暴走気味。
望月さんの仕事に対する情熱は伝わるのですが、好きか嫌いのどちらだと聞かれれば、決して好きとは言えない。ただ、とても興味をそそられます。
タクシーの使い放題や、取材先を怒鳴る。
汚職問題が好きだと言い切ってしまうところや、定例記者会見では、最初から「嘘をつかれる」と決めつけて、質問をぶつけるころも疑問を抱かずにはいられない。
真っ直ぐすぎるのか、質問のぶつけ方が下手な人だなと思う。
フリーランス記者の安積さんを見習えとは言わないが、もう少し賢いやりかたがあるだろうに・・・
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本を読むまで知らなかった。
けど、情熱を持って挑み続けている姿は本当にかっこいいと思った。
新聞離れというけれど、こうやって闘って得た情報が発信されているなら、ネットニュースとは意義が大きく変わるのではないだろうか?
周りに変えられないために。私はどこに向けて進みたい?
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ここに書いてあるのは、記者という職業として、至極まっとうなスタンスと行動だ。著者が見ていて、???と感じる周囲の記者の腰の引けかたは、いったいなんだろう。そういう報道陣は、どっちを向いて仕事をしているのだろう。
書店には、この本を買いに行ったわけではなく、ふと手に取って買った本だけれど、とてもいい本でした。
東京に出張したら、面白そうな新聞を買うことにしよう。
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おかしいことはおかしい、と声をあげる人こそ希望だ。
日本では、おかしい、と言った瞬間に、多数を批判した瞬間に白い目で見られるのが、本当に怖い。
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権力の腐敗が進み、富の集中も進み、どこか閉塞感が漂う今日この頃。
与党の政治家や官僚が保身のために空気を読まざるを得ない圧迫されすぎた権力構造を今のまま進めてはいけない。
おかしいと思ったことは、おかしいという。
目の前にある問題に見て見ぬふりをしない。
望月さんのような気骨のあるジャーナリストが増えて欲しいと思う。
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あとがきにあった言葉。望月さんが大切にしているというガンジーの言葉。
「あなたがすることのほとんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。そうしたことをするのは、世界を変えるためではなく、世界によって自分が変えられないようにするためである。」