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新聞記者の仕事がどんなものなのか、この本で初めて知った。ジャーナリズムとは?報道とは?漠然としか感じていなかったこれらの言葉に、具体的な責任と使命感を持って仕事をしている人がいる、というのはとても頼もしい。同時に、それをサポートする人や環境が諸外国よりずっと遅れていて、情報の受け手の意識が低いこともハッキリと感じられ、改めて危機感を覚えた。
文学的にどうこうではなく、彼女の意見や考え方が率直に伝わってきて分かりやすく、非常に興味深いことが詰まった一冊。広く読まれてほしい。間違っても販売自粛などということにならぬよう。
ところで、7月にはこの本を元にしたという映画も見た。同じくジャーナリズムをテーマにしたドキュメンタリーで、湾岸戦争の時の誤報について扱った『記者たち』に比べるとやや間延びしていて情緒的なシーンが多いと感じたけれど、面白かったし衝撃的な描写も多かった。他の切り口で調べると、内調は「実際はあんな仕事はしない」ということを書いている人もあり、フィクションならではの誇張もあるのだろうと推測できるが、それでも、言いたいことは十分に伝わってくる作品だった。
イオンがスポンサーで、上映回数も多く見に行きやすかった。ちょっと見直した。
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今、最もブンヤらしい人と言えば、この東京新聞の望月記者であろう。
新人で千葉、神奈川、埼玉で事件記者を経て、東京本社の政治部へ異動し、そこで彼女の本領が発揮される。
今や安倍総理の記者会見では、決して指名されない。そう入りの記者会見で指されるのは、読売と産経ばかりだからだ。
しかし菅官房長官は手を挙げている記者なら質問はさせてくれる。菅氏は最低限の常識は持ち合わせているようだ。
それでもその回答は木で鼻をくくったようなはぐらかしをする。そこで望月氏がしつこく食い下がると、忖度側マスコミの記者が勝手に会見を終了させる。この国はそんな仕組みになっているらしい。
当初は孤軍奮闘で他社の反発を招く事も多かったようだが、現在はわずかながら味方の記者も出てきたらしい。
この様な望月氏の行動に対し、いくらやっても無駄だとか、
結局今も何も変わっていないとか批判する人も多い事だろう。そんな人にはこの本の後書きにも書かれていた次の言葉を贈る。「あなたがすることのほとんどは、世界に対して無意味であるが、それでもしなくてはならない。それをするのは世界を変えるためではなく、世界によって自分が変えられないようにするためである」(マハトマガンジー)
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映画がTwitterで結構話題になっていて興味を持ち、この本を手に取った。
最初は少し入りづらかったけれど読み進めていく内に、引き込まれた。淡々と書かれている文章だけれどその裏側に著者の情熱、信念、誇り。。。そんなものが見て取れた。そして何と言っても、気骨があり、ものすごくカッコいい!!!同じ女性だけれど惚れてしまいそうになった(笑)
昨今、マスゴミと言われたり報道の仕方、扱われる事柄に眉を顰める事も少なくないが、この著者の様に権力の背後に渦巻く隠蔽、疑惑等々を暴こうと正々堂々と立ち向かう人がいるのだと知った。そして、著者にはこれからも国民が知りたいと思っている事の裏側、ひいては真実を引き出してもらいたい。
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映画「新聞記者」を観て、読む。映画の原作かと思ったが、別物。
望月衣塑子は、どうやって今の新聞記者・望月衣塑子になったのかの物語。
その過程で、現在のジャーナリズムの危機、政治家の傲慢や思慮のなさが暴かれていく。現状「怖い」。
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映画を観るか、どうするか?
元となっている原作を読んでから、、、 というより、著者望月衣塑子氏の為人を知ってからのほうが良かろうと著作から手に取ってみた。
菅官房長官の会見での質問攻めの映像が話題となり注目を集めている。その行動の目的は? いや元となるモチベはどこから来てるのか? それが分からないと単なるスタンドプレー、名を売り知名度を上げ、その後なにを企んでいるのか、という猜疑の目でしか彼女を見ることができないだろう。
映画『新聞記者』(藤井道人監督)の原案とはなっており、幸い「原作」ではないので、映画が社会派サスペンスとなっているのに対し、本書は、より望月衣塑子氏の生い立ちや、今日に至るまでの記者生活、家族生活が語られていて、人物像を理解するのに資する内容となっていた。
結果、氏の言動は、信頼に値するという印象を持った。あの会見場だけが、彼女の主戦場だとしたら、それは違うよという思いを強くもっただろうが、ではないようだ(あくまで本人著のこの本を読んだだけの感想ではあるけど)。
官房長官会見で何かを変えようと思っているわけではなさそうだし、メディアとの質疑応答で何も生まれないのであれば、会見自体意味のないものだということもわかり、いずれ改善されるだろう。「そのままにしておかない」という姿勢が大切。それは現政権の何かを変えるためのものではないのだから。
記者魂がいかんなく発揮される仕事っぷりは、昭和な刑事ドラマを見るようで面白いし、2人の子を持つ親としての、「今の平和を子どもたちに受け渡すためにも、日本という国が現状のまま進んでいってもいいのかと何度も疑問に思ってきた。」という言葉に嘘はないだろう。
著者が大切にしているというガンジーの言葉を知れただけでも、読んでよかったと思った。
《あなたがすることのほとんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。そうしたことをするのは、世界を変えるためではなく、世界によって自分が変えられないようにするためである。》
これが、彼女の執拗な質問の応酬のモチベだ。
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このノンフィクションを原案とする同名の映画を観た後、
実は自宅に本が既にあったことを知って読んでみた。
東京新聞の記者さんの自叙伝であり、
新聞記者という職業にまつわる様々な話、そして、
現代日本に渦巻く問題について、etc.
滅茶苦茶マルチタスク。
視野が広く頭の切り替えが早く、行動力があって、
協調性も高くなければ務まらない職種なのだな……と感心。
ここからはパンフレットを登録できず、
鑑賞後に感想を書けなかった映画について少々。
女性新聞記者の熱意と奮闘をクローズアップした
フィクションで、
制作サイドが「世界観」を共有するために、
望月衣塑子『新聞記者』を読み込んだ、ということなのかな、と。
映画のストーリーと雰囲気は、
テレビでよく見る二時間ものの刑事ドラマから
刑事を差し引いたかのような趣だった、
変な言い方だけれど。
したがって、途中、
「警部殿、そろそろ出番ですーーー!!!」
と叫んでしまったのだった(笑)――心の中でね。
ともかく、マスメディアは「公人」に対しては
一切の忖度なしで
今、何が起きていて、どこが悪いのか、
事実を正確に伝えてほしいと思った。
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菅官房長官と記者会見で激しい攻防を繰り広げている記者。
望月さんには、そんな印象を抱いていました。
本書読むと、「熱い人」だと分かります。
本書では、生い立ちから新聞記者を志した理由、駆け出し時代や印象に残った事件、家族や新聞記者という職業に対する思いなどが平易な文章で綴られています。
熱い思いが先に立ち過ぎて、それが逆にマイナスに響かないか少し心配してしまいますが、内容はいちいち共感できます。
本書が「原案」となった映画「新聞記者」も劇場で見ました。
映画の本筋に関わる部分で納得できない点があった(ああいう荒唐無稽な設定ではなく、あそこはリアリティのある設定で良かったのでは?)のと、劇場内の冷房が効き過ぎていたのが不満でしたが、それ以外は楽しく見ることができました。
映画でなく、ドキュメンタリーで見たかったかな。
本書では、望月さんが千葉支局時代に、刑事部の鑑識を務めていたベテラン捜査員の言葉が紹介されており、それが最も胸に残りました。
「頭がいいとか、どこの社とかじゃない。自分が新聞記者に情報を話すかどうかは、事の本質に関して、その記者がどれだけの情熱を持って本気で考えているかどうかだ。」
日本のジャーナリズムが関わる問題点を知る上でも好著ではないでしょうか。
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「武器輸出と日本企業」がとても衝撃的だったので手に取ったが、少し期待外れだった。そもそもこちらは自叙伝要素が強いので比べるものではないのかもしれないけど。
ただ、著者のジャーナリストとしての姿勢はとても尊敬するし、これからも注目したい。
あと、映画とは別物だと感じた。すごく意義のある映画だと思うけれど、本当の記者はあんなにあまい取材はしないのでは。
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読んだ理由:
映画「新聞記者」を観て原作を読みたくなった。
映画にもあったけど、厳密には「原案」。
よかった点:
著者の新聞記者としての姿勢が伝わる熱い本だった。
新聞があるべき姿について、著者の考えが明確に書かれている。
自分も、どういう視点で新聞を評価すればよいか、新聞からどんなことを読み取ればよいかを改めて考えることができた。
いまいちな点:
著者自身も書いていたが、少し猪突猛進的な印象。
著者の中で善悪がはっきりしているので、政権側の言い分みたいなものは見えない。
そこを知った上で、自分で判断したいと思った。
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熱い想いをもつ記者さんなのだなと思った。
でも、新聞に求めるものは、私はスクープではない。じっくりじっくりいろいろな人の話を聞いて、様々な視点で見つめて、その記事を書くひとりの人の立ち位置がわかるもの。だからこそ、望月さんが、結婚され、お子さんを育てながら記者を続けるところのほうに惹かれた。
どうして、日本は、質問したり批判的なことを言うことに躊躇するのだろう。メディアの役割は何なのだろう。メディアに関わっている人は、何のためにその職業に就いたのだろう。(すごい倍率をくぐり抜けたはずなのに)。世の中に中立なんて存在しない。それぞれが、それぞれの立ち位置や価値観を持って出来事に向き合っているのだ。そのことさえわかっていれば、「中立」にこだわることの無意味さに気づけるはずなのに。なんてkとをぐるぐる考える今日このごろ。
某トリエンナーレの企画展が断念されたニュースを見て、本当に驚く。そんな時にたまたま読んだこの本にいろいろ考えさせられた。望月さんだけを応援してはいけない。彼女のような記者が「当たり前」になることを願い続けなけれないけないと感じた。
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新書で映画化されてるというのはどんな感じなのかなと気になって読んでみた。本読まなければ偏向報道で良くない印象しか持たなかったかもしれないなと思った。この本繋がりで詩織さんや清水潔さんの本にも興味が湧いた。
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ことさら正義感を振りかざす記者は個人的には好きではないが、仕事に対する強い使命感は感じた。
知名度を上げ、単なる一記者より大きな影響力を持った彼女が、今後何を発信していくのかに注目したい。
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2年前の刊行であるが、封切りされた映画の原案ということで、一躍ベストセラーに。
著者のジャーナリストとしての歩みと、記者としての思いを綴っている。
著者の「メディアの萎縮が言われて久しい」との指摘は、門外漢にとっても頷ける問題と思える。
太田愛が小説『天上の葦』で、「ひとつの国が危険な方向に舵を切る時、その兆しが最も端的に現れるのが報道です。報道が口を噤み始めた時はもう危ないのです」と、作中人物に言わせている。
本書の著者も、共通する思いだろう。
今後とも、時の政権に媚びず、ジャーナリストの本来の精神を貫いて、報道に与することを期待しよう。
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管官房長官にくってかかる東京新聞の記者の本ということで読んでみた。記者クラブ制の弊害を内側から暴露しているところが良かった。。楽に取材しようとするからこのようなことになるのだと納得。
主張には共感するがジャーナリスティックな書き方はいただけない。(新聞記者が書いた本にはいつも同じコメントをしている気がする)
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とても面白かった。何度も心震え、涙が出た。特に詩織さんの話が……。フェミニズムに関心がある者として、許せないと感じた。信じたくはないが、日本は今あまり良くない状況にあると思う。いつの世も言われることかもしれないけど、望月さんのタフで強い気持ち、権力が隠すものを暴くという精神を、記者でない国民たちも持たなくてはいけないと思った。