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文部官僚の矜持が読み取られ、寺川、前川両氏の個性を表している面白い本だった。大学を卒業して40年以上で文部行政に全く関心がなかったが、文部行政とは創造性のある魅力ある仕事であることをおくらばせながら認識した。
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【読了】
「志をもった役人」
ぼくは誤解をしていた面がある。「官僚なんて」とか何も知らずに批判をしていた。
文部科学省がこれほど、教育のため、日本のために事を思っていたなんて知りませんでした。情熱をもって仕事をしている。
対談者のお二方がすでに退官されていることは残念でならないが、志をもった方が後を継いでくれるはず。
こういう思いをもった方が文科省にいるのなら、ぼくは子どもたちに一番近い場所で、精一杯働ける。
本書の付録に、前川さんが退官時に文科省の方々に当てられたメールにすべてが凝縮されている。
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加計学園問題を告発した前川喜平さん、ミスターゆとり教育と呼ばれた寺脇研さん、文科省の良心というべき二人による教育行政の批判と提言。
前読したのが外部からの教育批判でしたが、これは内からであっても幅広く社会を見通しているところに、二人の優秀さとこの10年の政治の劣化を感じます。
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教育にお金をかけてはいけない。いや、教育にはお金をかけなければいけない。個が教育に対するお金の心配をしなくていいように、公が教育にお金をかけなければいけない。我が家の長男は浪人生。これからセンター入試を迎えるが、ほぼ、合格をした私立大学に進学するつもりをしている。私立理系、しかも自宅外からの通学。もっともお金がかかるパターン。(医歯薬ほどではないが。)これで、住宅ローンの繰り上げ返済はなくなったなあ・・・。返済不要の奨学金はあるのだろうか。申請すれば授業料免除はされるのだろうか。などなどと考えてしまう。高2の娘は公立高校で授業料は無償と思っていたが、それは何かのかん違い?本書を読んでそのからくりが分かった。民主党から自民党に政権が変わる際、高校の授業料免除には所得制限が加わった。息子のときは確か免除されていた。ところが娘のときは却下された。収入が一定額を越えてしまったらしい。本書によると、免除されないのは2割程度。我が家は高所得世帯か? 2人で一生懸命働いて、つつましい生活を送っているというのに・・・。などと、つらつら考え込んでしまう。本書は元文部官僚の2人による対談である。この2人に対する批判はかなりあるようだが、私は本書を読んで素直に、すごい人たちだと思った。信頼に値する。そして、その先輩たちにも、素晴らしい人たちがいる。そして、この文科省の仕事、何ともやりがいがありそうだ。官僚という仕事について今まで何も知らなかったと言えそうだ。最終章、寺脇さんの体験談を引用しよう。電車の中で読んでいて、私は、ちょっと涙が出そうになった。一般的にはたぶん、感動的というようなエピソードではないのだろうが。東北の大学1年生に講義をされていたときの話。「衰退した地方の町を救うにはコミュニティデザインの力が一番だと熱く語った授業の直後、『すばらしい指針をもらいました。学びの目標が定まりました』とのメッセージをもらい、その先を読むと『実は体調を崩して今日は休んでいました』とある。『授業を受けた友達が、すぐに私のアパートまで走ってきてくれて「いま、こんな話を聞いたんだ!」と熱弁してくれたんです』。これを読んで、学んだことをすぐに休んでいる友達に伝えようとする学生、それを受け止める学生の、ともに学ぶ熱意に打たれた。」そして、こう結ばれている。「こういう若者たちがいる限り、かれらに学びの自由を与えていくこと、学びを阻害する社会的・経済的要因を取り除いていくことをやらなくてはいけないと、改めて強く思う。」
前川さんからサインを頂いた!
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なるほど、これは公務員志望の方や現職若手の方が読むと鼓舞される類の一冊なのだろうな。教育って、を考えるにいいサラッと新書。
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この本を読んで意外だったのは、文部科学省にも真剣に教育のことを考えている人がいたという事実だ。学校に勤める職員のほとんどは、文部科学省をこころよく思っていない、というよりむしろ、教育の敵くらいに考えている。文部科学省とは、権力者や経済なんとかという金の亡者が、生徒のためでも教員のためでもなく、単に己の利益のために思いついた作戦を、適当な美辞麗句で包んで一方的に現場に強制し、当然のごとく失敗しても、責任はすべて現場に押し付ける組織だと思っている。実際その通りであることは、英語の授業におけるオーラルコミュニケーションとやらの失敗や、最近では加計学園事件で証明されているが、この本を読んで、文部科学省にも誠実に教育のことを考えている人がいた、或いはいることがわかり、少しだけこの組織を見直した。
八重山地区の教科書問題に一定の解決をもたらすため、また、義務教育国庫負担を守るための前川氏の苦悩、手腕、尽力には頭が下がる思いだった。長いものに易々と巻かれていくのでなく、正論を通すための工夫、努力。頭脳とはこのように使われるための器官であると、あらためて思った。
また、寺脇氏はゆとり教育の「元凶」などと呼ばれているが、醜い損得勘定とは最も遠いところで、真剣に誠実に教育を考えている人であることがよくわかった。そもそも、俗に言う「ゆとり教育」は、児童・生徒の学力を特に低下させたわけではないことは、「「ゆとり批判」はどうつくられたのか」(佐藤博志・岡本智周)で、落ち着いて、詳細に語られている。
その他、詳しくは本書を読んでほしいが、この二人の著者のように、教育に対する自分の責任を誠実に全うしようとする人は結局外されていく実状に絶望する一方で、文部科学省にも、教育とは無縁の輩の手先では必ずしもない人間がいることに一筋の希望が見出だせる、そんな本だった。教育とは学ぶ者のために行われるはずのものである、そんな当たり前のことを再認識させてくれる。教育関係者はもちろん、教育に関心がある人には一読を勧める。
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http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480071064/
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前川喜平さんと寺脇研さんの対談。
加計問題の真実、なにが問題なのか。
市場主義と合わない教育。
こういう私から見たらまっとうな考え方をする人達がいるんだと少し嬉しくなった。(もう退官されていて残念だけれど)
また、ちょうど悩んでいた公務員の役目についても、法律を現実に即して柔軟に解釈すること、とあり、その通り! と思った。頭でっかりでは何も進まないし、時間がかかる。
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この二人のような文部官僚の存在は,今の財務官僚のいい加減さを見ると,同じエリート国家公務員でもここまで違ってくるのかなと驚いている.寺脇さんが広島県の教育長を務めたことは地元でもよく知られており,異色の存在であったことは確かなようだ.これまでやってきたことを変えることは,ものすごいエネルギーが必要であるので,そのような活動をする人材は貴重だと思っている.官僚が政治家とうまいバランスをとって動くことが肝要で,忖度などという馬鹿げた行動は慎んでほしいものだ.
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やや自画自賛に見える部分はありますが、お二人ともが、日本の教育の将来に対して、自らが持つ力を捧げて仕事をしてきた人であることがよくわかります。
強いものになびき、時の強者の意に沿う行動だけを競うレースに、なんとか参加せずに生きていきたいと思わざるを得ません。
「ゆとり」か、「それ以外」か。
「改革」か、「抵抗勢力」か。
なんでも単純化して、なんでも標的を作っては一人の強者の周りを多数で固めて「黙れ黙れ」をするのは、残念ながら日本のお家芸なのかもしれません。
実態のない「おもてなし」より、
「黙れ黙れ」の方が、ずっと日本を象徴しています。
自分が世を去る100年先、ではなく、
「20年先」の未来を考えることが、教育を受けさせる側にも、学ぶ側にも必要です。
学びながら、自分の学んだことを周りに伝えていく、広げていく世の中になれば、と願わずにはいられません。
前川さんにかぎらず、官僚の競争の只中からはじき出された方の本を、一時期よりたくさん手にとることができます。
読むと、どうしても今の日本が正しい方向に進んでいないような不安が確信に変わってしまう感じがします。
杞憂でなければ、よいのですが。
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前川喜平と寺脇研の対談。
前川喜平は、文部科学省の天下り問題で責任をとって事務次官を辞任、その後、加計学園問題で、文書があったと証言した人。
対談相手の寺脇研も文部省で「ゆとり教育」を推進した人。
お互いのやってきたことを話し合うような感じ。
どのように組織の中で自らの信念を貫いたかというようなストーリーが多く、武勇伝というか、結果、自分たちをほめたたえている。
流石、官僚組織で出世するような人たちだから、ぎらぎらして、口もうまいんだなーという印象も受けた。
どこまで組織の中で、話しているような反骨精神で推し進めていたのか、当の本人たちが語ってしまっているので、客観的にはわからないが、この語られていることが本当であれば、なかなか大した方たちなのだと思う。
何々省の管轄が何で、本来どうするべき、など、縦割りの管轄の中の組織の上下関係ヒエラルキーが絡み合っている世界。政治家の圧力に屈したりすることも、赤裸々に書いてあるが、正直あまり興味がない分野なので、へーやっぱりそういう世界なのかという平坦な感想しかいだけない。
このお二方がすごいのかどうかはおいておいて、日本の教育として、教育を管理している政治家や官僚たちが硬直化していること。その中で志を持ち改革していこうという気持ちの大切さはよく分かった。
また、さすが、教育の専門家なので、教育制度に関数トピックは、面白かった。
・農業高校を活性化
・高校無償化の問題点
・朝鮮学校の無償化
・八重山地区の教科書問題
・LGBTへの対応
などなど
あとは、新自由主義や、規制緩和などの考え方が営利目的ではない、教育という現場においては、必ずしも正しくないというのは良く分かった。
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「個あってこそ公」
官邸がやりたいことを官僚に有無をいわせず実行されるのではく、まっとうな官僚のやりたいことをまっとうな官邸がサポートする。これが官邸指導ではないだろうか?
政府全体の長期的な視点から広く教育問題を議論した臨時教育審議会、今も続く教育改革の目標の原点
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教育に信念と志があるのは分った。◆公務員の匿名性と、薬害エイズの様に責任も伴うことも。◆◆ただ、文科省の責任回避的なところについては、引いてしまう。