紙の本
1987年からUWFの崩壊とその後の前田日明
2019/08/20 09:58
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投稿者:もちお - この投稿者のレビュー一覧を見る
「1984年のUWF」は従来の前田を中心とするUWFの歴史に対し、佐山こそがUWFなのだと示した意欲的な作品であり、ちょっとしたブームにもなった。
その反面、当時の関係者の各種証言と週プロやゴングでの当時の記事から佐山史観を作り上げていく過程で前田本人には直接インタビューをしていなかったり、事実関係の前後左右の錯誤がたくさんあったりと当事者としてみたら反論したい気持ちはよく分かる。
UWFの中心にしてアイコンの前田日明が第2次UWFからその終焉までを前田の視点から述べる本書。上下の分冊で1987年の格闘王誕生から第2次UWF解散とその後の前田が下巻。同じ事象でそれぞれの当事者が事実の認識が異なることが多くて面白い。
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前田日明が「1984年のUWF」に反論するという本書、上下巻。
なぜ、こんなことになっているかというと前田日明にインタビュー取材していないから、なのでしょうね。それは何故かというと、佐山聡を主軸に置いた構成にしたかったからなんでしょう。佐山を主軸にしたい、というのは本書の中で引用されてました。それが念頭にあって、構成していくうちに単純な二極構造になってしまったんじゃないかなぁ。本書での佐山と前田の評価は。
その結果、いろんなところで批評されて、本書のような形で反論もされることになってしまったと。
最後に前田日明の言葉として「過去の遺恨を許していかなければならないと思い始めている」という趣旨の言葉があります。それができて初めて、「~年のUWF」が出来上がるんじゃないでしょうか。どんな形で世の中に出るにしろね。
こういってしまっては、「1984年のUWF」にどっぷりつかった自分に都合よい感じもするけども、前田日明にそういう決意をさせる一端になったのであれば、いい本であったのかもしれません。
やっぱり、いろんな角度から一つの出来事を見るのって大事だな、と思いましたね。
I氏のように、自分自身が資料になりうるようなものをもていないだけに。
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「選ばれし者の恍惚と不安、二つ我にあり」(1988年5月12日、新生UWF旗揚げ戦、後楽園ホール)
新日本プロレスを追われるように去った前田日明が再興した新生UWFは、瞬く間に日本中の若者たちを熱狂させる一大ブームとなる。前田は時代の寵児となった。
東京ドームに6万人を集め、選手の陣容も整い、WOWOWの独占中継も決まった。
いよいよこれからという時に、空中分解してしまう。
「オレはUWFというものに対して一生分の純心を尽くしましたよ」
前田自身、当時の事は振り返りたくても出来なかったという。
裏切っていった人間たちが詫びてきても許せなかったとも語る。
「いつまでも怨みを引きずって生きていたら、あのころの純粋に人間を信じて生きてきた、正しかった自分に対して恥ずかしいような気がするんです」
過去と向き合い、恩讐を乗り越え、新たな地平に進み出した格闘王。
俺たちの日明兄さんは、誠実に、人間臭く、今日も成長し続ける。