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命令する側が状況が刻一刻と変わっていっても漫然と同じ命令をし続ける。命令される側は受け入れるのみである。しかし、精神論だけでは受け入れ難く合理的でない命令であるとき、己の技術を駆使して最適化を図った。こういう話は当事者からでないと聞き出せない。貴重なお話を知りました。
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職場の図書館で借りた本。
「9回特攻に出撃して、9回帰ってきた人がいた。」前書きのこの部分を読んだとき、正直意味が分からなかった。自分の知っていた特攻兵というのは、ガソリンは片道だけで、爆弾を抱えたまま敵艦隊に突っ込む。という昔何かで読んだような知識しかなかったから。読み進めるうちに、自分の少ない知識の「特攻兵」というものは作られたもので、現実は全く違っていたことを知り、悲しかった。悔しかった。
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結局「命令した側」は自分の身が可愛さで平気で嘘をつく。偽善の涙を流す。相変わらず精神論で強行しようとする
日本はこれっぽちも変わっていない。
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素晴らしく良い本に出会えました。命令する人、命令される人、命令を見ている人を考えさせてくれる本でした。日本の社会、世間、所与を教えてくれる本でした。おすすめしたい本です。
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出版されて気にはなっていながら手には取っていなかった本だったのですが、日大アメフト部のタックル問題の際、選手側のコメントとして「指導者の言うことを妄信し、深く考えることなく実行してしまった」というコメントを聞いて「これって、戦争中の特攻を命じた上官と搭乗員の関係と似ているんじゃないか」と思い、読んでみました。
著者がインタビューした搭乗員の方は特攻で1度だけ敵にダメージを与えるよりも、生還して何度も出撃し、爆弾を敵に命中させる方が理にかなっていると考え、それを行動に移します。既に内地へは著者が戦死したと報告を入れてしまっていた上官は「(お前は死んでいることになっているのだから)次こそは必ず死んで来い。必ず体当たりをして来い。」と命じます。アメフト問題で監督・コーチが試合前に選手に言った「(相手QBへのルール違反であるタックルを)必ずやらなければ意味ないよ」との発言と構図が非常に似ていると感じます。
国とか会社や学校など、いろんな規模の組織に属して生きていくことが求められる私たちにとって、命じる側、命じられる側どちらの立場にとっても考えさせられる内容の1冊でした。
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メインは9回特攻として出撃し、9回生還したパイロットの経緯を丁寧に追った内容。
客観的事実を比較的淡々と綴っているので、『永遠の0』ほど感情が強烈に揺さぶられることはない。
しかし、どこにも「ページ稼ぎがない」、つまり無駄な部分がない内容。特に下記のことを世に知らしめるという点で存在価値が大いにあると思い☆5つとした。
・そもそもはじめから特攻に勝算はなかった
・上層部は勝算がなくても保身のために部下殺しを続けた
・ほとんどの特攻は志願ではなく命令であった
・エリートの多くは特攻に選抜されなかった
・特攻したパイロットの多くは洗脳しやすい少年だった
・とはいえ、ほとんどの特攻パイロットは生きたくて生きたくて仕方がなかった
・勝算がないことを訴えたエリートパイロットもいた
・世論は反戦を主張する人を排除した
・その世論に受けるために朝日新聞など各大手新聞は戦争継続を煽った
(「お国のために笑顔で出撃」といった文調)
・この本の主役のように特攻に出ても信念と極めて高い実力さえあれば戻ってきても大きな処罰はされなかった(何度でも行かされるけど)
ただ、物足りないまたは残念だったのは、9回生還した主人公の「生きて帰ることを決意した経緯」「生還後の周りの様子」などを生々しい言葉でもっと聞きたかった(この部分は本人が語りたがらなかった。そして取材の途中で亡くなったので仕方がないか……)。
また、軍の最上層部は東大出ばかりのキレキレ集団なのに、なぜ論理的でなく精神論だけを振りかざすのかが分からなかった。
そして深く考えずに失敗を繰り返すのに責任を取らない多くの最上層部の態度も理解できない。「マナーがいい日本人」「ワールドカップでゴミを拾う日本人」と言われているのになぜなのだろう。十人中十人ではないにしても、せめて七人はまともであってほしい。まぁ、現在の官僚や政治家問題と似たようなものか。だったら頭がいいって何だろう?
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特攻に行った人の実際が非常に読みやすい文章で書かれている。戦争は人の判断を狂わせるのだ、ということが改めてわかった。
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本書は佐々木友次さんという特攻隊に所属し、9回出撃し9回生還された実話である。
本書はインタビューを通して彼の行動を詳細に書き留めるとともに、彼を通して軍部の上層部(命令する側)と現場(命令される側)という立場の違いを浮き彫りにし、なぜこのような無謀な命令が繰り返されたのかを考察している。
本書がすごいのは、特攻隊という切り口から、現代にも通じる日本人と国民性をあぶり出しているところである。
ここで著者は「世間」と「社会」の違いを指摘する。日本人は長く「世間」の中で生きてきたため、どんな命令も「巡り巡ればあなた自身のため」になるという信頼があるため、命令に従ってしまう。欧米人はにっこりと微笑みながら気楽に断ることができるのに、日本人が「ノー」と言えないのも国民性によるものである。
現代でも温暖化による猛暑が毎年続いているにも関わらず、甲子園は真夏に試合を続けている。これに反対意見を出すと、決まって「命令した側(高野連などの主催者側)」であり、「命令された側(高校球児)」はそれに従うしかないのです。
さらにもう一つ「命令を見ていた側」も存在する。どんな社会的な運動でも、「当事者」になれなかった、またはなれなかった「傍観者」の方が饒舌になる。当事者は思い入れがあり過ぎて、自分の体験が整理できなくて沈黙しがちになります。真実は「命令を見ていた側(傍観者)」ではなく「命令をされた側(当事者)」の言葉の中にある。戦争を体験された当事者が亡くなられていく中で少しでも多くの言葉を残していきたい。
21歳の若者が、絶対的な権力を持つ年上の上官の命令に背いて生き延びることを選んだ。それがどんなに凄いことか。
僕が21歳の時にそんなことは絶対にできなかっただろう。間違いなく挫けて、諦めて、絶望していただろう。佐々木さんのような日本人がいたことを、多くの人に知ってほしい。
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73回目の終戦記念日の夜から一気読み。友人から猛烈に推薦されて。前々から存在感放っていた新書だったけど、作者イメージとテーマに違和感あっての放置本でした。友人曰く、電通事件も日大タックル事件もこの時代から変わっていないじゃないか!ということでのオススメでしたが、確かに「命令した側」「命令を受けた側」の間の曖昧さをはっきりさせ、さらに「命令を見ていた側」の饒舌に巻き込まれずに「個」から考え続けることの難しさを痛感しました。佐々木さんの場合は「空を飛ぶことが好き」という極めて内面的な悦びがその「個」の強さにあることを作者はギリギリ間に合ったインタビューから掴みます。「敗戦」という現実を「終戦」というイメージで語り続ける我が国の8・15。今まさに盛り上がっている100回目の夏の甲子園大会へ人々が仮託するものも実は同根なのでは?と思いながら読み進めたら、案の定、作者も 終章で触れていました。夏→終戦記念日→特攻→甲子園大会、誰が意識した訳でもないのに忖度日本の仕組はそこから生まれていたりして…特攻記事で部数を上げた朝日新聞が甲子園大会の主催であることも何か因縁を感じます。いいタイミングで必読の本、読みました。
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毎年終戦の日に合わせて、太平洋戦争に関する本を読もうと数年前から決めてはいるのですが、7月ころから忙しくなることが最近多くなり、これはという本を読めずにいました。
今年は7月末に2年ぶりの米国出張があり、その移動時間・飛行機乗り継ぎの待ち時間を利用して、この本を読むことができました。内容は特攻隊員の話です、今まで何冊か特攻隊による本を読んできた記憶がありましたが、若い兵隊さんがお国のために喜んで志願し、立派に散っていった、という論調で書かれています。私が当事者であれば、とてもできない、素晴らしいというか尊敬の気持ちで読んでいたのを記憶しています。
とは言え、本当に命が惜しくなかったのだろうか。最愛の妻、子供、親を残して旅立つことに躊躇いは無かったのか、と心にかかっていたのも事実でした。
この度、戦争学者ではない一般人(この本の著者がそう言っております)による、特攻隊員の立場から見た特攻隊の真実(と私は思いました)が書かれています。戦後、歴史学会を引っ張ってきた人達もそろそろ引退(多くの意味で)し、その人達よりも若いであろう、実際の経験者(生き延びた方)の貴重なインタビューをもとに書かれた本です。
この本の主人公である不死身の特攻隊員の方も、インタビュー終了後、この本が発刊されるまでにお亡くなりになっています。まさに絶好のタイミングで書かれた本のように思います。戦後多くの生き残りの方が存命の頃には、けして表に出ることが無かった事実がこの本には書かれています。彼らの本音に触れることもできて、私としては嬉しかったです。
ただ、この本でも強調されているように、「命令されて実行した人」達には、落ち度はありませんが、「命令した人・組織」には、効果が無い(あるいは無くなってきた)事実を知りながらも、中止することができなかった、更には有効な方法を取ろうとしなかった指導者・参謀達は反省してもらう必要があると強く感じました。この考え方は、今の日本政府・官僚にもそのまま受け継がれているように思いますので。
この本によって多くのことを考えさせてもらう機会を与えられ、今まで読んできた戦争モノの本で一番印象に残るものとなりました。
以下は気になったポイントです
・三航研は、理論的に都合が悪くなると「崇高な精神力は、科学を超越して奇跡をあらわす」と技術研究所なのに精神論で体当たりを主張した(p35)
・体当たり攻撃に用意された飛行機は、爆弾が機体に縛り付けられていて、操縦者が卑怯未練な気持ちになっても、爆弾を落とせず、体当たりするしかないように改装した(p45)
・陸戦のイメージから勇敢な司令官は最前線にいるべきだと思っていたが、航空戦では司令官は情報が集中する場所にいるべきであった(p65)
・第一回の攻撃には、万孕隊(ばんだたい)は、4機の飛行機に対して、援護戦闘機の隼が20機ついた、陸軍の誇る戦闘機は隼、海軍は零戦であった(p81)
・軍隊用語では一人称を「自分」と言わなければならなった、佐々木はそれを「私」」といった、それは彼の始まりが軍隊ではなく、通信省航空局であったから(p109)
・アメリカの特攻機対策として、戦闘機による三次態勢が取られていた、一波が約100機で時間差で三回、それをかいくぐった特攻機だけがアメリカ艦船に近づけた(p112)
・海軍特攻戦死者は、2525名、うち予科練出身者は1727名、エリートである海軍兵学校出身者は110名、大学での予備学生出身である予備士官と特務士官は、688名(特務士官は20名、ほとんどは予備士官)、陸軍は1388名、主力は大学出の特操と1943年以前入隊の少年兵(下士官)であった(p223)
・エリートである士官達は、技術論として特攻に反対する人が多かった、祖国を愛する熱烈な天皇崇拝者であったが、それと作戦として「無意味な」特攻をすることは別であった(p225)
・特攻の成果として明確なのは、正規空母・戦艦・巡洋艦の撃沈はないこと、護衛空母は三隻撃沈しているが、護衛空母は脆い、駆逐艦は13隻(p241)
・日露戦争以後、新聞社は戦争が商売になることを知って、軍部に協力していく、最後まで日露戦争に反対していた平民新聞は、発禁が続いて最後には廃刊となった(p256)
・ダメな人ほど「心構え」しか語らない、心構え・気迫・やる気は大切であるが、それしか語れなのはリーダーとして中身が無い、本当に優れたリーダーは、リアリズムを語る。現状分析、今必要な技術、敵の状態、対応策、これらを具体的に語る(p262)
2018年8月12日作成
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不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか
鴻上尚史
2018年8月12日読了。
1944年11月の第一回特攻作戦から、9回の出撃。
陸軍参謀に「必ず死んでこい」と言われながら、命令に背き生還を果たした特攻兵がいた。
その人物の名前は、佐々木友次(ともじ)
この本を手にするまで全く知らなかった。
特攻作戦についての漠然とした知識しかないし、そのほとんどが美談として語られる中で改めて戦争の、特攻隊という歴史に触れることが出来て考えさせられる一冊になった。
本書は、「陸軍特別攻撃隊」高木俊朗 文藝春秋を元にしつつ、実際の佐々木友次さんのインタビューした内容を元に書かれてる。
著者曰く、準拠した「陸軍特別攻撃隊」の本には陸軍のもう一つの特攻隊「富嶽隊」や、最低最悪の司令官の詳しい行動など様々なことが書かれていると。こちらも興味ありますね。
佐々木伍長の9回の出撃には実際には飛行不備や、敵機が見つからず戻ってきたものも含まれている。
でも敵の揚陸船と大型船と二回敵船に攻撃している。そして大型船については撃沈までしていると。
色々な戦争の本がある中で、この本は「命令された側」の本である。世間一般にイメージされる神風特攻隊や華々しい戦績はやはり日本軍の「命令した側」からの視点でそこには大きな隔たりがあるとおもう。その辺についても本書で触れられているけども、やはり何が正しいのか、真実はなんだったのか。は発言する側の視点によって大分異なるというのを改めて感じたし、歴史に触れる上ではその「視点」を考えて触れないと、思わぬ偏見に陥ってしまうなと思った。
第二次世界大戦でのフィリピンにおける陸軍特別攻撃隊の一歴史に触れることの出来る貴重な一冊。良書。
戦争に関しては遠い昔の話のようではあるけれども、どんな教訓があるのか、日本人として定期的にこうした内容に触れる事が必要なんじゃないかなあとおもう。
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まさに本日は73回目の終戦記念日。著者が言うように『貴重な肉声が失われていることではありますが、同時に、冷静に「特攻」を考えられる時期が来たということです。』納得。
合計9回の出撃命令を受けながら本人の生きて帰って来ると言う強い意志と運で生き抜いた『神風攻撃突撃隊』佐々木友次氏。
彼の証言を元にした特攻隊の現実と心境を淡々と冷静ち記した良書。
喜び勇んで特攻に行く奴なんていない、特攻前夜は魂を奪われた状態、想像を絶する精神状態であると。
佐々木友次氏の上官岩本益臣隊長のくだりは涙が止まらない。彼は超一流のパイロットであるからこそ、敵母艦にミサイルを命中させて帰ってくる自信があったのだ。その彼を特攻の一番手に(実際の一番手は関行男大尉)する事で以降の特攻に勢いをつけようとする軍の判断の非道さ。もうこの時点での軍は既に崩壊していたんだが…そして最終的に命令を受け入れざる終えない岩本隊長の悲劇。
優秀な人々が次々と命令によって死なされて行く地獄絵図。
黙祷。
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命を犠牲にして勝つことに何の意味があるのか。大和魂とは何なのか。目的や結果ではなく行動自体が目的になってしまうこと、結果が全てで手段や犠牲や過程や道理は問わないことは違うようで共通していることが一つあると思う。それはどちらも冷静な思考が欠けていること。日本の現在にも通じる組織論についていろいろと考えさせられる一冊でした。
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特攻という無謀な戦法を成り立たせたのは日本の「同調圧力の強さ」と「自尊心の低さ」であり、鴻上氏はこれを日本の宿痾と呼ぶ。
「忖度して○○する」に残る特攻の精神 鴻上尚史さん:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASL8J54C9L8JUPQJ006.html
帰国子女の娘がクラスで浮いた存在に… 鴻上尚史が答えた戦略とは? https://dot.asahi.com/dot/2018081000019.html
先の戦争を振り返るというよりも、現在まで通じる「宿痾」として(むしろ「呪い」という言葉すら連想される)、特攻とは何だったのかを考えるために読みたい。
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9回出撃命令が出て、9回生還した「不死身」の特攻兵・佐々木友次さん。
佐々木さんを支えたものは、生来の負けん気、日露戦争から生還した父親の言葉など、精神的な強さや拠り所だけでなく、パイロットとしての技能の高さはもちろん、爆弾を機体から外して投下できるよう、軍の命令に背いて改造をお願いした、岩本隊長の存在が大きいと思う。
この本は、特攻を「命令した側」「命令された側」それぞれの視点から書かれていることと、特攻に向き合ったひとたちの証言から書かれていて、新しい発見が多かった。
特攻のリアル、佐々木さんへのインタビューが綴られた後、日本人を「世間」「集団我」から分析したり、南スーダンへの自衛隊派遣と「命令する側」が関連づけられていたりと、最後の章も興味深かった。
全体を通して大満足の一冊だが、著者の一部文章表現(接続詞に「なので」を使用するところ)が妙に気になってしまい、☆4つ。