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真面目で厳しい組織が出来たような気がしていたら、忖度集団だった。
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原子力規制委員会ができたとき、なにか新しいことが起きたような気がした。
気がした、だけだった。
本書のサブタイトルが物語っているように、この組織は独立・中立ではない。もともとスタート時から欠格事項を無視したかのような人事があったが、さらに原子力ムラの「ドン」ともいえる人物が加わる。
同時期に生まれた原子力規制庁のトップは警察官僚が起用されている。中立であるということと、原発についての知識がないということは同義ではない。というよりも、常にトップクラスに警察出身者が存在する、これ自体は反原発運動の情報取得のためという疑いが強い。
ムラがどうしたとか、警察がどうした、というのは市民の妄想だ、という人もいるかもしれないが、では、この組織が使命に応えているかどうか。これに対しても本書は手厳しい。
新規制基準は出来たが、地域住民の避難計画はその対象ではない。「専門科学的・技術的判断」という言葉で自らを正当化しつつ、政権中枢の意向に寄り添い具現化するのが、原子力規制委員会であり、原子力規制庁だ、と断言している。
現在の、内閣の統轄からはずし、内閣の所轄の下で、人事院や会計検査院のような独立性を持たせること、行政機構内で考えるのではなく、三権分立下で考えること、といった提言もされている。
本当に世界一厳しい基準で、それをベースにして意思決定をするのであれば、それでもいいよね。なんでそうせんのやろ? 喉元過ぎて熱さを忘れた我々よ、こういうことには怒ろうぜ。