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第1回 ブッダの生涯―『スッタニパータ』(1)
第2回 ブッダのことば―『スッタニパータ』(2)
第3回 悪魔の誘惑―『サンユッタ・ニカーヤ』(1)
第4回 生きる心がまえ―『サンユッタ・ニカーヤ』(2)
第5回 ブッダ最後の旅―『大パリニッバーナ経』
著者:中村元(1912-1999、松江市、インド哲学)
監修:前田專學(1931-、名古屋市、インド哲学)
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改めて仏教を学んでみようと思い手に取ったシリーズ。日本の仏教ではあまり触れられることのない原始仏教と言える「スッタニパータ」「サンユッタ・ニカーヤ」「マハーパリニッバーナ経」についての中村元の解説。ラジオでの講義をベースにしたものなので本当にエッセンスに限ったものなのだと思う。
ブッダの説いた直接の言葉に近いであろうものは、般若心経などで感じられるような哲学的なものというよりも現実の世界を生き抜くための知恵というか心構えに近いもののように感じる。足るを知る、とか全ての生きるものが幸福であれ、全ての生きとし生けるものに無料の慈しみの心をもて、と説くスッタニパータの教えは欲望を持たず、希望も知恵を得ようともしない、物の所有もしない、そういった人を聖者とする。そのような想いが、生きるものを妄執から、迷いの生存から解き放つ事ができる。
それはたしかに心の平安をもたらすだろう。しかしそれにこだわると人類の進歩は起こったのだろうか?サンユッタ・ニカーヤの悪魔の誘惑も、それを断ち切るために全ての欲望を捨てたとすれば世界の繁栄というのは起きたのだろうか。
仏教が見つめる個々人の内面と社会に与える影響といった視点で次の間も読み進めたい。
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ブッダの生涯について、わかりやすい言葉で概観した本。俺のような初心者が、教養として読むには適していた。
読み物としてはいいが、これを思索の友とするには物足りなさを感じるだろう。そのような目的の場合は、本書を入り口として、他書にあたるべき。本書はあくまで初心者向け。
ブッダの生涯もさることながら、巻末の解説を読んで、著者である中村元先生の生涯の方が気になってしまう。その生き方に、感銘を受けた。
「世界の諸文化圏における諸文化的伝統において平行な発展段階を通じて見られる共通の問題の設定」を『選集』の別巻で論じておられるらしく、どんな内容なのか興味をひかれた。