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格差社会と言われる日本には、新たに5つの階級構造があると筆者は言う。この階級は、格差容認や自己責任論によってなかなか解消はできない状態にある。筆者は最後に、格差縮小に向け3つの方法を述べている。1賃金格差縮小2所得再分配3所得格差を生む原因の解消
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今自分が置かれている状況、日本の状況が数字で書かれており、ある程度理解できた。今後の洗濯をする上で自分の立ち位置を少しは意識することができるようになったと思う。
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格差拡大を感じるものの、それは選択や努力の差の結果であり、自己責任として容認されてきた。が、労働者階級は正規と非正規に分離し、格差というより分断された階級社会といえる状況になってきている。
統計ベースゆえ女性を分離したデータがあまりないとのことですが、困った人を助けようという意識の高さは男性とは別次元。女性に力を持たせたなら、社会が変わると思いました。
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いろんな階級(と思われる)の人のアンケート分析が中心。アンケートの分析と考察はこう書け!という見本のようなものなので、読んでいてもあまり面白みがない。各種データ、グラフから読み取れることを書き連ねているので、「だからどうなの?」となってしまう。最後の処方箋的なものもいまひとつだった。
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世代間の格差とか地域格差をすっ飛ばして、収入の格差だけで「格差」を語れるのか、というとかなり難しかったようだ。
本書にある通り、現在の日本社会のデータを「著者の考え」を通して見れば、当然「(経済)格差」は問題だろうし、隠れたイデオロギー性というのも本書のように「発見」できるだろう。
だが、そもそも本書でデータを示して、目指すべきゴールとして主張する「平等な社会」が、現在の社会よりも本当に優れているのだろうか。
そもそも「平等な社会」とはなにか? という人によって考えにバラツキがある問題を、本書のように(マルクス主義的)「ステレオタイプな不平等感」で割り切って語られてしまうと、読む方は置いてきぼりを食らわされた気分になる。
男女の不公平感についてもほとんど経済の視点でのみ語られており、そこまで「収入」にこだわることもなかったような気もする。
だが考えると、こうした単純に白黒がつけられない問いに対して、あまり頭を使わずにステレオタイプ的な解答で済ませられない自分は「支配層に騙されている」人たちで、もしかしたら立派な「ネトウヨ」なのかも。
ちなみに自分も「高収入」とか「高い地位」にしがみついてた時期はあったが、あまりに「みじめ」で降りた。
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資本家階級:授業員規模が5人以上の経営者・役員・自営業者・家族従業者
旧中間階級:自営業者、自営農民、従業員規模が4人以下
新中間階級:労働者を管理・監督する。管理職、専門職、事務職(女性と非正規を除く)
労働者階級
アンダークラス
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データとしてはとても面白い。政治的な質問もたくさんしていて興味深いものも多い。
著者の政治思想を載せてるのはまあいいんだけど、貧困層は政治の考え方が間違ってる、みたいな論調になってるのはなんだかなーと言う感じがした。ある意味で著者自身が自己責任論を後押ししてるのではと思った。
あと、貧困層はこの本読まないでしょ。
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p6の図表0-1を見ると、卸売小売業と金融保険業を比較した産業別賃金格差は、75年を起点に上昇し、95年頃から、さらに上昇している。
生活保護率は、90年頃まで下がり続け、95年頃を底に上昇をし始める。
規模別賃金格差は、そう変化していない。
男女別賃金格差は、75年頃まで下がり、その後、大きな変化はない。
ジニ係数に関しては、当初所得では、80年頃から上昇し続けるが、再分配所得では、わずかに上昇傾向である。
自己責任論の強い追い風となっているのは、当初所得のジニ係数が上昇しているにも関わらず、再分配所得のジニ係数が、あまり上昇していないからではなかろうか?
ひとり親世帯の2015年の貧困率は、50.8%である。
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現代日本は、もはや「格差社会」などという生ぬるい言葉で形容すべきものではなく、明らかに「階級社会」であり、しかもその構造は、階級社会についての従来の理論等が想定してきたものとは異なる「新しい階級社会」であるという現実を、さまざまな社会調査データで示すことを意図した本。
SSM調査データや2016年首都圏調査データなどに基づく本書の分析自体は非常に興味深いものが多く、日本社会の格差が深刻な状況となっており、特に本書でいう「アンダークラス」にしわ寄せがかなりいっており、格差縮小のための取組が必要ということについては本書と認識を共有する。
しかし、本書には違和感を覚える部分がかなり多かったのも事実である。
まず、本書におけるそれぞれの階級区分の定義が恣意的であるように感じた。経営者・役員は無条件に「資本家階級」とされているが、雇われ経営者の場合、そもそもの生産手段を所有するという本来の資本家の定義からは外れるのではないかと思うし、男性の事務職は「新中間階級」なのに、女性の事務職は「労働者階級」というのも、あまり納得のいく区分けではなかった。
また、本書で区分された「階級」にある程度の傾向性があることは本書の指摘のとおりだと思うが、政党支持率などを見ても、それぞれの階級間で圧倒的な差がついているというよりは、あくまで相対的な傾向があるという程度であって、これで日本は明らかに「階級社会」といえるほどの、各「階級」における違いがあるのかな、という印象を持った。
そして何より、本書の記述には政治的バイアスがかかり過ぎているのではないか、と感じた。P235の「あたかも自民党支持者は、排外主義と軍備重視に凝り固まったカルト集団であるようにも思えてくる。」という記述など、「排外主義」の根拠とされた質問が「中国人・韓国人は日本を悪く言いすぎる」という程度のものであることや、データ上3~4割の自民党支持者が反排外主義傾向又は反軍備重視傾向であることからいっても、明らかに言い過ぎとしか思えなかった。
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アンダークラス(非正規労働者)の約1000万人の属性を浮き彫りにするのが本書の狙いと思われるが、その特徴としては「格差是正・排外主義」が他の階層に比べ多くなっている事が特徴になっている。これは旧希望の党と政策的に合致していたようであるが、旧希望の党は没落した。思想信条的属性と投票行動の関連性の検証が必要になるところだが、今後アンダークラスの受け皿となる政党が出てくるのか?それとも自民党がロスジェネ対策して上手く取り込んでいくのだろうか?自己責任論が蔓延するのもどうかと思うけど。
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各種調査をもとに、日本社会を「資本家階級」「新中産階級」「正規労働者」「アンダークラス」「旧中産階級」の五つの階層にわけて分析している。
階級によって、身長や体重が変わってくるのも意外だった。
(予想どおり、アンダークラスが一番うつ傾向が高い。)
「一般的にいえば、構想に関わる労働は、自らの意思を実現することのできるやりがいのある労働である。これに対して実行のみにかかわる労働は、人の手足となって行う労働であり、労働それ自体に意味を感じることが難しい。マルクスはこのような労働を「阻害された労働」と呼んだ。」
第5章の「女たちの階級社会」は17階層にわけて女性を分類しており、これは分析しづらそうだ、と思う。
階層間の移動が減り、階層が固定化されているという議論は予想どおりだったけど、アンダークラスの思想傾向が予想外だった。
他の階層では「所得再分配」と「排外主義反対」がむすびついているのに対し、アンダークラスでは、「所得再分配」と「排外主義賛成」が結びついているのだった。
「追い詰められたアンダークラスの内部に、ファシズムの基盤が芽生え始めているといっては言い過ぎだろうか。」という著者の懸念は納得できる。
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資本家階級、新中間階級、正規労働者、アンダークラス、旧中間層に区分けして、多くのデータにより日本の就業者の状況を分析している好著だ.旧中間層は戦後間もない時期に最大の割合を占めていた農民層と自営業者層だが激減してきた.問題はアンダークラス 非正規労働者だ.5つの階層は2015年前後でそれぞれ 4.1, 20.6, 35.1, 14.6, 12.9%だ.新中間階級は、穏健保守、自民支持のコアグループ、リベラル派に分けられ、それぞれ 38.8, 14.4, 46.8%だとの分析が面白かった.格差社会の克服には、アンダークラスと新中間階級のリベラル派を結集する新しい政治勢力の形成が必要だとの主張があったが、今の政治家にはあまり期待できない感じだ.
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とても丁寧な本。統計数値を一つずつ確認して日本社会に存在する格差の姿を確認していく姿勢がとても几帳面で信頼感がある。その書き方ゆえに退屈な印象だったり、面白くないと感じるかもしれないが、こういうテーマなので丁寧さは欠かせないと思う。
そういう手順で導かれたのが、
「格差是正ー平和主義ー多文化主義の立場と、格差容認ー軍備重視ー排外主義の立場こそが、論理整合的な左派と右派の立場だと考えられてきたといっていい。」しかし「こうした構図はかなり崩壊している」。
ということだ。
つまり、社会の底辺で格差是正を求めるアンダークラスが、軍備重視・排外主義の傾向を示している。「ファシズムの萌芽?」とも表現されている。
後者の傾向を最も示しているのが自民党であり、ゆえにアンダークラスが反自民とはならずにいる。しかし自民党こそが格差容認を進めてきたのであって、そこにねじれがある。
このことを、感覚的な話ではなくデータをもって解きほぐしたのが本書の最大の功績かと思う。
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アンダーグラスという新しい下層階級の人たちを自己責任で片付けてよいのか、自分が良ければそれでいいのか。
アンダーグラスが増えることは将来的に自分たちにも何かしらの負担がのしかかる。他人事ではないのだ。
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現代日本を
・資本家階級
・親中間階級
・労働者階級
・旧中間階級(自営業者・家族従事者)
と国民の階層を分けて推移や特徴を分析し、
更に、上記階級にたどり着かない「アンダークラス」があると説く。
「アンダークラス」は労働者階級の中でも、主に非正規雇用の人が中心。
そこには、労働者階級の中でも対立がある。(労働者階級の中でも、正規雇用の給与は歴史的にはあがっているらしい)
階級の分析においても、男性は割とダイレクトに所属する階級が世代間移動するらししのだけれど、
女性は配偶者の階級と自身の階級のハイブリッドによって左右される、というのも印象的だった。
階級=格差に対しても、対立の構図が生まれている。
資本家階級=再配分に否定的=自己責任論者(=そして自民党支持者)という傾向はわかりやすいが、
中間階級の層や、労働者階級の正規雇用の層がアンダークラスへ敵対的というのも示唆に富んでいると思う。
自分自身は、所得再配分は是とするし格差は縮小すべきと考えている。
ただ実際に所得再配分が強化されたときに、TAKE側ではなくGIVE側になった時、
どう思うのかは自信が無い。
個人的には日本人の多くが”自分は中間”とか”裕福ではない”と思っているところもあるんじゃないだろうか。
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階級構造は複雑化している。単一のものと想定されていた被雇用者=労働者階級はかなり以前から新中間階級と労働者階級へと分裂していたし、いまや労働者階級は正規労働者とアンダークラスへと分裂している。(略)これらの三つの階級は、現代ん本では格差が拡大しており、また貧困層が増大しているという事実をよく知っており、事実認識ではほぼ一致している。しかし、だからといってこれら三つの階級が、格差の是正に積極的というわけではない。P245
資本主義経済のメインストリームに位置する三つの階級(※旧中間階級を除くもの)は、新中間階級は強固に、資本家階級と正規労働者はやや控えめにという違いはあっても、所得再配分に否定的な傾向が強い。これに対してその他の階級・グループ-パート主婦、専業主婦、旧中間階級、無職の人々は、アンダークラスの人々と同じ、あるいは大差ないほどに、所得再配分を支持する傾向がある。また格差拡大の現実を認識することの効果は大きい、したがって格差拡大の客観的事実とその弊害に対する理解を広めていけば、所得再配分への支持を広げていくことができるはずである。また自己責任論は、所得再配分への合意形成の妨げになっている。したがってこれに対して適切な反論を加えていくことも必要である。P256-257