紙の本
巷間言われていることをデータで裏付けただけの本
2018/04/18 20:44
7人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
巷間言われていることをデータで裏付けただけの本。その労力には頭が下がりましたが、目新しさはありません。
個人的には「階級」という言葉に違和感を覚えましたし、「自民党支持者は、排外主義と軍備重視に凝り固まったカルト集団」と言い切ったり、「可能性の一端は立憲民主党の躍進にあらわれた」と喜ぶ橋本氏の政治思想には全く共感できません。
また格差縮小の処方箋として、資産税の導入や相続税率の引き上げや大学教育税といった荒唐無稽な提案もあり、あの悪夢としか言いようのない「民主党政権」を思い出したのでした。
ところで、私は幼少の頃、四畳半一間に祖父母・両親・私の5人暮らしでした。社宅、公団住宅と住環境は改善しましたが、貧乏生活でした。無事大学まで卒業できたことに両親に感謝です。両親の教育への情熱もさることながら、終身雇用と社宅等の福利厚生に助けられたのも確かです。
ところが、小泉によって、終身雇用が破壊され、非正規労働者の拡大で格差社会となりました。その延長線上にあるのが安部の大企業や富裕層に対する優遇策です。かと言って、モリカケ以外に関心のない野党には全く期待できません。日本社会未曾有の危機であることは確かです。
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著者は最左派の社会学者であると思っていたが、本書は過去の著書よりもさらに歯切れが良い。
著者が「アンダークラスの出現」を提示したのは2009年だったろうか、その当時は「そこまで言えるのかな?」と思って読み流したが、本書ではどうやら誰の目にも明らかになってきたようだ。時代が追いついてきたということか。
本書の後半は社会学というよりも政治学のようだが、今後世の中に本書の認識が広がると説得力を持ってくるようにも思えた。
時代の分析としてはピカイチの本であると思う。
2018年2月読了。
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日本に現存する階級を,その定量的理由と共に定義し,それぞれの階級の内情を統計データとと共に詳らかにする.さらに,その結果を受け,将来的な方針案を提示する.日本の人という視点からの構造体がよく判り,この構造体が政治や経済といった現状をどのように醸成しているのかがよく理解できる.自分の立ち位置と将来ビジョンを考察する切っ掛けを与えてくれる,中根千枝女史“タテ社会の人間関係”以来の良書.
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自己責任論
僕は否定しません。
チャンスが平等に与えられるなら結果の平等は危険と考えます。
でもAI化が進んでいくと過渡期に大失業時代が来てしまうんですよねσ^_^;
産業革命で労働者が仕事を奪われたとき壮年期にホワイトカラーへの再就職先があったか考えれば自明なことですσ^_^;
本書では
資本家階級
新中間階級(管理職等)
労働者階級に
旧中間階級(自営業者等)
の4階級から
労働者階級の下に
アンダークラスがあるとときます。
アンダークラスはいわゆる非正規雇用等です。
これを見ると労働者階級は管理職登用の芽がありますがアンダークラスに無いと言えます。
資本が無ければ旧中間階級にも移れないですし確かに格差が階級に固定化しようとしているのがよくわかります。
今後はホワイトカラーの仕事も激減するので
労働者階級も新中間階級も安穏と出来ないでしょう。
今もあるブルーカラーの仕事か
コミュニケーションの必要な一部の仕事か
自分の適正を見極めて準備をする必要があります。
銀行のAI化を見てると待った無しやと思います。
格差容認や自己責任論で所得再分配を否定する層が今後どうなるか
まあこの著者がよっぽど自民党がキライなんやなあということはわかりました。
リベラル派の結集って…
個人的には世の中それほど変わらないかと思いますσ^_^;
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格差の拡大、固定をデータで示す。
資本家階級、専門家・管理職、正社員の収入が増える一方、アンダークラスとされる非正規の収入は減少。かつての中間階級層であった個人事業主も、いまは貧困層に近い。だが時間の自由はあるので、生活の満足度は高い。
子は父親の出身階級になりやすい。
アンダークラスは親もアンダークラス、高等教育を受けず、学校でいじめられ、遅刻や不登校などの問題行動が多かった。そして支持政党もない。要するに、社会の動向に無関心。配偶者の有無や、夫の収入次第で、女性はとくにこの階級格差を受けやすい。
著者は解決策として、金融資産への資本税導入や、ベーシックインカムを推奨する。が、すでに手垢のついた解決策。
じつはこうした格差論が、階級出身者を見分けやすくしていて、高所得者層は低所得者層を遠ざけている要因になることもありうる。高価そうな車や服を着ているが、話したら教養がなくて幻滅されるなど。すでに中間層以上の親は、子どもに貧困層と接触させないために、公立の学校にも行かせず、エリート校が囲い込む。
この手の社会格差の論者は富の再分配を語るが、本当に必要なのは、高所得者にも気に入られる礼儀と教養なのである。その意味で教育は必要なのだが、教師の質が低いから駄目なんだろうな。
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格差が固定される「階級社会」になってきているぞ、ということを綿密なデータを使って示した本。確かに、「金持ち父さん・貧乏父さん」や「格差社会」「勝ち組・負け組」「ニート」「ワーキングプア」「マイルド貧困」など格差を象徴する言葉はここ10年くらいで増えた気がしますよね。
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豊富なデータに基づき、現在の格差社会の現状を明らかにする。もはや、格差社会ではなく階級社会である。
アンダークラスに陥った場合、再び上昇することは難しい。無機質な数字が、恐ろしく見えてくる。
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所得格差に触れる本はたくさんあるが、これは世帯所得に対して男女による分析行うなど詳細なデータがあり説得力があった。今日の日本の問題である累進課税や消費税に関する問題による階級の継続性の考察は他の本とあまり差はないが、政治的思想の分析は興味深かった。自己責任論と格差拡大の認識、この2つは重要なキーワードとなる。確かに自分も自己責任論は支持する傾向にあったが、格差拡大の認識でその意識も変わった。これを政治的に反映できる政党があれば。。。
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階級ごとの特質が細かに分析されていたと思う。
専業主婦以外の無職のグループはどういう類型が出来て特徴はあるのかどうか知りたいと思った。
あと、最終章のところで自己責任論を乗り越えるためには階級というよりもリベラル派の結集が大事というふうにも読めた。
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「橘玲/言ってはいけない 残酷すぎる真実」を読んだ時と同じような気分になるが、良書、ただこれだけの分析が出来た上で、今後の対策がこれなのは現状の問題の深さをより深く感じました。
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格差を認識しているのは主にアンダークラス(負け組)であること。
“自己責任論”はアンダークラスが自分自身をさらに追い詰めてしまうイデオロギーであること。
“新中間階級”の親に育った子どもが“新中間階級”になれず、強い敗北感を感じていること。
女性は、結婚相手の階級に依存せざるを得ないこと。
書かれていた内容が、共感できることばかりで、
そして、誰にも言えなかったことばかりで、
言えたとしても、負け組同士で愚痴り合うことしかできなかったことばかりで、
なぜ、こんなに私たちのことをわかってくださるのだろう、と。
“アンダークラスの労働も評価されるべき。”
誰も言ってくれないことを、なぜ言ってくださるのだろう、と深く感銘を受けた。
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直接的なタイトルに手が伸びやすい一冊だと思う。最近出版されているこの類の例に漏れず、個別のサンプルデータを統計的に処理した結果から見える状況の説明である。
本書の特徴としては、階級社会への議論を導く印として、女性を17種類に分けて、それぞれの特徴を細かく分析していることにある。確かに、これらの分析を読んでみてよくわかることがある。ただ、その分類は配偶者の立ち位置に強く起因していて、少し運命論的なようなところもあり、本当にそうなのかと疑うぐらいがちょうどいいかもしれない。サンプルデータというのはその切り方でどうにでも見せることができるという一面があるからである。
問題設定そのものは、これからの日本社会にとって非常に重要である。比較的余裕がある専業主婦グループが、非正規・アンダークラスグループよりも人数が少ないということも驚きであり、かつて日本社会を構成していた勢力は既に主力の座にはいないのである。
本書が提示する対応策については、これらの現状認識の下、建設的な策を模索してはいるものの、現時点においては打ち手が少ない結果になっている。ベーシックインカムなど以外になかなかこれといった方策が見つけられないでいる。それだけ厳しいということである。
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あなたは格差を認めますか?
明治時代になって、親の職業や身分を受け継がなくてよくなり、そうして生まれたのが、立身出世、モラトリアムだと、現代文の先生が教えてくれた。今、階級は固定化し、格差は広がるばかりだ。本当に?
筆者は収入や意識調査を用いて、格差の問題、格差是正になぜ動けないか、政治の問題を語っている。階級や格差について、またそこに属する人の思想について、思いこんでいることも多かった。自分はどこに属し、何を求めているのか。せめて、多くの人が幸せに生きてほしいとは思うけれど、万人が一致して求める政策は難しい。
富める者が自分の持ち物を分け与える痛みを受け入れられるか、貧しい者が努力すれば上に行ける希望を持てるか。現状を変えることに憶病になってはいけない。
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現在の日本社会に格差があるのは明らか。
それも結構細分化された階層構造になっていると思うのだが、著者は客観的なデータをもとに検証し、格差・自己責任論・所得再分配をどう統合していけばよいのか、あるべき国の姿を提唱する。
そも格差ひとつとっても、格差などないんだとする層も一定数存在するのが現実だ。すでに格差は再生産されており、このままでいいはずがない。
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うーん、所得格差は、どうにかならないかと。大学出が全てではないが、有利なのは、確かだと思う。あと、子供にかかる費用は、無料で良いかと。教育予算を増やせと。以上愚痴でした。