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挿入されるスティーヴン・キングのフレーズが、怖さを予感させ、象徴する。『ミザリー』と対になるようだと何度も思う。
メタフィクションかどうかはさておいて(面白さこそが判定基準なので)、2/3くらいまでは2人の女性の友情が丁寧にただ淡々と語られ、ハイスミスかデュ・モーリアかという「何かある」感がうっすらと漂うだけなのだが、その後のそれらの回収ぶりが見事というかすごいというか。
いや〜、最後の一語、怖いわ。
『ユージュアル・サスペクツ』のネタバレはいいんでしょうかという老婆心。
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母親の自殺を書いた私小説でデビューした私に近づいて来たL。どんどん生活に侵入して来て同居することに。脚の怪我を田舎で静養することに…。「銀の仮面」か「コレクター」かとドキドキしっぱなしだった。ふうぅ。でも結局、この話を書いた「私」って、誰…⁇
それにしても「トゥルーマンショー」みたいに悪趣味なTV番組、フランスにもあるなんて、やあねえ。
全然本筋と関係ないけど、最初の方にチラリと「ドゥルーズがラジオで言ってた」みたいな一文が出てきます。そっかー、フランスの文化人がフランスのラジオに出演することはあるわなー。スゴイなフランスー。
割合と薄めの本だけど、二段組でそれなりのボリューム。
神経痛に優しいw。
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自分は怪物級に面白かったが皆さんは↓(ニマリ)(あんまり読んでる人いない)。こういう本がひっそり出版されて全然話題になってないって読んだ人だけの特権じゃん!内容は至って地味です。自分と似たような職業で見た目は小綺麗な友人に依存し支配されていく。でもそれって虚構なんですよね?え?違うの?どっちなの?と、ずーっと続く。これほど過去に読んだ本や見た映画を思い起こされる作品もなかった。フランス産。ありがとう水声社。読後のこの満足感は、○○が意外に気持ち良くてぼーっとしながらうっすら可笑しい感じに似てると思った。
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小説全体が「事実」「虚構」が混然としていて、メタ的な不可思議さをかもす一篇。
途中繰り返される「小説は事実であるべき」という論争を、結局は「私」が乗り越えられなかったところが非常に興味深い。
あらゆる意味で企まれた小説だった。
「私」と「L」が実は同一人物なのでは?と思わされるところも、筆者の仕掛けな気がする。
その上、創作者の生態というか……書けないという苦しさがあまりにリアルで立体的で、こちらが苦しくなった。
この小説そのものを誰が書いたのか。
それすらも分からないところが恐ろしい。最後の最後の一文字。怖すぎる。
でも、このシリーズの名称が「フィクションの楽しみ」。
これすらもメタ的な感じ……
読み応え十分。