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作者のデビュー作とのこと、とても良かった。
人に否応なくついてくる悲しみが由井や河子を通して描かれているけれど、その中に作者の優しさが感じられて、じわじわとくる作品。
過酷な生活を送る由井が、淡々と自分の人生を受け入れている様子がいじらしい。
そして桐原の存在がなんとも素敵。最後の最後彼の温かさに心が救われる気がした。
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自分の歩んできた人生を、見透かすような秀逸なタイトル。
過去の回想で、気持ちは一瞬にしてあの頃に戻る。
懐かしい少女の時の気持ち、今にして思えば痛くて恥ずかしくて後悔してぐちゃぐちゃだったのに、それでもやっぱり宝物のような恋だった、と思う。
その時の後悔を持ったままでも、どうか幸せになって。
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最初の一話目からクライマックス。
これが新人さんとか絶対嘘だろ…と思わず呟いた。
短編形式だけど、登場人物は少しずつ繋がっている好きなパターンの短編集。
短編だけど、最後まで読むと大きな流れになった一冊の初恋恋愛集。
恋に不器用でいながらも何でも全力だったあの拙い頃の気持ちが苦く蘇る。
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話題になっていたから手に取ってみた。パラパラと中を見てみた。性的な描写が目に付いて鼻で笑う内容かなと思った。
読み始めたら止まらなかった。忘れてた気持ちが胸の底から沸いてでてきた。描きすぎずにこちらの想像をかき立てる。
こんな恋愛をしても絶対に人には語らない。そんな感情を覗かせてもらった。
西国疾走少女は逸脱。
こんな素敵な話に出会って心が震える度に、現代に生きていることに感謝する。
ぜひ男性の感想を聞いてみたい。
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恋愛の連作短編集
文章がとても綺麗で透明感に満ちているので
青春恋愛小説として心地良い。
短編のそれぞれの章で登場人物が重なるところが
各々のエピソードを感じられて、こういうやつ好き。
結末を味わうというよりは、
物語の過程の心情を味合うタイプの小説かな。
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「どうして大人たちはいつも、男の気持ちについてばかり話すのだろう。この世界は男の気持ちで回っているのか。」
本当にそうだ。とおもった。
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何度も読み返したくなる本。
由井と高山の切ない恋愛をメインに色々な人の視点からストーリーが展開する。
章ごとに話が飛ぶので想像しながら読むことから始まる。
高山からみた由井および高山の人生の話も見たかったが、
そういった余白もちょうどよかったかもしれない。
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大好きです、この本。
久しぶりに出会った、本を読んで心がヒリヒリしびれる感覚。
誰しも人生、後悔がないはずはない。
そこを、ものすごく上手についている。表現している。
自分がその時に望んでいた人生と、たとえ今が違っていても、やっぱりそれが運命というものなんだろうなぁ…と感慨深くもなったりして。
桐原が、幸せになってくれていますように。
由井が中学生の時の描写が、あまりにリアルで、その時の記憶が蘇ったり…久しぶりにドキドキしました。
読み終わった後、なぜなのかはっきりとは分からないまま、じんとしました。読後感がすごく不思議!
わたしは椎名林檎さんの大ファンですが、たしかに、林檎さんの歌や歌詞に通ずるものがあるのではと思いました。
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「うしなった人間に対して一ミリの後悔もないということが、ありうるだろうか」
西国分寺が舞台の、初恋のお話。
本書には5篇のお話が収録されているがすべて地続きの同じ物語。
匂いや色気、女の本音、きれいなものも汚いものも包み隠さず押し込められている。
スターだった先輩、その成れの果てとか、とはいえ、誰かに愛されている姿とか。
桐原という男の子と由井という女の子の恋愛が主軸にあって、物語はその二人をとりまく人物にフォーカスが移動したり戻ってきたりして進んでいくのだけれど、この二人が大人びていて静かに、でも中2とは思えない穏やかさで愛を育んだ過程が描写としては最初のお話でしか描かれていないのに、それぞれの視点から感じ取れるのがすごい。
そして最後まで桐原くんは格好いい。
桐原くんのまま、というのが、いい。
彼だけが成長していないままで、それが切ない。
しんだひとみたい。
題名も表紙の写真もぴったり。
脇だけど、高山先輩は非常に興味深い人物でした。
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それにしても苦しい。読んでいる間、ずっと苦しかった。彼ら、彼女らとは全然別の十四歳を超えて来た自分なのに、どうしてこんなに苦しいのだろう。
もしも、十代で誰かに本気の恋をしたり、誰かに心から大切にされた思いがあれば、多分その後の人生、どんなことがあっても大丈夫だ。たとえ、絶望も一緒に味わったとしても。
そして、かつて心の底から大切だと思った誰かの幸せをずっと祈って行けるような、そんな恋をしたい、そう思う。
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必ずしも明るいだけではない若者の心と日常の現実を捉えながらも、清々しい人々とその恋が描かれていて、読みながら自分の過ごした初恋時代に想いを馳せる。
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(うまく言語化できないの前提で書く)
一遍一遍、読後感がものすごい。作中ずーっと切ない、切ないでも言い表せない感覚、強いて言えばノスタルジー。郷愁。
『穴底の部屋』は特に、なんてことないストーリーだけど本当に悲しかった、良かった。
『もう戻らないもの≒失ったもの への後悔』という感情が描かれた作品にやっぱり自分は弱いな〜と再認識した。
作中、特に共感した・響いたフレーズメモ
『潮時』より加奈子
絶望には二種類ある。何かをうしなう絶望と、何かを得られない絶望。(略)
何かを得られない絶望の方が、断然マシだ。すでにあるものをうしなう痛みよりは。うしなうのは怖い。
私は二十年後も、今と同じように諦めているのだろうか。
うしなう絶望は怖いからと、自分では何も変えようとせず、日々に流されて。もしかすると、それがまたこの先の後悔に繋がるかもしれないのに。
『穴底の部屋』より泉
会話をしている。そう思って泣きそうになる。ばかにしないで知識を被せてこないでヤフートピックスの話題なんか持ち出さないでちゃんと最後まで聞いてくれる男。
通じ合えないことは怖い。でも、通じ合うのはもっと怖い。
*
欲しいものを手にできない絶望、手に入れたものをうしなう絶望、そしてそれぞれにまつわる後悔。どれからも逃れられないんだなあ、とか考えた。私はいま限りなく加奈子そのものだけど、どちらにせよ後悔を避けて通れないなら、由井さんのように気高く生きられたらいいなとは思った。
でも、それぞれ何か思いあぐねながら生きる登場人物たち全員が愛おしい。どうしたって後悔がなくなることはないとしても、自分ではない誰かに想いをめぐらせる時間、人生の中で人と人とがほんの一瞬でも関わり、相手を慈しむとき、一瞬一瞬が尊く、美しい
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ちょっとずつ登場人物の繋がってる短編集。
由井と桐原が幸せになって欲しかったな。青春。
失った人を思って、1ミリの後悔もない、はずがない。
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不思議な本だ。
読んでいる最中は、ページを繰る手が止まらなかった。
先の展開、物語の結末を知りたいという気持ちも強かったと思う。
一方で、読み終わったあとの高揚はそれほどでもなかった。
なぜだろうか。理由としては
・読む前のハードルが上がっていたこと。
(特に、作者に章ごとのイメージに合う曲を挙げてもらう内容のインタビュー記事とか)
・そもそも、恋愛がメインテーマの小説が好みでない
といったことが考えられる。
が、ちょろちょろと読み返してみると、やはりおもしろいと感じる部分も多い。
たぶん、捉え方の問題で
由井さんを中心としたさまざまな人の生き方とその連環の話として考えると、深く考えさせられる。
由井の夫(雄一)と父親の関係とか、由井と雄一がこれから河子をどう育てていくか、とか。
そうではなく、恋愛の部分だけに焦点をおいて、
由井と桐原の恋の話として考えると、急激に薄っぺらくなる(気がする)。
なんとなくすっきりしないけど、大体このような印象。
個人的には、もっと恋愛以外の人間関係を多く描写してくれた方が分かりやすくおもしろくなったように感じる。
あとは、「恋愛」を強調されているように感じるプロモーションが、どうもな…。
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あーもう、なんだろう。最後の最後にうああもう!て叫びたくなってしまう。
後悔がないはずがない。誰だって、大なり小なりなにかを過去に置いてきてしまうことがある。そのことを忘れられなかったり、ふとしたときに思い出してしまうことがある。でも今更どうしようもなくて自分に折り合いつけていかなくてはならない。もしくは、今この瞬間が、この先の未来での後悔になったり。
それでも。
忘れられないものがある。
読者として忘れて欲しくないと思うものがある。
後悔に触れた彼等のこの先が、どうか、せめて、今も幸せだよね、と笑える日々でありますように。
最後が切なすぎて悶えた…。
なんでどうして、と読んでる私にまで後悔を感じさせてくれた。