紙の本
期待はずれ
2018/09/07 13:04
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投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る
初見の作家さんです。
う〜ん、期待外れでした。
アイデアはそれなりに新しいのかもしれませんが、
小説というか物語としては並以下の出来だと思いました。
ここで出されているトリックと推理は小説というよりも
数学のテキストのようで問題と解答はあるけれど、
そこに物語としての豊かさや味わいと言ったものが私には感じられませんでした。
もっと極論するなら取り扱い説明書のQ andAを読んでいるかのようでした。
それこそ素人の私が言うのも痴がましいですが、
狂言回し役のフーリンが中国人という設定で頻繁に中国語を挟んだり、
日本語をたどたどしく発音しているような表現をしているのですが、
そのことで文章の流れが滞りがちでリズムが無いというか
本当に拙い文章しかこの作家は書けないのでは思ってしまいました。
とりあえず買ってあるので
「聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた」も続けて読んでみます。
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本格ミステリにまだこんな発想があったのか!?
カルト宗教団体の斬首集団自殺。唯一の生存者には首の無い少年が自分を抱えて運ぶ奇妙な記憶が!? 首無し聖人伝説の如き事件の真相とは?ロジックの面白さと奇蹟の存在を信じる斬新な探偵にミステリ界激賞!
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面白いと感じたのは4章からです。ミステリの可能性の拡大を感じました。
あんまりこういうことを言うのはよくないのですが、備忘録として。
キャラクタの味付けの突飛さは池上永一さんを思い出しますね。ロジックや設定の緻密さとのコントラストなのかな。
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当時ミステリー賞界隈を騒がせていたの納得。新しい、この手があったか!ってやつ。
ものすごい思考実験対決なミステリです。作者さん頭ええんやろな~と思ったら、東大卒の方でした納得~
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こういうミステリも面白い。推理の中にある優しさに温かいものを感じた。
あらすじ(背表紙より)
山村で起きたカルト宗教団体の斬首集団自殺。唯一生き残った少女には、首を斬られた少年が自分を抱えて運ぶ不可解な記憶があった。首無し聖人伝説の如き事件の真相とは?探偵・上苙丞はその謎が奇蹟であることを証明しようとする。論理の面白さと奇蹟の存在を信じる斬新な探偵にミステリ界激賞の話題作。
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長い間積読だった作品を、何のきっかけかわからないけど手に取った。読み始めると、ところどころ出てくる中国語とよくわからないかっこつけの描写には苦笑したが、それを上回る面白さに、読みづらいのに続きが気になるという不思議な体験をした。
「奇跡」を証明したい探偵とそれを否定したい挑戦者。
「できないとはいいきれない」という、従来のミステリーに喧嘩を売るような仮説を華麗に否定する考察の美しさ。現場検証も事情聴取もなく説明一本で納得する答えを見つける。今までのミステリー物とは全く違う。
机上の空論ミステリーといったところか。
最初は忌避するキャラものだ~と思ったのに、いつの間にか探偵の「その可能性はすでに考えた」待ちをしてた。
結局真実はわからないけれど、なんだかすごいミステリーを読んだ気がする。
続きも読みたいな~。
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古今東西の拷問に詳しくなれる本。…ではなくて、人知を超越した奇蹟の実在を証明しようとする探偵を描いた異色のミステリー。ある事件にまつわる不可思議な出来事に関し、"挑戦者"たちが合理的な解釈を提示していくが、探偵がこれをことごとく否定していく。
ある理由から奇蹟の証明を念願とする探偵・ウエオロ。彼の奇蹟証明の方法論は、あらゆる合理的な可能性を検討し、それを否定するというものだ。全ての合理的な可能性が否定されれば、非合理的なものすなわち奇蹟こそが真実となる。正にシャーロックホームズ、"When you have eliminated the impossible, whatever remains, however improbable, must be the truth."である。そして彼はついに、探偵事務所に持ち込まれたある事件の検討から、そこで奇蹟が起きたのだと結論付ける。だが、そんな彼の前に次々と挑戦者が現れ、合理的に説明可能な仮説を提示する。ウエオロが奇蹟を証明するためには、彼らの提示する仮説がどんなに突拍子ないものでも、どんなに難易度が高いものでも否定しなければならない。現実的にできそうもないとか確率が著しく低いではなく、論理的に絶対にできないということを証明しなければならない、それは修羅の道だった。
一つの事件に色々なトリックが提示されるという構成が面白いし、すごく練られていると思った。挑戦者が滔々と何ページにもわたって語る仮説を、探偵がほんの2-3ページほどであっさりと否定するのも痛快だった。様々な文学や歴史が引用され、ウエオロの(つまりは作者の)膨大な知識量には驚かされた。
一つだけ気になったのは、最後、いわゆるラスボスとの対決のところ。あれは、論理的には、仮説の否定同士は別に矛盾していてもかまわない、という一点で良かったのではないかなあ。文章の巧さでつい騙されてしまいそうになったけど、実はラスボスの論理は最初から破綻しているのでは。まあそれ自体は作中でウエオロが指摘してはいるんだけど、彼がその前に話した「否定の補足」はむしろ蛇足で、全体の論理をぼやかしている気がする。
「否定の補足」は次の展開に繋がっているといえば繋がっているので、そのために用意されたものとも見れるけど、それはそれで都合の良い展開のような気もして、やっぱり、無い方が良かったように思った。
以前読んだ『探偵が早すぎる』でも思ったけど、この作者さんはストーリーの面白さもさることながら、キャラクターがよく作りこまれていてとても魅力的だと思う。なにか長いシリーズ物の一部なんじゃないかと思ってしまうくらい。キャラ一人一人のスピンオフを作っても十分読み応えがあるものになりそう。
キャラクターも文体もとても好みなので、これからも追いかけていきたい作家さん。まずは既刊を全部読みつくそう。
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記憶が曖昧な少女の証言が大前提の
安楽椅子探偵的な推理合戦。
台詞から所作から全て漫画的。
青い髪に赤いジャケット。
モデルのような美しい容姿。
キャラ設定からして、もう。
まあ、普段読んでるものと
かなり違うものを読んだので新鮮であるけど。
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買ってから積ん読状態だったが3年越しに読了。作家の頭の中はどうなっているのか不思議に思うぐらい、ここまで複雑に考えられるのかと感服。大仰な感じではあるが、それぞれのキャラクターも魅力的で、続編も読みたいリストに入れる。
10数年前に起きた新興宗教の集団自殺(というよりも虐殺)に伴い、生き残った少女の記憶から「奇蹟」が起きたのかを探偵が証明した。しかし、元検察官でライバル的な過去があったとおぼしき老人、相棒的位置のフーリンの暗黒社会の元仲間、探偵の元弟子である小学6年生、、、彼らに加えて最後の敵が次々にその証明を崩そうと挑んでくる。買ったと思われたその結末は、探偵自らの敗北宣言だったが、、、。
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帯に惹かれて手に取ってみました。
個人的にはふぅん、という感じ。肝心の探偵の前に出しゃばるラフーリン?とかの台詞が長い。全体として会話が長いので(まあ検証するためだろうけど)その辺りはちょっとダレました。
作者は中国の文学か語学でも先行してたんだろうか?という中国語の多さと文章の堅さが読みにくかったです。あと、唐突に出てくる対戦相手とか。
どうせ奇跡ではないだろうな~と冷めた感じで読んでいたので最後コレ、ホント奇跡認定されちゃったらどうしよう?と思ったら綺麗にオチが付きました。個人的には探偵が依頼人の素性を知ったうえで隠していたのかと思ったんだけどそうでも無かった。
シリーズ物なんですね~ 西王母のキャラが結構好きだったので機会があれば読んでみようかな。
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頭と容姿が取り柄の生活破綻探偵「ウエオロ」
彼のもとに依頼が舞い込む
「わたしは殺人を犯したのでしょうか」
依頼人は幼い頃ある宗教団体の村に住んでいた。
彼女に残るのは痩せた土地、無表情な母親、村の家畜が産んだ仔豚。そして自分を抱きかかえ運ぶ首なし聖人となった兄とも慕う少年の優しい声。
ウエオロと彼のパトロン(=債権者?)フーリンのコンビに挑むのは、元検事の大門翁にブラックチャイナの美しき女王リーシー、元弟子の天才少年八星。
彼らの持ち込む仮説をすべて反証で崩せた暁にはこの事案は
「奇蹟」と呼べるはずだ-。
おおまかにいえばこういうお話。
設定が凝りまくり。登場人物が装飾的。
一種のアームチェアディテクティヴ物というのでしょうか。
与えられたヒントのみで挑戦者は齟齬のない仮説をたてる。それを探偵は同じヒントのみで論理的に崩す。
ロジカルなやりとりがお好きな方にはよいと思います。
軽い蘊蓄が散りばめられていて「知識豊富な方が書いたのだなぁ」と感じます。
個人的に残念な点は「この作品から読み始めると登場人物に魅力を感じない」こと。(シリーズのようなのです)
容姿端麗でいわくつきの過去(現在)を持つ人々が、それを匂わせる思考の末に発する言葉は「なんかカッコイイ」のにそれが魅力的にうつらない。
大仰な舞台装置にヒいてしまう。
込み入ったトリックは計画的にされるものだと思っておりまして、「予期せぬこと」が起こった時点でもはや成立しえない。そのときにとった咄嗟の行動がさらなる謎を生むこともあり得ますが、確率は低い。ゼロではないけど。
そう思ったらお話に入り込めませんでした。
といえどもこのお話はこれで成立する。
主眼は真実を暴くことではなく、「ありえる」ことを「絶対にありえない」と言えればそれでいい。
趣向は理解しているつもりなのですが。
斬新なつくりで面白い筋立てだけれど、個人的にはハマりませんでした。
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金田一少年と名探偵コナンを足して2で割ったような感じ
下手に話を大きくしないで書いた方が面白かったのでないだろうか。
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山奥で暮らすの宗教団体の集団自殺事件で、唯一生き残った少女は首を落とされた少年に助けられたという。
少女はしかし、少年を殺したのは自分ではないかという怖ろしいに可能性に囚われ、探偵事務所の扉を叩く。
奇蹟を求める探偵と、彼を阻む人々との推理合戦という形で、あらゆる推理を捩じ伏せる探偵が、最後は結局自身の手で人為的な物だと結論づける物悲しいラスト。
結末が、可能性に過ぎないところが個人的にスッキリしない。
始めから人為的な可能性を廃することで奇蹟を…とは言っていたからアレだが。
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その可能性はすでに考えた。
なんて魅力的なタイトルであろう。
とある摩訶不思議な事象に対し、様々な仮説を尽く反証してみせる。そう、その可能性は、すでに考えていたのだ。
ところがどっこいな結末だが、とても面白く楽しめた。
ただ一つ言いたいことがあるとすれば、なぜ第51回メフィスト賞受賞作であるデビュー作を先に文庫化しないのか、ということである。
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過去に起きた事件の真相について、限られた記録と生存者の記憶を元に、あらゆる可能性を列挙する。
その状況自体有り得ない、という思いが先立つ……。が、推理合戦、ゲームと割り切れば面白い。次々と仮説が繰り広げられ否定されていく展開には、舞台を見ているような気分になった。