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全日本人必読。世界最高レベルの労働者を有しながら先進国では類を見ないほど生産性が低い今の日本。
バブル期以降の凋落ぶりとその要因を豊富なデータを引用しながら暴き、これから進むべき道筋を明快に示してくれる。
人口の減少曲線と需給バランスが自然調和するまでデフレが進行し、大きな方向転換を強いられたペスト流行期の欧州に倣い、新陳代謝を止めぬ正しい政策を打ち出し、各企業で付加価値への投資、賃金の引き上げ、生産性改革が進行するかどうか。ここにこの国の未来がかかっている。
それにしても、著者の語気が新観光立国論の時以上に強くなっていて、読みながらにして申し訳のない気持ちになってしまいました…。日本人以上に高い危機意識と客観的な洞察を持って警鐘を鳴らしてくれている。こういう人がいてくれるうちが華だなと思いつつ、いよいよこの国がまずい状況であることの示唆でもあることが皮肉…
現実を直視せず、楽観に逃げてしまう。「日本的資本主義」など実態のないものを拠り所としてしまう性質は、「失敗の本質」で指摘されるような大戦中の日本軍に蔓延る空気感とどこか通じてしまうところが、底のない問題のように思えてまた恐ろしい。この国は戦争だけでなく、経済でも大敗してしまうのだろうか。
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ひとつの行動論のまとめである。すでによく知られた本書について、あらためて感想を書くこともないところではあるが、第4章で述べられていることで、子どもをつくることを優遇すべきというは、自分自身を振り返ってみてあらためてその通りである。ただ、もう少し細かい部分を気にすると、子どもを「育てる」ことを優遇すべきなのだろう。いろいろな事情で子どもを授からない人もいる。超高齢化社会になる社会の構えである。子どもが絶対的に少ないことによって、この先は現実問題として暗く厳しい。
まとめの第7章にすべてがある。時々ここを読み返して振り返ってみるとよいだろう。何をやめて生産性を高めるのか、そして生産性が評価基準というのは、核心部分として納得がいくことであり、自分自身の行動の中に、また自分がかかわる事象に対して、その視点を常に意識したい。
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初めてデービッド・アトキンソン氏の本を読んだ。生産性という言葉の定義をちゃんと認識出来ていなかった事を反省。「生産性の定義は一人当たりのGDPで、GDPとは一定期間に国内で生み出された付加価値の総額、より細かくいうと、労働者の給料、企業の利益、政府などが受け取る税金、お金を貸した人が受け取る利息などの総額」
共感できたのは、仕事で、取引先から「高品質・低価格」をしつこく言われていた所で、相手先の言い分は「おたくから仕入れる額が上がると、競合と価格競争で負けちゃう」といわれていて、付加価値ないのを前面に出されて困惑してたから。こちらから付加価値を提案して上げないと行けないなぁと良い気付きが得られた。
本では、人口減少を前面に出されているが、それを抜きにしても、儲かるにはどうしたらいいか?給料を上げるにはどうすべきか?を皆んながもっとシンプルにアピールする世の中になってもいいんじゃないかなと思った。 給料を上げてくれというアピールには、責任も伴うわけだが、この責任に対する感覚が弱いのが日本のサラリーマンなんだろうと思う。ちなみに自分は外資系企業に勤めているが、営業組織は若いうちから数字について厳しく教育されている。営業以外はあまり厳しく問われない感じ。
この本の今の日本の現状を数字で他国と比較して、警鐘を鳴らすスタイルは、嫌いじゃない。最低賃金を上げて、対応出来ない企業には市場から退出してもらうと言う考え方もいいと思う。自然にそうなって行くと思うし。国が言わないと動かない風土もあると思うので、国会議員には、検討をお願いしたい。
自分でできることは、付加価値を上げていく努力を継続して行くことだと頭で分かっても、そこそこ給料貰っていてやる気ないんだよっていう人向けに、デービッドさんの父ちゃんのアドバイスがおもろい。「刺激を求めて転職するか、できる限りの借金して家を買え」w
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日本の無能な経営者、感情論でしか政治をしない政治家官僚に読んでいただきたい。
基本的にに今までの著作と言っていることは同じ。
今までなぜ日本はヨーロッパのように論理的で数字に基づいた原因の追求と導き出された結果をそのまま政治に反映できないのか、ほとほと疑問に思っていた。もちろん政治は妥協の産物であるが欧米でできていることがなぜできないのか。
そういった点にも触れられている。
外資の金融出身と言うだけあって論理的でストレートに問題点と解決策を提示している。この点がおそらく日本人にとっては痛いところ突かれ批判的な反論を生むのだと思う。
著者の出身を考えればおそらく詳細な数字やデータを提示してもっと分厚い本にすることもできるだろうがわかりやすくするために省いているのだと思われる。
ですので非常にわかりやすく簡潔に書かれている。
こういう提言があって日本が変われば良いのだが、おそらく無理だろう、正直絶望的な気持ちになる。
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労働人口が激減するこれから、高齢者や移民や女性活用だけでは補えない。一人当たりGDP=生産性を上げないと、社会保障が維持できない。低価格に逃げず、男女とも高い能力を持った日本の労働者が適切に稼げるしくみを作るのは、経営者や政治の役目。
仕事というと、労働者の意識・目線でしか考えていませんでしたが、明確に経営者の役割を位置付けているところが、日本人にはない目線だと思いました。
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・人口減少時代に必要なのは、変化を受入れ、変化を楽しみながら「生産性」を持続的に向上させていくこと。
・日本人は「事後対応」が世界一得意。
・生産性=1人当たりGDP(労働者給与・企業利益・税金・金利)
・生産性が低いのは、サービス業。
・無能なのは「経営者」人材の配置と使い方を間違えている。
・生産性をあげるために、企業数の削減、最低賃金の段階的引き上げ、女性の活躍が重要。
・これからの時代は、雇用を増やすことではなく、給料を上げることが社会貢献。
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意外に「熱さ」を感じる本でした
今の日本は「保身第一」現状維持で改革・変化を忌避している
⇒シンプルな目標を立ててチャレンジを
人口減少は改革を強いる 経営者・行政・政治
日本人は長期的に取り組むのが苦手 ずるずると悪化する
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おもしろくて夢中で読みました。
この提言通りやって、生産性が上がったら幸せな人が増えるのではないかと思って明るい気持ちになったので、ぜひ読んでほしいなあと思います。
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2021/01/05:読了
冒頭部分に、反日だと批判されていることに対し、グタグタ書いてたので、なんか、読む気がそがれてしまった。
日本が好きだから、日本に住んでいる。もう金融の仕事はしておらず、国宝や重要文化財を修理する会社の経営をしている。
内容が正しいとかいう以前に、なんでそんなこと本に書く必要あるんだろうか。本を出すことの覚悟が出来てない気がするので、読む気がなくなってしまった。
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強い衝撃を受けた。数値的な根拠を提示しながら、生産性を上げるしかないという強いメッセージを送っている。
日本が社会保障制度を維持し続けるためには、生産性の向上が必要。
高度経済成長の主因は爆発的な人口増加であって、日本的経営や文化的背景が効いたわけではない。
日本人は客観事実よりも感覚的に物事を捉える傾向が強い。FACTや一次情報を軽視し、抽象的なフレーズを多用する。これは大手企業や役人でさえ多くみかけられる。
生産性向上5つのメリット
1.労働者の生活水準の向上と労働条件の改善
2.年金基金と一般株主の配当利益の増加
3.消費者が受け取る付加価値の向上
4.環境への配慮の向上
5.政府が格差社会緩和のために使う税収の増加
ーアクションー
・一度では消化不良があるので再読する
・経済本をお絵描きしながら読む
・対案や施策を提示する
ーおまけー
著者の書き方は非常にわかりやすい論理構成をしている。節の頭にメッセージを提示し、それを支持する内容を本文に書く。マッキンゼーのプレゼン本などで見かける構成をしている。
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白石貢さんがすすめていたデービッド・アトキンソンの本。
日本の人口減少をどうやって対策していくべきかを提案している。
移民を受け入れる、老人を働かせる、女性を働かせる…
様々な意見が取りざたされているが、
イギリス生まれ、イギリス育ち、ゴールドマン・サックスに入社して…経済のプロとしての視点で、日本の問題点を暴き、解決の糸口を提案している。
なるほど、そうかもしれないと思いました。
日本の「高品質・低価格」は、本当か?
・求められてもいない不必要なことまでもやって、高品質をうたっても、高い価格で売れないの出れば、それは生産性が低い。なるほど。
・「高品質・低価格」は、労働者にサービス残業や低賃金で働くことを強要することで成り立っている悪しき慣習。これをやめなければ、日本の未来なない。なるほど。
日本の戦後の経済発展は、人口爆発によっておこっただけ。勤勉で手先が器用だから(だけ)ではない。→これは、他の本でも読んだな。
経済大国、アメリカや中国は、今も人口が増え続けている。
人口減少は、ヨーロッパで以前から起きている。その対策として、女性を活用する方向にシフトした。日本人の女性の働く意欲のなさには驚く。ヨーロッパで数十年前までは、男尊女卑が横行していたが、それでは経済が成り立たないので、女性が活躍できる環境に整えてきた経緯がある。
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日本経済の生産性に絞って議論を進めた本。
とはいえ、杉田女史の件もそうですが、この言葉(生産性:Productivity)は非常にセンシティブですね。
生産能力とか生産手段とかいった左の言説の臭いもすれば、「生めよ増やせよ」の戦時統制の時代の空気の臭いもするという・・・。
そのあたりの空気感を察知したわけではないのでしょうが、この本では生産性の定義を一人あたりのGDPとしていて、イデオロギーなあれこれを遮断している。
著者いわく、経済学では「生産性=一人あたりのGDP」なのは常識なのだそうだ。
そうなのかもしれない。
もうね、カタカナでプロダクティビティとでも書いたほうが我々も混乱しないかもしれないです。
ともあれ、経済学の議論だからということで、純粋な数字での論考となるのですが、ちょっと無理めなシミュレーションが続きます。
GDPを維持するために必要な移民の数は約3420万人。つまり日本の人口の四割が移民である社会を受け入れますか?
とか、17時間労働しますか?
あ、でも女性の社会進出を加味しないなら21時間労働となります。とか。
いやー、無理ですよね。だから生産性を向上させないと、というお話です。
先日レビューした高橋洋一先生の『未来年表 人口減少危機論のウソ』では人口減少に伴うGDPへの寄与率は最大で年▲0.7%としていたが、この本では年率▲2.2%としている。
それもあってこういった数字の列記になっているのでしょうが、▲2.2%が正しかったら、ちょっとやそっとの生産性の向上くらいじゃ無理でしょう。
それでも向上させないと日本に未来は無いのです、というのはわかるが、日本の労働者は優秀なんです、という前提で議論を組み立てているので、生産性を向上させる鍵を経営層とか政府の施策に持っていっている。
日本の経営者は無能だ、優秀な経営者が必要だ、アメリカ企業で労働者は不真面目なのに生産性が高いのは経営者が優秀だからだ。
といった主張には、確かにね、シャープとか東芝とかの事例を見せられると頷くけど、そういう形の議論にすることで、今の労働者諸君自身が、自分のような社畜にはどうすることもできない話だし、関係もない、的な感じで、かえって問題意識から遠ざけ、現状への愚痴の根拠付にしかならなくなることを危惧。
極論言うと、労働者は日本人、経営層はアングロサクソンにすれば、万事うまくいく。
(だから日本は完全にアメリカの属国になれ。)的なこと、思ってません?
あ、そういえば、著者も今や日本企業のガイジン経営者だった・・・。
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著者には批判も多そうだけど書いてあることには概ね同調出来るので頑張って欲しい。この本を読むことでは世間で起きている事象と生産性に関する相関を見出しやすくなるというメリットがあると感じる。個人的に人口減は周りにまわってあまり憂いてはいなかったが、やはり多少考えを改める必要はあるかな。
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日本の人口減少に伴って、どれほど生産性向上が重要かよく理解できた。生産性の定義をキチンと理解できた点も大きな収穫。
ファクトフルネスを読んだ後だったので、「そんなことないんじゃないか」とツッコみたくなる部分や極端すぎないか?と疑問に思う点もあったが総合して勉強になった。
中小企業支援に対する厳しい指摘(生産性の低い中小企業は淘汰されるべき、事業継承支援は無駄など)が印象的。考えさせられた。
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日本の生産性について
日本は経済大国なのは人口大国だったから。
・日本の人口が減少していく今、生産性を上げなくては、日本経済が経ち行かなくなる。日本の抱える借金や今の社会保障制度を維持するためにはGDPの維持は必須。
生産性はGDPを国民の数で除したもの。
そのためには生産性を上げる必要がある。
では、どのように上げるのか。日本は何がいけないのか。
・移民を増やすと言う考察。2060年ごろまでに3400万人の労働人口が減少する。これを移民で補うと実に5人に2人が移民になると言う。(数字はうろ覚え)
・高齢者に働いてもらうと?そもそも身体的能力が衰えてくるので、現役世代と同等に考えることはできない。
・高品質、低価格
価格を下げても、人口減少により、そもそも買う人が減るから、売上は伸びない。
求められてもいない、企業の独りよがりな高品質で、売上は伸びないし、社員には無駄に高い負荷。(マーケティングで市場の求めるものをきっちり把握)
それに高品質・低価格は伝統的な価値観じゃない。
・女性の活躍
今は、昔に比べ、家事労働がかなり楽になっている。だから、子供の手がかからないときは、女性も働くべき。そうすれば、外食や贅沢、ハウスキーパーなど、様々なことにお金を使うようになる。これは経済成長にとって好循環。沢山稼いで沢山使う。
・経営者が無能。
労働者の質は世界的に見ても、日本は高い。
生産性の低い企業は淘汰される。そういう国に不利益になる企業をわざわざ国は守らなくても良い。悠長に守っている場合じゃない。もう悠長ではいてはいけない。
・その他
企業が上げるのは利益ではなく生産性。同じ売り上げの中で、社員の給与を減らして相対的に利益を上げるのではなく、付加価値を高めて、売り上げを上げて、社員の給与も利益も上げる。
効率を上げるのではなく、生産性を上げる。いかに効率よく仕事をしていても、無駄な仕事があったりする。そんなのを効率良くしても意味がない。無くした方が良い。