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通勤電車で、もしかすると自分にもあり得る話で、興味深く読めた。本間と一緒で小心者なので、実際同じ場面に遭遇していたら見ぬ振りをしていただろう。十津川警部の推理が全問正解のところが拍子抜けした。ラストが衝撃的。
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〇嘘が嘘を呼び、気持ちを不安定にしていく。自分でできてしまうから、やってしまうことの罪深さ
不動産会社に勤める本間は、通勤の電車内で中村というサラリーマンと出会う。
ある日偶然帰りの電車で中村と出くわした本間だったが、チンピラが女性にからんでいるところに中村が諫めてしまうがその後すぐ呼び出される。不安に思う本間は気にしていたが翌日、死体となって発見されたとニュースで流れる。
妻の夏子にも相談したが、警察に連絡すべきかどうか踏ん切りがつかない。
直に、謎の女性や、チンピラ風の男性から電話などがかかってきてさらに戸惑う本間。
十津川も本間と中村が知り合いの可能性があると考え突撃するも、十津川に本間は話すことができない。
中村は誰に殺されたのか?本間は警察に目撃談を話すことが出来るのか??
*****
結論を言うと、本間は、警察に正直に話すことができない。
チンピラからの電話が始まったあたりから、本間は変わった。
正直に言わなかったことで、良心の呵責を感じるようになった。
妻の夏子も、上司も、その変化には敏感になっていた。子供も生まれるのに降格の危険もある。そんな状況で、精神がおかしくならないほうがおかしい、と言えるかもしれない。
作中でも十津川や亀井が触れているが、真面目なサラリーマンである本間が、追い込まれることによってどのように殺人を犯し、さらにどのように転落していくのかは本作の見ものだ。
最初の中村が殺された点の原因や方法と、試射のために出かけたときの警察の追及があまり描かれなかったところを見ると、警察内部でも相当もやもやしながらこの事件を追っていたということを描きたかったのかもしれない。
そんな感覚を持ちながら読むことで、そういった心ない犯罪が減ることを祈ることはせめてできるに違いない。
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西村京太郎の作品にしては、ドキドキハラハラして面白かった!犯人の視点で描かれていて、西村京太郎の作品では珍しい描き方が新鮮な感じがした!