紙の本
タブーを恐れない清張の本領発揮。原武史さんの濃い解説。
2018/05/31 18:55
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
原武史さんの解説の密度が濃い。ぜひNHKのEテレも合わせてご覧を。情報が立体的になる。第一回は「点と線」を紹介。第二回はタブーを恐れない清張の本領発揮。第三・四回は更にディープな世界に入っていき、原武史さんの解説も熱が入っていく。取り上げるのは「昭和史発掘」と「神々の乱心」。最終回では未完の大著「神々の乱心」を紹介。「昭和史発掘」で収集した資料を縦横無尽に駆使して国家の深層にひそむものを浮かび上がらせるこの作品には清張最後のメッセージが。原さんの近著「松本清張の遺言」と合わせて読むとより立体的に。
紙の本
わかりやすい
2018/05/27 23:27
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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
テレビ放送の講座のテキストですが、わかりやすく、読みやすいです。松本清張の作品の読解の役に立ちました。
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「松本清張スペシャル」原武史著、NHK出版、2018.03.01
117p ¥566 C9421 (2018.03.29読了)(2018.02.27購入)
著者の原武史さんは、「震災と鉄道」というような著作があるので、単なる鉄道マニアの方と思っていました。プロフィールを見たら、専門は、日本政治思想史と記してありました。確かに政治関連の「昭和天皇」という著作もありますね。
この本は、Eテレの「100分de名著」のテキストです。
松本清張の著作、『点と線』『砂の器』『昭和史発掘』『神々の乱心』が取り上げられ、紹介されています。『点と線』『砂の器』は、社会派推理小説と言われるものです。僕も読みました。
『昭和史発掘』は、全13巻のノンフィクションです。文庫の新装版では、9巻になっているようです。このテキストでは、2.26事件を扱った第7巻から第13巻までの部分について紹介されています。7巻も使って、いったい何を書いたのでしょう。
読んでみたいと思います。
『神々の乱心』は、未完ということです。天皇について扱った小説ということです。昨年から、「国家神道」や「象徴天皇」について読んできたので、興味深い内容なので、ぜひ読んでみたいと思います。2.26事件とも関連ありそうです。
【目次】
【はじめに】昭和史の闇を照らす
第1回 人間と社会の暗部を見つめて―『点と線』
第2回 生き続ける歴史の古層―『砂の器』
第3回 歴史の裏側を暴き出す―『昭和史発掘』
第4回 国家の深層に潜むもの―『神々の乱心』
●鉄道と古代史(14頁)
鉄道と古代史。この二つが重なっていることが、『点と線』で清張をして香椎という舞台を選ばせた要因ではないかと私は思います。
●昭和天皇の登場(68頁)
昭和天皇の登場というのは、簡単にいえば明治天皇の復活なのです。病弱だった大正天皇を忘却させて、若く健康的な昭和天皇を偉大な明治天皇の再来であると認識させる。大正天皇の死去の翌年、つまり1927(昭和2)年とはそんなキャンペーンが始まった年だったのです。
●天皇への直訴(70頁)
直訴を行った人たちを支えていたのは、天皇陛下は一視同仁の存在で、女性であろうと植民地出身者であろうと、大日本帝国の臣民であれば等しく愛情を注いでくれるお方だという考えです。
●宮城占拠(76頁)
『昭和史発掘』の大きな意義の一つは、2.26事件の最終目標が宮城占拠、つまり皇居を占拠することにあったという点に着目したことです。
中橋や磯部らには、宮城を占拠し、天皇と重臣の連絡を遮断して昭和天皇を自分たちの手中におさめる計画があったというのが、清張が『昭和史発掘』で明らかにしたことでした。
☆松本清張さんの本(既読)
「ゼロの焦点」松本清張著、光文社、1959.12.
「砂の器」松本清張著、光文社、1961.07.
「徳川家康」松本清張著、角川文庫、1964.01.20
「京都の旅 第1集」松本清張・樋口清之著、光文社、1966.04.10
「奈良の旅」松本清張・樋口清之著、光文社、1966.04.25
「東京の旅」松本清張・樋口清之著、光文社、1966.09.25
「京都の旅 第2集」松本清張・樋口清之著、光文社、1967.01.25
「鎌倉の旅」松本清張・樋口清之著、光文社、1967.08.01
「南紀の旅」松本清張・樋口清之著、光文社、1969.03.10
「点と線」松本清張著、新潮文庫、1971.05.25
「ペルセポリスから飛鳥へ」松本清張著、日本放送出版協会、1979.05.01
「岸田劉生晩景」松本清張著、新潮社、1980.10.20
「軍師の境遇」松本清張著、角川文庫、1987.07.25
「駅路/最後の自画像」松本清張・向田邦子著、新潮社、2009.12.20
(2018年4月7日・記)
内容紹介(amazon)
歴史の深層を照らす不朽の4作品を精読
『点と線』『砂の器』などで「社会派推理小説」という一大ジャンルを築いた作家・松本清張。新資料や独自インタビューで歴史の真実に光をあてた『昭和史発掘』や、その成果を活用した未完の遺作『神々の乱心』で、彼は何を訴えようとしたのか? 上記4作品を通じて、「思想家」としての松本清張に迫る!
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前半の2作の頃の「地方と都会」と「鉄道」の松本清張のイメージが強かったが、3章の2.26事件の骨太な考察を行なっていた点は知らなかった。
つくづく「昭和」を総ざらいしようとした作家なんだと感じた。
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清張の作品は幾つか読みましたが、その奥深さを認識しました。漫画の昭和天皇物語を読んでいますが、重なる部分が多く、繋がりました。