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キッチリカッチリ大団円を迎えている九巻、完結巻である。
クソゲーと名高い猫耳猫をバグ技で乗り越えるこの物語も、こうして綺麗に納まっているのは大変感慨深いものがある。(なお、ゲームとしての猫耳猫自体は終わっていない模様)
ネット版と同様に、邪神との対決まできちんと収録されている9巻だが、書籍オリジナル要素としては「猫耳猫販売前後における掲示板での反響」が章間に描かれている。
その内容はとても退廃的でリアリスティックなものであり、事前の期待と、あまりのバグに櫛の歯が欠けていくかのようにユーザーは離れ、最後は執拗に煽っていた荒らしすら消える有様である。
ただ、その中でも淡々とバグ報告するSS氏には我々読者もホッコリするところだろう。あと、最後に乱入していた闇を背負いしニート氏もまた味わい深い。
一度は仲間を殺し尽くした憎き邪神との対決の末などはネタバレに(一応)配慮して省くが、実にこの物語らしい顛末が描かれている。
綺麗な大団円であり、シリーズを通して持ち味を貫き通してくれた点なども加味しつつ、星五つで評価したい。
前の巻から一年半空いているのはネックだが、険しい出版事情の昨今を鑑みれば、こうして最後までしっかり走り切ってくれた価値の方が大きく思えるところだ。