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都築響一『TOKYO STYLE』を思わせる、個室の写真集。覗き趣味的関心から手に取りつつ、著者のいう「世界は不平等であること」に思いを寄せることにもなる。
床をもたない部屋も少なくない。部屋のサイズもまちまちである。
(私の感覚からすれば)相当にどぎつい色彩のファブリックに覆われた部屋も目立つ。モノの量も随分違う。インタビューのコメントの少なくない数が、異口同音に、この部屋に閉じ込められているように感じるという。
TOKYO STYLEが極大化された微差を示しているとすれば、この MY ROOMは大きな差異の現れとしての個室の違いを示している。
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世界中の人たちを同じアングルで撮り、インタビューをまとめた1冊。この同じアングル、同じフォーマットでというのが面白い。それは、町の一角であったり、町からバスを4時間も乗り継がねばたどり着かない場所であったり、さまざまだ。
伝統を守る人、新しい時代の変化に追いつき成功を求める人。ただ暮らすことを楽しむ人。さまざまな人が同じアングルで映され、インタビューを受けている。
それだけでも面白いのだが、序盤にあるイギリス人女性が言った「当たり前の普通の人々」を映していること、はそれだけで100年後、200年後に大きな価値を持つだろう。
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素晴らしい本、久々に夢中になって本を読んだ。インタビューでは彼らが直面している個人的悩み、政治問題、宗教問題、環境問題が語られているが、全員が自分の置かれている状況を冷静に分析し、未来に向けて着実に歩みを進めている。見開きの写真からは彼らの日常を垣間見ることができ、又、彼らが天井のカメラを見上げる真っ直ぐな視線は、彼らのインタビュー文をより生き生きしたものに感じさせてくれた。
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世界中の若者の部屋を天井から撮影し、さらにその人の境遇や考えを載せたアートブックのようなもの。
部屋はどれもカラフルでパラパラと見るだけでも楽しめる。富裕層だろうが貧困層だろうが、わりとカラフルで、写真から裕福な人なのか自然のままに生きてる人なのか判別するのは難しい。一番度肝を抜かれたのは「ドバイの富豪❨公務員❩」。
また、若者の考え・意見にははっとさせられる。それぞれが違う境遇で生き、その境遇を越えようとしている人もいれば、受け入れてこのまま過ごしたいと言う人もいる。これは裕福か貧困かは関係ない。私たち裕福な先進国は如何に身勝手なフィルターで彼らを見て「かわいそうに」「そんな環境ではいけない。助けてあげないと」と思っているのかということがわかる。皆が皆、先進国の掲げる理想を目指しているわけではない。日本の、世界の幸福度ランキングの低さに納得しているわりには実は何もわかっていないなということが改めてわかった。
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世界の人がどんな部屋で暮らしているのかを教えてくれた。簡素な部屋、残雑な部屋、それどれに個性がある。
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6年間にわたる軌跡
ROOMとうい皆が持つ部屋(人生)を垣間見せてくれている
特に印象深いのは、文化、偏見、歴史、未来、希望、恐れ全てを皆抱えていることだ。また物を皆意外と所有していない、80,90年代の若者の特徴であろうか。
この本を読めばみんな違う国だけど同じようにベットがあり衣服を着て、ゆかかあり布団の中で寝ると同じ人間だということがよく分かる。
国の成長と共に明るい気持ちになるもの、国の停滞を嘆くもの、今の現状を変えようと街に出たり引越しをしようと考えているいるとの。
部屋が無くてそこで過ごしていた歴史を持つ人にとって部屋に住めることだけでも、きっと幸福だろう
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世界各地で生活している若者とその部屋を天井から撮った写真集。都築響一のTOKYO STYLEならぬWORLD STYLEといった趣。ノートPCを持ってる一方で、まだブラウン管テレビ使ってる人が結構いるのが意外。
世界には異なった環境で固有の考えを持つたくさんの人達が生活している。あたりまえだが、それを体感的に実感することは難しい。この本に納められた写真と文も、作者による主観が世界から切り取った断片的な情報だ。読者はそこから視覚情報だけを得ているに過ぎない。
しかしそこから得た情報は、自分が生きている世界を相対化させる。いま生きている世界は絶対的ではなく、無数にある世界の中の一つに過ぎない。そう気付かせる効用は文化人類学と似ている。
私たちは、前に進むことを、変わることを、成長することを強いられていると思う。それが絶対ではないことを実感して少し気が楽になった。変わることと変わらないこと。そのせめぎ合いが個人の中で、世界中で起きている。