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テーマははっきりしているのにどこかつかみどころのなさを感じました。
「疑似科学シリーズ」と銘打ってしまえば簡単ですが、科学で解き明かすことが常に最良とは限らないのでしょうか。
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疑似科学を扱ったルポ形式の短編集で連作っぽくなっています。スプーン曲げ、火を使う猿、ロボトミー手術、ホスピス、新興宗教といったテーマ。疑似科学そのものよりそれを取り巻く人々の考えや行動が物語られています。後半、重いテーマが続きますが、最後はすっきり終わった感じですね。
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普通の情景を読んでいるつもりが、気がつけばビューンととんでもないところに連れていかれている感が。
あいかわらずすごいな。
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火を覚えた猿を巡る人間社会、スプーンを曲げられる少女の存在、ホスピスや脳手術問題、信仰、等々、不可思議な社会的事件の顛末がとある記者のインタビューを通して語られる。嘘か真か、是か非かそれら事件の成り行きを客観的に読む読者が何を思うかを試されてるような作品。上手く言えないけど、その感覚はなんか今のSNS社会、現代人の有り様にも通じるところがある気がする。お話的には「水神計画」なんかが面白かったな~
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あってもなくてもいいけれどもオカルトと医療に造詣がある方がすらすらと読める作品。
信仰による奇蹟と科学の進歩、倫理と道徳の大きくふたつのテーマが禅問答や反証実験のように繰り返されながら進んでいくストーリーに感じた。
読みながら思ったのが「信仰による奇蹟」はいくら科学が発展したところで無いものにはならない。現存する科学をもってしても、ましてや「科学の進歩」を底上げしても、信仰による奇蹟は完全にはうち消せない。
ましてや天秤の両端に信仰と科学をのせたところでどちらとも言えない現象は存在するので、科学と信仰の中間を線引することもできない。
この作品に関して著者は読み手に好きなように取ってもらえるように書いてあるものの、個人的には「好きなようにとってもらって構わないが僕自身のひとつの結論を隠しています」みたいな風であった方が読み返したい欲が高まったかなあと思う。
SF成分は最低限で、あくまで近未来に起こりうることとして描こうとしていたのかなと思う。バチバチなSFが読みたい!っていう人には肩透かしを食らうだろうけどあくまで手法としてSFを使っているだけで無駄がないのでこれはこれで良いと思う。かといって事件が暴かれること自体が問題では無いようなウェイトで描かれていて、ミステリ色もそこまで強くない。
哲学とか思想とかそういうのが好きな人はまあアリだと思う。