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平成30年定時株主総会に向けた検討課題のほか、株主総会に関する一連の手続等がQ&A方式でまとめられていた。平成29年定時株主総会の総括データなど参考になった。
P1
平成29年6月総会における集中日開催の比率は29.3%と、初めて集中日開催の比率が30%を切りました。前年比3.4%減で、それでも、第3集中日までの3日間の集中率は64.0%であり、分散化が進んでいるとはいえるものの、特定の数日間に多くの会社が株主総会を開催している状況は変わりないと言えます。
P2
平成29年6月総会における単純平均の所要時間は56分と、前年比1分減少しました。所要時間が1時間以上の会社については前年比で23社増加し665社でしたが、3時間以上の長時間総会は6社でした。
P140
3.平成29年6月総会会社の分析結果
日経500種平均株価対象会社のうち、平成29年6月総会会社414社において、非監査業務については309社(74.6%)が記載しています。その内容は、国際会計基準(IFRS) 59社、コンフォートレター作成業務51社、内部統制62社、財務デュー·デリジェンス業務16社、英文財務諸表の作成業務11社、該当事項なし42社となっています(重複集計)。
その他、CSRに関する助言業務、ストック·オプションの発行に関する助言業務などの記載も見られました(資料版商事法務No.406 227頁)。
P204
3動議と議決権行使書の取扱い
動議が提出されたとき、議決権行使書を動議の採決にどう反映させるかが問題となります。実質的動議と手続的動議に分けて考えてみます。
(1)実質的動議(修正動議)の場合
実質的動議(議案の修正動議)が出された場合、当該議案において議決権行使書では「賛成(みなし賛成含む。以下同様)」として集計された分は、修正動議には「反対」として取り扱うのが、合理的な意思の解釈と考えられます。
一方、「反対もしくは棄権」の意思表示があった場合、修正動議に賛成かどうかは不明ですので、この場合は「棄権」として集計するのが一般的と考えられます。修正動議が可決されるためには、修正動議に対する賛成票が一定割合以上必要となりますので、結果的に「棄権」は「反対」と同様の効果をもつこととなります。
(2)手続的動議の場合
議決権行使書は、あくまで総会当日出席できない株主が書面で議案の賛否の意思表示を行うものであり、手続的動議の採決には反映されません。
したがって、手続的動議が出された場合、あくまで当日出席した株主の有する議決権の数に基づき採否を決することとなります。
このように、議決権行使書は手続的動議に何ら影響をおよぼさないため、手続的動議が提出される場合に備えて、会社に友好的な大株主に当日の出席を依頼したり、大株主から自主的に包括委任状(手続的動議への対応も含めた一切を授権した委任状)の提出を受けるなどの対応を行うことも考えられます。