紙の本
読んでなるほど
2019/04/13 12:24
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:傘屋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
購入前は、あるテーマついて回りくどく書かれた最近はやりの新書のようなものだと思っていたが、筆者の職業上の実例や論理的なメソッドなど、どのようにすれば様々なことに予測力を持てるのか詳しく書かれてあった。そこで超予測者と凡人の違いもよく理解することができ、超予測者とはどんな傾向を持ち、どんな努力をしているのかを知ることができた。はたまた、自分自身が実践しようとする際にも、どのようなことに気をつければ、良い予測を立てられるかも理解することができた。買ってよかった。
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「どうせまたヒューリスティックとかの話なんだろう」とか「リンダは銀行員だろ」みたいなノリかと思ったが、この展開は読めなかった。
10か条以外のところも含めて無理やりまとめると、予測力はあまりに遠い未来は見通せないが、近い将来を予測する力とは、不確実性を受け入れ、「自分ならこうする」といった共感を廃し、感情とイデオロギーを離れ、そして何よりも「事実に合わせて意見を修正する力」とイコールなのだそうだ。
これ読んでいろいろ考えが変わった。
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毎日少しずつ変化している。10年前に、今を想像できたか、20年前は? 10年単位で考えると本当に大きく変わった。想像することは不可能だっただろう。改めてそこは同意できた。本当にそうだ。
本文には米国の選挙のこと、州のことが何度も出てくる。馴染みがないので、そこは読んでいても振り返ってあのときはどうだったか、とは考えられない。仕方がないけど。
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どちらにも転びうるような未来を予測する大規模な研究部プロジェクトに参加したボランティアの中で継続的に好成績を上げ続ける「超予測者」が存在すること、彼らに共通するマインドセットや予測への取り組み方から予測力を高める方法が示されている。
結果としての白黒を発生の確率論でとらえる。フェルミ推定のように構成要素の推定に分解してみる。問題の個別事情に注目する前に、同種の一般的な発生確率を踏まえるところから始める。反対の見解を探す。群衆の英知。予測が外れるケースの理由を考える。予測数値はなるべく細かいものにする。影響を与える要素を観察し、予測を頻繁に見直す。細かい修正と大胆な見直し。結果を踏まえたきちんとした検証と反省。
こうすれば完璧に予測できるという方法は存在せず、また予測もできないこともあるが、予測力を高めるやり方はあると理解した。
予測力を高めるということ以上に、世間の意見を鵜呑みにせず主体的に考え・確認すること、自分の思い込みの可能性も排除せず反対意見を探すこと、自分に見える世界はフィルターがかかったものだと理解すること、間違いは認め修正をためらわないことなど、しなやかな生き方のために参考にしたい情報だと感じた。
18-81
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「超予測者」たちは専門家ではないのにもかかわらず正確な予測をしている。専門家の予測よりも高い精度で予測する「超予測者」の思考法を探っていくことで、なぜ予測が当たるかとともに、予測が外れるとはどういうことなのかについてもその原因を探っている。様々な分析がなされているが、大きくは3つ、主観にとらわれない、批判を受け入れる、常に学ぶ、これが超予測を生み出すもとといえる。これらを実践するのは非常に難しい。主観にとらわれないということは、自らの信条に背くような予測結果も受け入れなければならないということであるし、批判の受け入れは心理的抵抗が大きいのは経験済みであろう。常に学ぶのは簡単そうであるが、超予測者はこれまでの人生に全く関わりのなかったことに対しても予測に必要であれば徹底的に積極的に学ぶ。必要であれば研究者に対して意見を求めることまでしている。果たしてここまでできるだろうか?「超予測者」の姿勢を見ればなぜ専門家の予測が外れるのかが見えてくると思う。「超予測者」となる必要はなくとも、専門家の意見に振り回されないよう、「超予測者」たちの姿勢を見習うべきだろう。
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不確定要素の高い、あいまいで混とんとした未来の予想をすることは、とても難しいことだ。こうした難しい局面の事象の予測を、的確に行う人たちがいる。「超予測者」と呼ぶにふさわしい、正解率が高い結果を導き出し続ける人たちがいる。
彼らの思考方法を学ぶことで、我々凡人も「超予測者」に近づくことができると著者はいう。本書の論理を裏付けている人物の一人に、ダニエル・カーネマンさんがいる。『ファースト&スロー』の著者でノーベル経済学賞を受賞している人だ。最初に『ファースト&スロー』を読んでから本書を読むことを勧める。その方が、より深く理解を得ることができるだろう。
本書で登場する数々の、研究から見出された「超予測者」が何を意識して、どんなポイントを重視し、どのような思考をたどって結論を導き出したのかを紐解いていく。
最後に、超予測者を目指すひとの10の心得が掲載されている。本書を丹念に読み、鍛錬を続ければ、「超予測者」に近づけるかもしれない。
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読了メモ・反対意見に耳を傾ける・予測を見直し小刻みに修正する・不確実性〜確実性のパーセンテージを細分化する・予測が外れたときは見直して原因を探る・達成するビジョンと実現可能性を分ける(最後うろ覚え)
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「みんなどんなにすばらしいカードがそろっていても、私が降りてしまっては困るからと、絶対にレイズしようとはしないの」。そこでデュークは生徒たちに尋ねる。自分に強いカードがそろっていてもレイズしないのに、なぜ相手がレイズしたら強い手を持っていると思うのか、と。「この演習をしてみて、みんなようやく自分がどれほど敵の視点でテーブルを見られていないか分かるのよ」とデュークは言う。
レンゼッティ家はチェスナット通り84番地の小さな家に住んでいる。フランク・レンゼッティは44歳で、引越会社で経理の仕事をしている。妻のメアリーは35歳で保育園で働いている。二人には5歳になる息子のトミーがいる。夫を亡くしたフランクの母カミラも同居している。ここで質問だ。レンゼッティ家がペットを飼っている可能性はどれくらいか。
この質問に答えようとするとき、たいていの人は一家の詳しい情報に目を向ける。こんなふうに考える人もいるかもしれない。「レンゼッテというのはイタリア系の名前だな。フランク、カミラというのもそうだ。だとするとフランクには大勢の兄弟がいたはずだが、息子は一人っ子だ。おそらく大家族を望んでいるが、経済的余裕がないのだろう。だから代わりに犬を飼うというのは理にかなっている」。一方別の人は「ペットは子どものために飼うことが多いが、レンゼッティ家の子どもはまだ一人で、ペットを世話するには小さすぎる。だから飼っていない可能性が高い」。このようにストーリーを組み立てるのはとても説得力がある。家族にまつわるさらに詳しい情報が得られる場合はなおさらだ。
しかし超予測者は、少なくともはじめはこうした情報には目もくれない。最初に確認するのは、アメリカの家庭の何%がペットを飼っているかだ。
(フェルミ推定)
新たな視点を手に入れる方法はたくさんある。他の人々はどんなふうに予測を立てているのか。どんな外側、内側の視点を持つに至ったのか。専門家は何と言っているのだろう。訓練すれば自分自身で新たな視点を生み出せるようにもなる。
ビル・フラックも予測を立てるとき、デビッド・ログと同じようにチームメイトに自分の考えを説明し、批判してほしいと頼む。仲間に間違いを指摘してもらったり、自分たちの視点を提供してもらいたいからだが、同時に予測を文字にすることで少し心理的距離を置き、一歩引いた視点から見直せるからでもある。
積極的柔軟性は、ペンシルバニア大学で私の隣の研究室にいる心理学者ジョナサン・バロンが考案した概念だ。バロンが作成した積極的柔軟性を測るテストは被験者に、次のような文に同意するか否かを尋ねる。
・自らの考えと矛盾するエビデンスを考慮すべきである。
・自分と同意見の者より、違う意見の者に耳を傾ける方が有益である。
・意見を変えるのは弱さの表れである。
・直感は意思決定における最高の指針である。
・矛盾するエビデンスがみつかっても、自らの考えを貫くことが重要である。
もう一つの示唆に富むエビデンスは「五分五分」という表現にまつわるものだ。注意深く確率論的に思考する人にとって、50%というのは数ある選択肢の一つにすぎない。このため50%と数字を使う頻度は49%や51%と変わらない。一方、頭の中に選択肢が三つしかない人は確率を判断しろと言われると、50%という数字を使いがちだ。50%を「どちらともない」と同義に考えているからだ。このため頻繁に50%を使う人は、予測の正確性が低いと考えられる。トーナメントのデータもまさにそれを裏づけている。
あなたと人生のパートナーのこと、そして二人を結びつけた無数の出来事を考えてみよう。あの晩、あなたがパーティに行かずに勉強していたら。パートナーがあの日もう少し速く歩いて、電車を逃していなかったら。あの週末、あなたが友人の誘いに応じて町を離れていたら。こんな「もしあのとき」を挙げていけばきりがない。あなたたち二人がめぐりあう可能性はとほうもなくちっぽけだった。それにもかかわらず、二人は出会った。それをどう理解すべきか。ほとんどの人は「すごいな、なんて運が良かったんだ」とは思わない。およそあり得ないようなことなのに、それでも起きたという事実を「そうなる定め」だった証拠とみなすのだ。
似たようなことが宇宙規模でも起きている。宇宙の起源に関する現在最も有力な説であるビッグバン理論を考えてみよう。そこからは自然法則がきわめてうまくかみあった結果、恒星や惑星、生命が誕生したことがわかる。ほんのわずかでもずれていたら、われわれは存在しなかっただろう。たいていの人はこうした考察を聞いて、「すごいな、なんて運が良かったんだ」とは思わない。もしかしたらビッグバンは何十億界も起きていて、何十億個のパラレルワールドがうまれていたかもしれず、そのうちいくつかは生命に適した環境を生み出していたかもしれない、と考えることもない。科学者のなかにはこのように考える者もいるが、ほとんどの人は何かの(もしかしたら神の)力が働いたのだと思う。「そうなる定め」だったのだ、と。
正確に先を読むには確率論的思考が欠かせないものであり、また運命論的思考が確率論的思考を阻害するなら、超予測者は物事を運命としてとらえない傾向があると推定される。それを検証するため、われわれは次のような運命論的表現に対する彼らの反応を調べた。
・物事は神の計画に従って起こる。
・あらゆることは理由があって起こる。
・不慮の出来事や偶然といったものはない。
さらに確率論的表現についても反応を調べた。
・必然的なことは何もない。
・第二次世界大戦や9・11のような主要な出来事も、まったく違った展開になっていた可能性がある。
・われわれの人生に偶然はつきものだ。
アメリカの一般成人の平均値は、9段階の真ん中あたりだった。ペンシルバニアの学部生はそれより少し低く、GJBの一般ボランティアはそれよりさらに低かった。すべての集団のなかで超予測者のスコアが最も低く、はっきりと運命論を否定する側にあった。
どのような作戦も確実と言えるのは敵の主力と対峙するまでである。
―フォン・モルトケ
予測可能性に限界があるのは、非線形システムにおけるバタフライ硬貨の当然の帰結である。私の初期の研究「専門家の政治予測」では、専門家の予測���正確さは五年先を境に低下した。
一般の予測者の視力を0.2だとすれば、超予測者のそれは0.5になる。テトロックはこれを「人生を変えるような変化」と語る。
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・トリアージ
– 努力が報われる質問に集中
・手におえるサブ問題に分解
– 問題を知り得る要素と知り得ない要素に分解する
– 自らの仮説をはっきりさせる
・外側の内側の視点を持つ
– 比較対象を探す
・エビデンス
– ちょっとした先行指標をみる
・どんな問題でも対立する見解を考える
– 反論は?
・不確実性は予測
– 三つ以上の選択肢
・原因を検証
– それは構造的に引き起こされている
※ブラックスワン
– それが起こるまでは想像もできないような経験則から外れた出来事
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・予測力は伸ばせる。
・予測力は測ることが出来るにも関わらず誰もスコアを付けようとしなかった。
・ハリネズミ(思想本位でものを考えるひとたち)は予測を間違いやすい。
・予測のスコアを高い人を「超予測者」と呼ぼう
・平均より頭はいいが、天才ではない。考え方が予測力を高めていると思われる。
・フェルミ推定、基準率から考えその後に内部の事情を考慮する、自己批判的検証。
・割合を細かく決める、確率論的に考える
・立てた予測を新しい情報にそって細かく更新する。ベインジアンである
・自分の予測を検証し、反省する。
わたしにとってこの本のいちばんの効能は、てきとーな予測者を「あれはハリネズミだな」といって切って捨てることができるようになったことでした。
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昨年出会ったシリコンバレーのベンチャーキャピタリストから教えてもらった本。彼らはまだ20 代。forbesの30 under 30にも選ばれている。ベンチャー投資のしかもアーリーステージの投資する彼等はビジネスモデルは掘り下げない。人物の評価で投資の意思決定をする。しかも様々なデータを入手し整理し、何が成功に最も影響を与える因子かを定量的に捉えようと努力する。そんな彼らが勧めてくれたこのsuperforecasting。予測力を高めるにはどうしたら良いかが描かれている。予測力は向上させる事が出来る。大いに参考になったし、勉強になった。
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怪しげなトンデモ本かと思ったのですが、科学的な思考に基づく、しっかりとした本でした。
なるほど、本書の手法に則っていけば、予測力は高めていけそうですね。
(逆に言うと、本書の手法に沿わない予測、つまり、物語はもっともらしいが統計的根拠がないものは、あてにならない、ということですね)
ダニエル・カーネマンが「必読」と言うのも納得がいきます。
「重要なのは彼らがどんな人物かでなく、どうやっているかだ。
予測力は生まれつき備わった神秘的な才能などではない。
特定のモノの考え方、情報の集め方、自らの考えを更新していく方法の産物である」
※お忙しい人のためには、
本書の付録の「10の心得」を読むだけで、
予測精度を上げるのに、即効性はあるでしょう。
【チンパンジーのジョーク】
「平均的な専門家の予測の正確さは、チンパンジーが投げるダーツとだいたい同じぐらいである」
この有名なジョークは、著者の研究のことを言ったのですね。
本来、言いたかったメッセージが歪められてしまったことを知りました。
本来、言いたかったのは、
「予測の多くはあてずっぽうとほとんど変わらない。
しかし、"多く"とは、"全て"ではない。(高いレベルで予測できる範疇もある)」
ということだそうで。
こうなると、シニカルなジョークではなく、俄然、重要なメッセージとなってきました。
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この本のベースとなったのは、2011-2015年に、アメリカ国家情報長官直属の組織が主催した「予測トーナメント」に出場して圧倒的な成績を収めたチーム「Good Judgement Project」の構成員たちに共通する思考法。
予測する内容が国際政治に関わる複雑な問題であったにもかかわらず、GJPの予測はCIAのプロの情報分析官も上回ったという。著者は「超予測者」と名づけてその思考法の共通点をあぶり出している。
彼らは、高いIQがあるわけではない。予測力は才能ではなく、意識して磨いていくことで向上させることができる能力であるということ。また、積極的に物事を探究し、確率論的物事を捉え、新たな条件や事実の認識とともに予測を微修正していくという。
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資本市場の仕事をしている身としては、半年、1年、2年単位で主要国の経済環境と市場環境や、基幹産業動向を想像する癖がついている。
しかし2019年末の武漢でのウィルス発生の報道、2020年1月の武漢ロックダウン報道をみたときに、このコロナ問題がどこまで影響が出るかは正確な予測が出来ていなかった。
2021年2月の今、東日本大震災の余震の夜にこの本を読みながら、近未来に関するアジェンダ/テーマを自ら設定し、それらがどのような帰結につながるかを積極的に思考し、アップデートしていくことが、今後の自分の人生に非常重要であると痛感した。
恵比寿ワタリガラスでサトコウと飯を食べた際に教えてもらった。
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不確実性を楽しむ。予測力を評価する。
【予測の方法】
①現実的②分析的③多様な視点④確率論的(可能性を多段階評価)⑤慎重な更新(事実が変われば意見を変える)⑥バイアスが影響していないか確認する