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恋愛体質のキャバクラ嬢は客として出会った男に、のめり込んでいく。一方、結婚を迫られていた女の元に、女優としてドラマに出るチャンスが。さらに、ラブホテルの清掃員の元に謎めいた男が現れ……。三人の女を繋ぐ、幼児置き去り餓死事件の真実とは?
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女は誰でも母性が強く、反面言いたいことを飲み込みがちなウェンディと、なんでも言いたいことをいい奔放なティンカーベルをそれぞれ身の内に秘めている。新人キャバ嬢の千里はある秘密を抱えながらも不慣れな水仕事に励んでいた。ある時、悪い客に絡まれ、そこから助けてくれた健斗と恋に落ちる。捨て猫を見捨てられない杏奈は恋人の篤彦と結婚前提でマンションを買い、暮らし始めたが、急激に篤彦がモラハラ男へと変貌し悩んでいた。ラブホの清掃係として無心に働いている鈴木は、新人で入ってきた乾の距離感のなさに戸惑っていた。それぞれに秘密を抱えた女たち。そしてその裏に潜む幼児の虐待死事件。誰がウェンディで誰がティンカーベルなのか、そして誰がピーターパンなのか。
しんどい……。どこからも不穏な空気が漂いつつ、誰がどう事件に絡んでいるのか、だいたい予想はついてもその辺のミスリードが楽しく真実の姿が見えた時は面白かった。しかし、それ以上に衰弱していくシーンが辛く、そして本人たちの言があまりにも腹立たしく。でも実際こういう親たちなのかもしれないなという現実が余りに酷く。だから正直きっちり制裁してほしかった。父に救いなど要らない。
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幼児置き去り餓死事件を巡る人間模様のからくり。誰がどの役割なのか著者の巧みな筆に翻弄されながら終始心はざわつく。
置き去りにした親の言い訳にまた愕然。そうか、そういう思考回路だからなのか…。怒り、悲しみ、やるせなさ…様々な感情が渦を巻いて桜の花吹雪の中に消えていった。後に残るのは虐待の根深い連鎖の重み。親とは別の絆を結ぶことができるのだという乾の言葉が少しでも傷ついた子たちの生きる支えや救いになってほしい。
「闇のない子育てはない」、その言葉を男女問わず心に銘じて子どもと向き合っていかなければならないと思う。
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面白かったんだけど、児童虐待はやっぱり読んでて辛い。千尋がなんで後悔したのかってのもよくわからなかったのがもやもやした。
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子供っぽい健斗と恋に落ちたキャバ嬢千里。
捨て猫を同棲相手の部屋に連れ帰る杏奈。
ラブホテルの清掃員鈴木。
3人の女と、冒頭にある幼児ネグレクト殺人の記事がどう関係するのかを想像しながら読み進めました。
ネグレクトの事件の悲惨さに苦しくなりながらも、ストーリーのミスリードが巧みだったので、先が気になる作品でした。
大人になれない男女が子供を作ったための悲劇。
今でも、度々ニュースになりますね。
子供に罪はない。
悲劇の被害者の立場からの視点もあり、興味深かったです。
自分達の誤ちに気がつけない親を、私は許すことができませんでした。
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少年のような天真爛漫な健人と同棲するキャバ嬢の千里。
ラブホテルの清掃員として一心不乱に働く鈴木。
捨て猫や殺処分される猫を次から次に同棲相手の家に連れ帰る杏奈。
3人の女と幼い姉弟のネグレスト餓死事件がどう繋がるのか。
毎日のようにYahooニュースに上がる子供虐待のニュース。
これが現実に毎日、どこかで起こっているなんて。
ネグレストされた子供がどんな地獄を見るのか。こんな壮絶な最後を迎えるのかと胸が詰まって涙が止まらなかった。
そして、大人になりきれない人間が人の親になるという悲劇。
育った環境が‥とか、若年齢で子を産む事が‥とか一概には言えないけど一要因である事は確か。
自分勝手で身勝手な幼い子供以下の親に怒りと呆れで愕然となる。
胸が苦しくて辛いけどページを捲る手が止まらなかった。
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恋愛体質のキャバ嬢
男をコロコロ変える元女優
ラブホテルの清掃員
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この3人を取り巻く幼児置き去り事件の真相とは…
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はたしてこの中にウェンディはいたのか?
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苦しくて苦しくて…それでも読む手を止める事もなく引き込まれました。
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胸を抉られる内容ですが読めて良かった本です。
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児童虐待を軸に、〝ウェンディ・シンドローム(ジレンマ?)〃
→幼稚なダメンズの世話を甲斐甲斐しくしてしまう女性の心理
とを絡めた巧みな作品です。
大人になりきれない、でも身体だけは大人な親と、彼らが作り出した苛烈な環境によって、精神的に大人にならざるを得なかった子ども。
この対比が見事です。
脚本家としても活動している作者の、小説でしかなし得ない仕掛けに、みんな騙されるはず。
3人の女性が、実は1人の人格なんじゃないかと途中まで勘ぐって読んでいましたが、いい意味で期待を裏切られました。
ネグレクトの壮絶なシーンは胸が締め付けられ、自分の2歳の娘の姿とシンクロしてしまい、涙なしでは読めませんでした。