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3巻読んでの感想。アメリカ公民権運動の概要が、マンガと解説を通してある程度理解できた。黒人差別の歴史というものが根深すぎて、私には理解が追いつかない部分も多いが、付録の解説はだいぶ理解を助けてくれた。
彼らの運動のエネルギーや信念は尊敬に値する。キング牧師やマルコムXなど、なんとなくしか知らなかった自分を恥じた。
2巻の解説には、印象的な言葉あった。
【南部の白人は狂人でも鬼や悪魔でもなかった】
本編には、黒人に対してのひどい差別や暴力の場面がいくつもあるのだが、当時差別をしていた白人は、【頭がおかしかったわけでも、とりわけ残忍だったわけでもない。人種差別をしていたのは、生まれ育った地域を愛し、それまで「当たり前」だった暮らしや流儀を壊させまいとしていた、私たちと同じ「普通」の人間だった。】
【「~人は〇〇だ」とか「~のくせに」とか「~らしく」とか人を集団に分け、その特徴を決め付け、その型に押し込んで判断してしまうことは、現に今でもある。そういう思考法と、差別的な言論・行動の間にあるのは、質的な違いではなく、程度の差に過ぎない。】
つまり、異常な憎しみや暴虐は、自分とは無関係ではなく、誰でも「敵」に対しては、盲目的に愚かで残酷になり得るのだ。
私も、正直、こんなひどい差別をするなんて考えられない、自分は絶対しないという気持ちで本書を読んでいたので、この言葉にはドキッとした。
日本も、男女差別は残っているし、ヘイトスピーチも問題になっている。
解説にあるように、人間の弱さを自覚しない限り、差別に向き合い対処することはできないのだと思った。
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一度読んだだけではかんたんに理解できないところもあるのだけど、投票権法が、気の遠くなるような犠牲と忍耐と粘り強い戦いの末にようやくつかみとった権利なのだということはよくわかった。
そしてこのMARCHが本国で出版された2016年の大統領選でトランプが当選。翌年1月、大統領就任式に下院議員のジョン・ルイスは参加しなかった。そして同月、MARCH三部作はプリンツ賞とコレッタ・スコット・キング賞を受賞。ネット中継で見たその授賞式での拍手喝采、熱狂は忘れられない。
三部作は完結しても、ジョン・ルイスの戦いはずーっとつづいているんだと知った。
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公民権運動三部作。今この時に読めたことは大きな意味を持つでしょう。
読むのに精神力を要しました。それは人間のありのままの姿を見せられたから。
しかし勇気も与えられました。それもまた人間の姿でしょう。
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最終巻では、アラバマ州セルマからモンゴメリーに向けての行進で起きた「血の日曜日」事件をクライマックスに、その後ようやくジョンソン大統領のもとで成立した投票権法へとたどり着く。
本筋の間に、バラク・オバマ大統領の就任式の模様が挟まれていて、どんなに長く過酷な道のりであったかを想起させる。
ここまで運動が拡大すると、同じ団体の中でも意思疎通が難しくなったり、設立当初の理念が末端までいきわたらなかったりと、SNCCの委員長だったルイスさんも様々な意見の板挟みに苦しんでいたようだ。
南部の民主党の支持を捨てでも、黒人側へと歩み寄ったケネディ大統領の暗殺、アプローチの仕方は違ったが共に権利を求めて闘ったマルコムXの暗殺、ノーベル平和賞受賞した4年後にキング牧師の暗殺、そして数多くの運動に関わった黒人、白人の死が累々と積み重なっている。そうした数多くの犠牲の上に、怒りや悲しみをも抑え、非暴力で勝ち取った権利。
我々が、元武士階級のエリートの闘争の末に与えられた民主主義と大きく違う…と感じずにはいられない。
アメリカの選挙権や制度は日本人にはわかりにくく、本だけでは理解が難しかったので、ネットを検索したら、YouTubeに公民権運動に関する動画があった。
橋爪功さんのナレーションで、とても分かりやすかった。2020.10.11
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世界史の勉強や読書、アメリカの映画を見たりしてわかっていたつもりでしたけど、こんなに人種差別が公然となされていた現実を、この本で初めて知った気がします。1960年代なのに、ここまで酷かったとは。くじけなかった(本当はくじけたときもたくさんあったのでしょうけど)著者を尊敬します。
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全体のレビューは1巻のほうに。
ワシントン大行進と64年の公民法成立をもっても、南部の人種差別はおさまらない。ある意味、一部では、より暴力的にすらなっている。さらに公民権運動内部でも運動論に関しての対立が高まっていく。
そうしたなか、セルマをピークとする運動がなまなましい形で描かれている。
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BLMが記憶に新しいけど、本作当時とでは確実に状況が変わっているとはいえ、依然この問題の根は深い。フロイドさんへの暴行画像が、もし白人相手だったとしたら、というのが想像しにくいように。自分が当事者として、NOと言い続けることが出来るかどうか、常に問い続けなければならない。